奇跡の一品
ジュエリーリフォーム物語

そのもの・・は、見た瞬間は何かはわかりませんでした。それは、つぶれたリングでした。つい先日、お客様は車にはねられたそうです。その時に持っていたバッグの中にこのリングが入っていました。幸い、お客様は腕を軽く打たれただけで大事には至りませんでした。
しかし、その時に飛ばされたバッグは車に踏みつけられてペシャンコにつぶれてしまいました。そのリングを見てお客様は、一歩間違えたら自分がそうなっていたかもしれない、と思いました。それと同時にこのリングの由来も思い出していました。
それは、つぶれたリングでした。つい先日、お客様は車にはねられたそうです。その時に持っていたバッグの中にこのリングが入っていました。幸い、お客様は腕を軽く打たれただけで大事には至りませんでした。しかし、その時に飛ばされたバッグは車に踏みつけられてペシャンコにつぶれてしまいました。そのリングを見てお客様は、一歩間違えたら自分がそうなっていたかもしれない、と思いました。それと同時にこのリングの由来も思い出していました。
実は、お母様の形見のリングだったのです。いつも一緒にいたい、と思ってバッグの中に入れていたそうです。そして事故に遭いました。「自分ではなく、代わりにリングが轢かれてくれた」そう思ったそうです。リングはつぶれてしまいましたが、そこについていた石は奇跡的に無事でした。つぶれたときに外れて下に落ちたのです。
その石を使って、もう一度同じデザインでリングを作りたいとお客様はおっしゃいました。ほとんど原形をとどめていないものです。「無理だ」オペレーターは思いました。しかし、お客様のそのリングに対する思いを汲み取り、必死にそのリングを見つめました。すると、なんとなく原型が見えてきたのです。急いでペンを走らせお客様にお見せしました。
「こんなデザインでしたか?」少し間があってから、お客様は小さく答えました。「そうです。このデザインです。」もう2度と会うことの出来ないと思っていたリング。これまでの絶望から解放されたお客様は涙ぐんでいました。
細かいディテールをお客様から聞き、「夢仕立」で完成させていきました。最後に石を合成写真に加え、デザインが完成しました。一通り打ち合わせが終わった頃、お客様がお尋ねになりました。
「でも、何でこんなつぶれてしまっているのに判ったのですか?」オペレーターは、お客様の熱意が私にデザインを見せてくれたのです、とだけお応えしました。事実、お客様の熱意が無ければオペレーターはそこまで見ることは出来ませんでした。「なんとかしなければ」そう思い必死に見つめました。瞬時に加工工程から地金の動き追究し、一つの形に作り上げたのです。それはスペシャリストがジュエリーの知識を総動員して、お客様の熱意と共に作り上げた奇跡の結果でした。出来上がったお品物は、まるで最初から元通りであったかのようにお客様の指に収まりました。
「これからもお母さんが見守っていてくれる」
お客様の気持ちが聞こえてきそうな、1シーンでした。
※松屋銀座店では、品質管理やサービス向上のため、修理やカスタム加工を承ることができる範囲に制限がございます。 そのためお品物によってはご依頼を承ることができない可能性がございます。