この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
プラチナは言わずと知れた高級貴金属で、日本では最も人気のある貴金属です。
プラチナは言わずと知れた高級貴金属で、日本では最も人気のある貴金属です。 銀色金属の中でも、海外製品はホワイトゴールドが比較的主流ですが、日本ではプラチナ製の方が圧倒的に多く存在します。 これは1960年代ごろに「経年でメッキが取れてしまい変色しやすいホワイトゴールドよりも、永遠に変色しないプラチナの方がジュエリーとしてふさわしい」という売り出しをプロモーションとして日本のメーカーが行ったことに起因するところが大きいかと思います。 しかし同時期に海外の有名ブランドでもプラチナ製品を数多く取り扱う様になったため、今日では海外ブランドでもプラチナ製のジュエリーはたくさん見ることができます。 ここではプラチナ製の指輪のサイズ直しについて、どの様な注意点や工程が必要となるかということを、説明していきます。 ○プラチナ製の指輪 プラチナは比較的粘度が高く、軟らかい貴金属です。 「プラチナは硬い」と思う方も多くいらっしゃるかと思いますが、プラチナは密度が高く内部の結合は強いため、高い耐久性を誇ります。 また粘度が高いため、その結合が崩れにくいというところも、耐久性の高さの要因の一つです。 しかし粘度が高いため、表面の擦過により金属分子がズレやすく、そのズレた部分が小傷などになってしまいます。 そのためプラチナ製の指輪は比較的傷がつきやすい商品となります。
プラチナは比較的粘度が高く、軟らかい貴金属です。 「プラチナは硬い」と思う方も多くいらっしゃるかと思いますが、プラチナは密度が高く内部の結合は強いため、高い耐久性を誇ります。 また粘度が高いため、その結合が崩れにくいというところも、耐久性の高さの要因の一つです。 しかし粘度が高いため、表面の擦過により金属分子がズレやすく、そのズレた部分が小傷などになってしまいます。 そのためプラチナ製の指輪は比較的傷がつきやすい商品となります。 ○プラチナ製の指輪のサイズ直し プラチナ製の指輪も他の指輪と同様に、内側の刻印に支障がない部分を選んでカットし、サイズダウンする場合はそのサイズの分削り込み、サイズアップを行う場合は地金の品位を合わせたチップを差し込んでサイズアップを行います。 他にもさまざまなサイズ直しの加工方法がありますが、この方法が主流といえます。 サイズダウンもサイズアップも上記の主流の加工方法で行うばい、ロウ付(溶接)作業が必須となります。 その際にできれば同じ品位(純度)のプラチナロウを使用したいのですが、同じ品位の地金を使用してしまうとロウ材が溶ける際に本体の地金も溶けてしまいます。 そのため、本体よりも少し品位の低い地金をロウ材として使用して、本体を溶かさずにロウ付する加工方法を取ることが一般的な加工方法です。(夢仕立ではこの加工手法は行いません) しかしながら本体よりも品位の低い地金を用いると、その部分の色合いが変わってしまいます。 中にはスピード重視で銀ロウや金ロウ(K6位の金)といった、低い温度で溶解するロウ材を使用する業者も多数見られます。 このようなロウ材を使用してしまうと、後々その部分が大きく変色するだけではなく、異金属の接触による電化交換がサイズ直し部分で起こってしまい、金属腐食の原因となります。 また「共付」と呼ばれる、本体の地金を溶かしながらロウ付を行う方法も一般的です。 この方法であればロウ付あとはほとんど変色することなく加工を行うことができます。 しかしながら本体のみの地金ではロウ付の際に加工部分に細かい隙間ができてしまい、耐久性を損ねてしまいます。 夢仕立では上記の手法の共付で溶接加工を行う様にしておりますが、細かい隙間ができない様に同品位のロウ材をレーザー等を用いながら埋めていくことで、耐久性を出す様に加工をいたします。 この方法は非常に手間と時間がかかり、さらに技術的にも難易度が高いため修理加工の方法として採用している工房は極めて稀ですが、最も耐久性を損なうことのない手法となりますので、夢仕立ではこの方法を採用し、経験と技術を積み重ねております。 プラチナのリング、指輪のサイズ直しは夢仕立にお任せくださいませ。 難易度が高く他店に断られてしまったサイズ直しでも、一度夢仕立にご相談ください。
マリッジリングなどでも人気のミルグレインのデザイン。サイズ直しの際、加工箇所のミルが崩れてしまっては残念です。繊細なデザインをこだわって再現し、内側に入っていた刻印も綺麗に残してお仕上げいたしました。
このタイプの指輪のサイズ直しは、かなり難しい加工となります。二種類の金属の物は、仕上げるのにそれぞれメッキ仕上げをしなければいけません。それぞれ養生しながらなので倍以上の手間がかかるのです。今回のサイズ直しは6ミリ程金属を足さなければならないので、その部分の模様の再現もあり、高度な技術が必要になりました。他のお店で断られたので『こんなに綺麗に仕上げてもらえて嬉しいです』と素敵な笑顔を頂けて、ほっといたします。
サイズが合わなくなってしまって、しばらく仕舞っておかれたリングです。サイズを直されてまた使えるようになり、とても綺麗に仕上げもして頂いた、と大変喜ばれていました。
海外のお品物で購入いたしましたが、サイズが合わずご来店。ハーフエタニティリング、5号サイズ小さくする加工でリングの半分くらいまでお石が入っていました。大きなサイズ直しの範囲でしたが、リングの形も大きく変わることなく綺麗にお仕上がりすることができました。
リングサイズを6号縮める加工です。腕に石が留められている範囲は構造上動かすことができないことに加え、かなり大幅な変更なので楕円のような仕上がりになるおそれがありましたが、綺麗にサイズダウンができました。加工跡も目立たず、独特のデザインも崩れることなく元の雰囲気を保っています。
素敵なダイヤのリング。サイズのお直しでご来店です。サイズもピッタリで、綺麗に磨かれたリングの出来上りを、とても喜んでいただきました。
プラチナリングのサイズアップと、メレダイヤを2石追加する加工を承りました。メレダイヤが腕に加わることで、リングの印象がぐっと変わってきます。サイズアップも、直した箇所がわからないほどきれいに仕上がりました。思い出深い形はそのままに、より一層輝きを増したリング。大切な想いや歴史をのせて、これからも持ち主の方の人生を彩ってくれることでしょう。
素敵なお石の留まったPt製リングのサイズ直しです。ご来店いただいた時点で中石がカタカタと動いておりましたので、その場でお客様にもご確認いただき、留め直しの加工もご一緒に承りました。7号縮めというかなり大幅なサイズ直しにも関わらず、変形も気にならない綺麗なお仕上がりです。お石もしっかり留め直しておりますので、また安心してお使いいただけますね。
着用しているうちに微妙にサイズが合わなくなってきてしまったとのこと。季節や時間帯、その日の体調などにもよって指のサイズは変化します。特にマリッジやエンゲージリングは着ける指を固定したいという場合がほとんどですので、サイズ直しのご相談をいただくことも多くございます。大切な内側の刻印はしっかり残し、微細なご使用痕も綺麗にお仕上げいたしました。加工箇所の目立たないお仕上がりにお客様にもご満足いただいております。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘