この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
美しく光り輝き、見ているだけでも幸せな気分にさせてくれるジュエリーは、今も昔も変わらず世の女性たちを魅了し続けています。しかし、ご自身が持つジュエリーの価値が一体どれくらいなのかを正確に把握している人は実はあまり多くありません。購入したジュエリーの価格に見合う宝石なのか、気になったことはありませんか?
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
ジュエリーショップなどで目にすることもある「宝石鑑定・鑑別」。具体的にはどんな時に必要なのでしょうか。
宝石などのジュエリーは、ショップなどで購入した場合、その「価格」から価値を知ることができます。しかし、親族などから譲り受けた場合、その正しい価値を知ることは素人では難しいものです。また、ショップなどで購入した場合でも、適正な価格は正しい知識がなければ判断が付きません。そうした場合は、「宝石鑑定・鑑別」を依頼するのがおすすめです。宝石の鑑定・鑑別とは、宝石の評価を正確に判断することを指します。
宝石などのジュエリーを購入する際に「鑑定書」や「鑑別書」などがついてきたことはありませんか? 同じような名前ですが、内容は大きく異なります。 「鑑定書」はダイヤモンドの価値を判断するもので、ジュエリーになる前のルース(裸石)の状態で行い、色や透明度、形状と重量を元にランクづけされます。一方「鑑別書」は、科学的な検査を行い、依頼された石が何でできているかを調べ、その種類を特定する「証明書」です。そのため鑑別書がついているからといって、価値がある宝石ということにはなりませんので注意が必要です。
宝石の鑑別書
宝石の鑑定書
よくお間違えされる方が多いのですが、宝石鑑定書というのはダイヤモンドのグレーディングレポートのことです。いわゆるダイヤモンドの「良し悪し」を判断する指標として存在しているものです。そのため、いくら鑑定書があるからといっても高いものであるというイコールではありません。
鑑定書とはラウンド・ブリリアンカットやファンシーカットの天然ダイヤモンドがどのような品質かを各種の計測・検査によってランク付けしたレポートです。検査のダイヤモンドはルース(裸石)でなければなりません。おもな検査内容を以下にご紹介します。
おもにラウンド・オーバル・ペアシェーブ・マーキズ・エメラルド・ハートシェーブなどがあります。
ダイヤの直径(あるいはタテ・ヨコ)と深さをmmで表します。
CARATくわしくは ダイヤの重量でctで表します。1ctは0.2gです。
COLOR 無色から黄色の微妙な色調をD~Zのアルファベットで表します。
CLARITY ダイヤの内包物の多さや色からFL・IF・VVS・VS・SI・Iのクラスで分けられます。
CUT プロポーション(形)とフィニッシュ(仕上げ)をもとに総合プロポーションを評価します。
カラー・グレードと同様な方法で、蛍光性を比較するためのマスター・ダイヤモンドで比較することによって蛍光性を査定します。これは波長が 366nm の紫外線を照射して実施します。
鑑別書についてもお間違えされている方が多いのですが、宝石を買って鑑別書がついているから良い物だということではなく、鑑別書とはそれが何という鉱物(宝石)かを鑑別してくれている証書です。一般には、本物か偽者かを審議するために存在します。中には本物の石だけれども、石に処理が施されているものもあり、それについても記載されます。
検査石の正式な名前が書かれています。
透明度と色 鑑別石の透明度(透明・半透明・不透明)と色がかかれています。
鑑別石のカット形がかかれています。
リングなど場合、内側に刻印されている数字や地金の品位が書かれています。
サイズは長さ(縦)-幅(横)×深さを小数点第二位まで記載し、単位はmmです。重量は製品に刻印されているものはそのまま、裸石(ルース)は小数点第三位まで記載。単位はct.です。(使用される検査器具 マイクロメーター、電子天秤)
光が密度の違う物質の中に入るとその進路が曲がります。この光の屈折を利用して屈折率を測定し、大部分の宝石を分類することが出来ます。(使用される検査器具 屈折計)
物質の重量と同体積の水(4℃における)の重量との比をいいます。宝石の種類の識別に役立ちます。
宝石の単屈折性、複屈折性、潜晶質などの光学的な特徴で、宝石はそれぞれ固有の偏光性を持っています(使用される検査器具 偏光器)
色の付いた複屈折性の宝石の中を光が通過すると二つの振動方向をもった光に分かれます。見る方向によって色の変化があり、ある種の宝石の特徴となります。(使用される検査器具 二色鏡)
可視光線の紫色光の外側の光源である紫外線をあてると、その物質の色とは関係のない波長の光の色を出します。(使用される検査器具 紫外線ランプ)
白色光線を赤から紫までの分光色に分類して示したものです。宝石が吸収する色が吸収線となってあらわれ、ある種の宝石の特徴となります。(使用される検査器具 プリズム型分光器 フーリエ変換赤外分光光度計 可視、紫外線分光光度計)
宝石双眼顕微鏡によるインクルージョンの検査によって天然石、合成石、人口処理石等を識別します。(使用される検査器具 宝石双眼顕微鏡)
その宝石について特記するべき事項を記載いたします。
宝石鑑定・鑑別と聞くと、「あまり縁がないもの」と思われるかもしれませんが、実は意外と身近なものです。
ご両親や親族などから宝石を譲り受けたとき、その宝石がどのようなものなのか悩んだことはありませんか? 普段使いができるものなのか、きちんとした管理をするべき品なのか、その性質によって扱い方も変わってきますので、きちんと把握しておくのがおすすめです。自分の好みに合うようにジュエリーリフォームする際など、宝石鑑定・鑑別をしておくと安心です。
宝石鑑定・鑑別を依頼する際に注意したいのは「誰が鑑定するのか」という点です。資格がなくても宝石鑑定・鑑別を行うこともできますが、安心して宝石の価値を見極めてもらうためにも、しっかりとした資格と実績を持つ鑑定士に依頼する方が賢明です。
宝石の鑑定・鑑別においては、「宝石鑑定士」という民間資格があります。日本国内でもジュエリーのビジネススクールが認定する資格があります。当工房には世界で最も権威がある英国宝石学協会が認定する「FGA(Fellow of the gemmological Association of the Great Britain)ディプロマ」資格を有する鑑定士が多数在籍しておりますので、安心して宝石鑑定・鑑別をご依頼ください。