この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘

「指の太さが変化して結婚指輪をはめられなくなってしまった」
大切な指輪が体型の変化によってはめられなくなる。このようなご相談は、ジュエリー工房夢仕立にも多く寄せられます。 指輪は見た目が美しいだけでなく、数々の美しい思い出が詰まっています。とくに結婚指輪には、結婚式やハネムーンの記憶が詰まっているでしょう。
大切な人から譲り受けた指輪には多くの歴史があります。楽しいこと、時にはつらいことまで一緒に経験してきた指輪だからこそ、サイズが変わったからといって身につけずに眠らせておくのは忍びないですよね。
このリングはリング上部のパーツが時計のブレスレットの様に、わずかに動く仕様になっています。このパーツはリングサイズによってカーブが異なるため、サイズ直しの加工としては、難易度の高いリングの一つであると言えます。
サイズ直しの際には、本体とパーツがバラバラにならない様に気をつけながら加工を行いますが、接合部分のパーツに負荷がかからない様に、それぞれのパーツのカーブを別々に変えていきます。
双方のパーツのカーブがある程度整ったところで、接合部分がなめらかなカーブを描く様に調整します。
サイズ直しと言っても、リングのデザインや状況によって様々な加工方法を選択する必要があります。
「思い出の指輪をもう一度身につけたい」
修理のご依頼で最も多いご相談が「指輪のサイズ直し」です。 プラチナ製や金製の石が付いていない指輪の場合、通常のサイズ直しの工程で作業を行うことが出来ます。 しかし、フルエタニティリングや熱に弱い石などの宝石が付いているものや、表面に彫金が施されていたり模様の入っている指輪は、サイズ直しを行うと同時に、そのデザインを復元させる必要があります。
また、「プラチナだけのリング」「金だけのリング」というように1種類の貴金属で構成されているリングが大多数ですが、中にはプラチナと金を合わせたデザインのリングもあります。
特にマリッジリングにはこのデザインが多く見られ、さらにリングの全周にわたって双方の貴金属が円を切ることなくつながっているデザインも多数存在します。
この工程は職人の中でもかなりの熟練者でなければ行うことが出来ません。
「夢仕立」に在籍している職人は熟練者ばかりですので、この様な困難な加工でもお引き受けすることが出来ます。
リングサイズを小さくするには数限りなく加工方法がありますが、大まかに分類すると主に以下の方法となります。
1. 2カ所を切って、縮める分をとる。
2. 少し圧力をかけて変形させる。
3. 内側に金属板などを付けて内径を小さくする
指輪のサイズを小さくする場合、1の方法が一般的です。指輪をカットする場合は宝石や装飾のない部分を選んで切り詰めます。 しかし、この方法はつなぎ目が目立ってしまうことが多いことが欠点です。
そのため夢仕立では、指輪を切断した際に出る粉や地金片をあえてロウ材に混入させて使用し、元のリングの色合いに近づけるひと工夫をしています。 さらに、切断部分の断面をヘラやキサゲでなめらかにすることにより、断面か腹発生する蝋巣を極めて少なくすることで、サイズ直し痕を極限まで目立たない様に手間のかかる加工を行います。
またその上で、指輪の色にあった素材の18金メッキやロジウムメッキ(プラチナメッキという通称のある、プラチナ族の金属メッキです)を使って加工箇所をなじませています。この最後のメッキ仕上げによって加工箇所が目立たなくなり、擦過による傷に対する耐久性も上がります。
2の方法は1の方法とな異なり、切断を行わない加工方法です。
この加工方法はリング全体に均等に圧力をかけることでサイズを縮める方法ですが、リングの仕様や状況によって用いることができるかどうかが決まります。
宝石類がついていたり、彫金等が施されていたりするなど、リングの一部に均一ではない部分が存在している場合は、圧力を加えた際にその箇所に力が加わりすぎてしまって思う様なサイズ直しができないどころか、デザインが崩壊してしまうこともあります。
また、この加工方法でサイズ直しができる場合においても、0.5〜1サイズ程度のサイズ縮め加工が限界です。
そのためこの加工方法を用いることができるリングは少なく、あまりこの加工方法を選択することはないのですが、加工方法の選択肢の一つとして用いることができる場合はご提案をいたします。
3の方法は、リングの内側に板状の地金を貼り付けてリングの内径を小さくする方法です。
この方法もリングを切断しない方法ですが、リングの内側に刻印等が入っている場合は、リング全周において内部に板をロー付(溶接)してしまうと、刻印が消えてしまいます。
また全周にわたって板をロー付するということは、板厚は薄くても、リングを1本製作することとなりますので、加工代金も比較的高額となってしまいます。
そのため、この加工方法を用いる場合は多くの場合において、刻印のない箇所にだけ板を貼り付けて内径を小さくします。 このようにすることで、刻印に対する影響を最小限しつつ、サイズ直しの金額も抑えることができます。
リングサイズを大きくするには
1. 1カ所を切って、大きくする分を足す。
2. 内側を削る。
3. 熱と圧力を加えて徐々に伸ばす。
指輪サイズを大きくする場合は一カ所を切断し、その部分に金属を足す1の加工方法が主流です。しかし、この方法は同様につなぎ目が目立ってしまうことが多いことが欠点です。
そのため夢仕立では、指輪を切断した際に出る粉や地金片をあえてロウ材に混入させて使用し、元のリングの色合いに近づけるひと工夫をしています。 さらに、切断部分の断面をヘラやキサゲでなめらかにすることにより、断面か腹発生する蝋巣を極めて少なくすることで、サイズ直し痕を極限まで目立たない様に手間のかかる加工を行います。
またその上で、指輪の色にあった素材の18金メッキやロジウムメッキ(プラチナメッキという通称のある、プラチナ族の金属メッキです)を使って加工箇所をなじませています。この最後のメッキ仕上げによって加工箇所が目立たなくなり、擦過による傷に対する耐久性も上がります。 サイズを小さくする場合と同じように、つなぎ目が傷にならないよう18金メッキやロジウムメッキで丁寧に処理を施します。
2の加工方法は1の加工方法とは異なり、リングを切断しない加工方法で、リングの内側を全周に渡り均一に削ることでリングサイズの内径を大きくする加工方法です。
しかしこの加工方法はリングの厚みがあるリングに用いることでき、さらに耐久性に問題がない程度の地金の厚みを残さなければならないため、用いることができる場合でも1〜2サイズ程度が限界となり、リングによってはこの加工法を用いることができない場合もあります。 また、内側に刻印等がある場合は、基本的には全ての刻印が消失してしまいます。
宝石のct数や地金の刻印、文字刻印機械による彫金の文字等の彫金や刻印であれば、近い書体の刻印にて復元することは可能ですが、ブランドのロゴマークや特殊文字など、メーカーやブランド特有の刻印や彫金の復元はできません。(著作権や意匠に抵触するものは確実に不可ですが、それ以外はご相談ください)
この加工方法は「内側の刻印等のみを避けて削る」ということはできず、全周に渡り均一に削る必要があるため、上記の条件に合うリングにのみ用いることのできる加工方法です。
3の方法は1や2の方法とは異なり、リングを切断したり削ったりしない加工方法です。 この加工方法はリングの延性によって選択が可能となる加工方法となりますので、同じブランドの同じシリーズの品物であっても、個体差によって用いることができる場合と、用いることができない場合があります。
また、この加工方法は個体差によりますが、1〜2サイズの伸長が限界となりますので、2サイズ以上のサイズ直しを行う場合は、この加工方法を用いることができないこともあります。
さらにリング全体を均一に伸ばしていくため、内側の刻印がある場合や外側にデザインがある場合は、わずかに既存の文字やデザインが横長になり、彫金等は深さが浅くなります。
しかしリングを切断することなく行うことのできるこの加工法は、均等にデザインが配置されているリングや、あまり切断したくないこだわりのリング(マリッジリングなど)に用いることは大変多く、多くのお客さまにお喜びをいただいております。
またこの伸長加工は地金の様子を具に観察しなければならない、実は大変繊細な加工方法でもあります。
無理に伸ばしてしまうと耐久性を損なってしまうだけではなく、デザイン自体を壊してしまう可能性もあるため、リングの状態を見極めつつ、適度な温度と適度な圧力を少しずつ時間をかけながら加えていくことが重要であるため、熟練の技術が必要となります。
価格:¥7,875~(指輪のサイズ直し)
プラチナ、金、シルバーの指輪はサイズ直しが可能です。(デザインや状況により加工できないものもございます。)
その他の素材の指輪につきましては、デザインや状況によりサイズ直しが可能かどうか判断させていただいております。また、判断できかねる場合はお品物をお預かりして、精査させていただく場合もございます。(状況により加工できないものもございます。)
しかしながら、夢仕立では常に技術とアイディアを弛まぬ努力と研鑽によって進歩させております。
「お客さまの大切な指輪をもう一度、身につける様にしてさしあげたい」という気持ち一つで、たとえ極めて高難易度のサイズ直しであったとしても、どうにか加工を行うことができないものか日々限界を越える様に努めております。もし他店で断られて諦めてしまっている指輪がございましたら、ぜひ一度夢仕立にご相談くださいませ。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
※松屋銀座店では、品質管理やサービス向上のため、修理やカスタム加工を承ることができる範囲に制限がございます。 そのためお品物によってはご依頼を承ることができない可能性がございます。
『熟練宝石職人の技』指輪サイズを大きくする場合は一カ所を切断し、その部分に金属を足す方法が主流です。 サイズを小さくする場合と同じように、つなぎ目が傷にならないよう18金メッキやロジウムメッキで丁寧に処理を施します。
遠方からのご依頼で18.5号から15号へのサイズ直しをご希望でした。内側のブランド刻印ものこり、綺麗に仕上がりサイズもぴったりで、大変ご満足いただけました。当初楕円になるなど懸念がありましたが、かなり真円に近い仕上がりになりました。
ティファニーの腕がクロスしたボリュームのあるデザインのリングのサイズ直し。サイズがどの指にも合わないとのご相談で、小さくされるか、大きくされるか悩んでいらっしゃいました。ボリューム感のあるデザインでしたので中指に着けたいとのお話に決まりました。難易度の高いお直しでしたが綺麗に仕上がりとても喜んで頂けました。
このタイプの指輪のサイズ直しは、かなり難しい加工となります。二種類の金属の物は、仕上げるのにそれぞれメッキ仕上げをしなければいけません。それぞれ養生しながらなので倍以上の手間がかかるのです。
今回のサイズ直しは6ミリ程金属を足さなければならないので、その部分の模様の再現もあり、高度な技術が必要になりました。他のお店で断られたので『こんなに綺麗に仕上げてもらえて嬉しいです』と素敵な笑顔を頂けて、ほっといたします。
難しいサイズ直しでした。
一周ぐるりとダイヤと模様が入っているので、普通に切って溶接をすると加工跡がどうしても目立ってしまいます。そのため今回は、切らずに全体を少しづつ広げる加工にて、サイズを大きくいたしました。汚れも落ちてピカピカの仕上がりとなり、お客様もとても喜んでくださいました。
2サイズ位までは、このように切らずにサイズ直しが出来ることもあります。模様が一周入っている指輪のサイズ直しでも、あきらめずに是非1度ご相談くださいませ。
9.0mm×14.0mmの大きなお石がついた、K18のリングのサイズ直しです。4サイズアップする加工を承りました。とても華奢なつくりの腕ですが、きれいな円形に仕上がり、サイズ直しを行った箇所も加工跡が目立ちません。お客様からご要望のあった腕部分の模様も、しっかりと残すことができました。
マリッジリングなどでも人気のミルグレインのデザイン。サイズ直しの際、加工箇所のミルが崩れてしまっては残念です。繊細なデザインをこだわって再現し、内側に入っていた刻印も綺麗に残してお仕上げいたしました。
こちらのリングはTIFFANYのお品物です。かなりの頻度でサイズ直しを承りますが、結構難しい種類のリングかと思われます。フリーサイズではないのに隙間がある点が、難易度を上げます。職人は、隙間の間隔を損なわないように、仕上げていきます。いつも綺麗に仕上がってくる度に感謝しております。
ご主人の結婚指輪がサイズが合わなくなってしまったとの事でご来店されました。PtとK18のコンビのリングは加工の難易度が高くなります。難しい加工でしたが細かい傷も綺麗になりとても喜んで頂けました。
かなり大幅なサイズ変更(7号アップ)のため、楕円のような仕上がりになる懸念がある加工でしたが、きれいな形でお直しができました。チェーンがついた独特のデザインも崩れず仕上がっています。サイズ直し後は、きれいにお仕上げしてからお客様へお渡ししています。新品のようなピカピカの仕上がりに、驚くと同時にとても喜んでいただけたようでした。
海外のお品物で購入いたしましたが、サイズが合わずご来店。ハーフエタニティリング、5号サイズ小さくする加工でリングの半分くらいまでお石が入っていました。大きなサイズ直しの範囲でしたが、リングの形も大きく変わることなく綺麗にお仕上がりすることができました。
サイズ直しでご来店いただきました。とても素敵なデザインのアンティークリングでした。
素敵なダイヤのリング。サイズのお直しでご来店です。サイズもピッタリで、綺麗に磨かれたリングの出来上りを、とても喜んでいただきました。
サイズ直しは、特に大幅な変更の場合はリングが楕円に近い形になったり、デザインによっては修理箇所以外の部分に負荷がかかるおそれなどのリスクを伴う難しい加工となることがあります。こちらのリングも難易度の高い加工でしたが、独特のデザインを崩さず、きれいにサイズアップができました。夢仕立へのご相談のなかでも、特に多いご依頼のひとつがサイズ直しです。一度サイズ直しを断られてしまったリングでも、あきらめずにぜひご相談くださいませ。
リングサイズを6号縮める加工です。腕に石が留められている範囲は構造上動かすことができないことに加え、かなり大幅な変更なので楕円のような仕上がりになるおそれがありましたが、綺麗にサイズダウンができました。加工跡も目立たず、独特のデザインも崩れることなく元の雰囲気を保っています。
大きなお石のついたリングですが、このようなお石の場合サイズ直しの際に石をはずしてからのサイズ直しとなりますが、とても綺麗に仕上がりました。
プラチナリングのサイズアップと、メレダイヤを2石追加する加工を承りました。メレダイヤが腕に加わることで、リングの印象がぐっと変わってきます。サイズアップも、直した箇所がわからないほどきれいに仕上がりました。思い出深い形はそのままに、より一層輝きを増したリング。大切な想いや歴史をのせて、これからも持ち主の方の人生を彩ってくれることでしょう。
重い買い物袋を持ち上げたり、運転中にハンドルを握ったり・・・
プラチナは柔らかいので、ふとした日常動作の中にも変形のリスクがございます。
縦長に伸び変形してしまったリングの、サイズ変更+変形直しを承りました。経年の変色やお石の汚れもすっきり落とされ、綺麗な姿に元通りです。変形の程度によってはサイズ直しの料金内で変形直しを承ることもできますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。
#17→#9という大きなサイズな直しと以前に直したサイズ直しの痕が残っていたので、そちらを消す修理となりました。大きなサイズ直しですと、楕円になることもありますが、今回そのようなこともなく、以前のサイズ直しの痕も消え綺麗におしあがりいたしました。
素敵なお石の留まったPt製リングのサイズ直しです。ご来店いただいた時点で中石がカタカタと動いておりましたので、その場でお客様にもご確認いただき、留め直しの加工もご一緒に承りました。7号縮めというかなり大幅なサイズ直しにも関わらず、変形も気にならない綺麗なお仕上がりです。お石もしっかり留め直しておりますので、また安心してお使いいただけますね。
サイズがきつくなって着けられなくなってしまったというリングです。しばらく仕舞っておかれたとの事でお色も変色が見られました。サイズ直しをして綺麗に仕上がり、またいつも着けられますととても喜んで頂けました。
遠隔地にいらっしゃる妹様に代わってお持ち込みのサイズ直しのリングです。等間隔に模様が入っていますので、模様のバランスは代わる旨ご了承頂きましてのお直しです。通常より難易度の高いお直しでしたが綺麗に出来上がり、大変喜んで頂きました。
真珠は熱に弱いため原則として珠を一旦外し、サイズ直しをした後に再度セットし直す事により指輪のサイズアップ、サイズダウンができます。
夢仕立では他店でお買い求めのジュエリーの修理でも、あらゆる検査を行います。 多少手を施せば良い状態になる箇所を発見した場合、それが依頼された内容とは別の箇所でもサービスで加工を施します。
またお見積もりも明確にし、修理を行わない場合と行った場合のその後の影響についても詳しく丁寧にご説明を致します。
サイズ直しの料金:¥11,000位
加工納期:約3週間
表面に柄や文字等のテクスチャーがある場合は、難易度が高く、デザインによって一部が切れたり間延びしたりします。 また仕上げの研磨により模様が薄くなることもあり、完全に元の状態を再現することは出来ません。他店で断られてしまった物でもできる場合がございますので一度、ご相談ください。
サイズ直しの料金:¥17,000位
加工納期:約3週間
指によっても違いますし、右手と左手でもサイズは違います。季節や体調によってもサイズが変わることがありますね。そればかりでなく、日本と海外ではサイズの規定も違います。リングサイズについて、また、使っている指輪のサイズが合わなくなってしまった時の対処法など、指輪のサイズにまつわるお話をしていきたいと思います。
ティファニー社のミルグレインのマリッジリングです。都内の他の業者さんに一度直して大きくしてもらったそうですが、「内側の文字を消したくない」というご希望を仰られたところ、地金を足すサイズ直し(通常行う加工です)の方法にて行われたそうです。
修理代金:¥32,400位〜
加工納期:約4週間
このタイプのリングはサイズ直しをする際に指輪が2つに分かれてしまいますので、その接合部分をぴったりと合わせることが難しく、仕上がりも綺麗にいきません。このような単純なロウ付け(溶接)作業にこそ、職人の技術とセンスの差が現れます。
夢仕立の職人はかなり几帳面で細かい性格の人ばかりです。そのため、このような繊細な作業はかなり得意とするところで、仕上がり具合もどこを修理したのかルーペで見てもわからないレベルの仕上げを行うことができました。ブランドショップで修理を断られたことから、お客様も半ば諦めていたそうですが、綺麗に修理が終わった指輪を見て大変御喜びになられていらっしゃったのを見て、私たちも嬉しくなりました。
修理代金:¥18,000位〜
加工納期:約4週間
Before
After
結婚指輪として購入なさる方も多いこのLOVEリングですが、全周に均一にマイナスドライバーのマークである「ビスマーク」が付いています。このビスマークには「ビスのように、あなたの愛をしっかりこのリングに留めておいてください」という意味があります。
しかしこのビスマークがラブリングに均一に付いていることにより、サイズ直しを行うことは極めて難しくなります。また、カルティエの内側の刻印は、ロゴマークなどは深い超勤になっているのですが、一部の超勤が比較的薄く、注意して仕上げを行わないと消えてしまいます。さらに内側の刻印は、内側全周に渡って入っていることが多く、切断ポイントがあまり多くありません。
「表面のビスマークのバランス」、「内側の刻印の薄さ」、「内側の刻印を避けてサイズ直しを行う」この3点があるため、ラブリングのサイズ直しが極めて難しいのです。
修理代金:¥21,000位〜
加工納期:約4週間
リングがぐしゃぐしゃに
修理後
お客様によると落として無くなってしまったトラフィック・バイ・ハリー・ウィンストン・アクセントバンドリングが、1週間後に家の前に落ちていたそうです。見つかったこと自体はとても喜ばしいことなのですが、1週間の間にリングは車に轢かれてぐしゃぐしゃになってしまいました。また、バケットダイヤモンドは取れて無くなってしまっていました。
丁寧に少しずつ修復を行うことにより、まずは原形を整え、さらにバケット部分の仕上げを行い、サイドバケットのダイヤモンドが留められるように修復を行いました。バケットのダイヤモンドの石合わせも行ったのですが、加工料金も比較的高額となってしまいましたので、今回はバケットダイヤモンドは入れず、地金で埋めることにしました。違和感なく隣の彫金と合わせて仕上げています。
修理代金:¥38,000位〜
加工納期:約4週間
『プリュム ドゥ ショーメ』指輪のサイズ直し
1780年にパリのヴァンドーム広場のアトリエから始まった【CHAUMET】ショーメは、ナポレオンの皇后ジョゼフィーヌの御用達ジュエラーとなりました。日本でも婚約指輪や結婚指輪として親しまれていますが、王室御用達のハイブランドなので、修理やサイズ直しがとても難しいデザインの指輪もたくさんあります。
思い入れのあるエンゲージリングですが、サイズが合わなくなり、しばらく使えない状態だったそうです。3.5サイズダウンのご希望でしたが、ショーメではサイズ直しを断られてしまったそうです。そこで夢仕立を見つけて、ご来店いただきました。
修理代金:¥38,000位〜
加工納期:約4週間
『熟練宝石職人の技』サイズ直しの下処理を行い、加工の痕が残りにくい箇所を選んで切断します。今回はサイズを大きくするサイズ直しですので、伸ばす分の地金を加工します。
サイズ直しは現状のリングに様々な力や熱を加えて加工をいたします。一般的なサイズ直しの工程は、「切断」「溶接」「仕上げ」となります。なるべくダメージが残らないように加工することは当たり前ですが、早く、急速に加工しようとした場合、主に以下のダメージが残ります。
1,早く切断することにより、切断部分付近内部に微細な亀裂が入る。
2,切断の瞬間に金属のバネ性が働くため、支点部分内部に微細な亀裂が入る。
3,切断部分が滑らかにならず、その後の接合に不具合が起こる。
細いリングであれば、10秒かからずに切断することが可能です。しかし、これでは単に「切断」しているだけで、将来のダメージのことについて全く思慮されていません。
夢仕立ではダメージを最小限にとどめるために、極めてゆっくりと切断します。ゆっくりと切断することによって、切断の際のわずかな振動で生じる微細な亀裂の発生を抑えることができます。これにより蓄積されるダメージを最小限に抑えます。
また、指輪のサイズ直しの際には、ほとんどの場合においてロー付け(溶接)作業が必要となります。しかし、早く、急速にロー付けを行おうとすると、主に以下のダメージが残ります。
1,リング自体の地金の性質を測らないままロー付けをおこなう為、余計に熱を加えてしまい、ロー付け部分付近や他の箇所の内部に見えない気泡群が発生し、将来的に気泡群の跡が繋がってしまい、亀裂などが入る。
2,ロー付け部分となる切断箇所を滑らかになるまで細く仕上げないことによって、擦過痕に溶かした地金(ロー材)が入り込まず、内部の細かい空洞となり、耐久性が落ちる。
3,素材調査を短縮するために、本体よりも純度の低いロー材を使用し、異金属接触による腐食を起こしてしまい、耐久性が落ちる。
ロー付け作業も単純に溶接するだけであれば、10秒程度で終了します。しかし、これでは単に「くっつけている」だけに過ぎず、将来のダメージのことについて全く考慮されていません。早く、急速に作業を行うことは可能ですが、弊害の方が遥かに大きく、耐久性を損なう結果となります。
夢仕立ではロー付けによるダメージも最小限に止めるために、全てのサイズ直しのロー付けにおいて、以下のことを行います。
1,本体切断時や調整時に出る本体の金属粉を材料から溶解の性質を見極め、さらに本体の金属粉をロー材の一部に組み込んで、1つ1つ個体差のある指輪の性質に合った、安定したロー材を1つ1つに合わせて作る。
2,非常に小さい切断部の断面を鏡面仕上げを行い、摩擦や擦過痕を極限まで少なくしてロー材の流れを良くし、ロー付け部分の空洞化を防ぐ。
3,「1」で調査した結果に基づく設定温度を調整し、ロー付け部分だけではなく、他の部分に与えるダメージを抑えて将来のダメージを軽減する。
夢仕立ではロー付けを行う前に、指輪を切断した地金の粉の分析を行い、指輪本体に最適な温度を調べます。指輪は一つ一つに個体差があり、同じ合金割合でも使用している割金の種類や割合によって溶ける温度が微妙に異なります。ある程度の予測を付けて行うことは簡単ですが、正確に分析して熱を加えることでダメージを最小限に抑えることができます。
また、切断部分を本体の表面部分以上にピカピカに仕上げることによって、ロー材の入り込みを良好にし、ロー付け部分のダメージを極限まで少なくします。この作業を行わないとロー材がうまく流れず、ロー付け部分のみならず、他の部分の将来的な耐久性にも影響を及ぼします。
早く作業を行うことは大切なことですが、ジュエリーというお客様の大切なお品物にとって、どのような作業が良いことなのか、ということを考えた結果、「ゆっくり丁寧に、正確に作業を行う」という加工方法がベストであると考えました。ファストファッションとは異なるジュエリーというものだからこそ、夢仕立では手間をかけて加工作業を行わせていただいております。
指輪のサイズ直しをする際に、石動きや裏側部分、宝石の爪の部分に傷が見つかることがほとんどです。
細かな傷などは加工の途中ではじめてわかることも多いため、当店ではこれらの経年によって傷ついた部分も一緒に補修しています。
「石動き」、「裏側部分の亀裂」、「爪の亀裂」、「腕の部分の亀裂」
などの問題が、ほとんどのお品物で見つかります。この部分を放置致しますと後々お品物が破損してしまう可能性がありますので、夢仕立ではサイズ直しと共にこれらの瑕疵部分を補修致します。そのため、夢仕立でサイズ直しを行った指輪は、その時点での最高の耐久性を持つお品物として、お客様にお渡しいたしております。
当初は、サイズ直しと修理の部分を別々に分けて考えておりました。しかしこれらの瑕疵は加工途中や熱を加えて初めて発見出来る場合が多く、手を入れるまで見つけることができません。 補修を行うためには決してお安くはない金額の材料費や人件費等が別に掛かります。 しかしこの補修を行うための代金を頂いておりませんので、結果的にはサイズ直しを終了した後で納品の際にお客様に瑕疵のお話しをせざるを得ませんでした。
そのときはサイズ直しのご依頼しか承っていなくても、瑕疵部分のお話しはお客様にお伝えしなければいけないことです。しかし、後から瑕疵部分のお安くはない補修のお話しをしなければならないのは、あまり良いことではないと私達は考えました。
そこでサイズ直しの基本料金を、ある程度の補修を見込んだ料金に設定することに致しました。 その為、夢仕立では余程の大きな瑕疵ではない限り、サイズ直しの際にできる限りの全ての補修を施しております。もちろん時間もコストもかかり、中には料金ギリギリになってしまうものもあります。
しかし、それでも一度私達の手を通過したお品物を、「今できる限り最高の状態に仕上げたい」という強い思いから現在の設定でサイズ直しを行っております。
中にはとても加工が難しく、販売店でも断られたお品物も多数持ち込まれることがあります。 それでも夢仕立では蓄積された技術と知恵を使い、できる限りの力で対応をさせていただいております。 そしてそんな夢仕立の宝石・宝飾品に対する考え方にご納得頂きました沢山のお客様に支えられて、加工を行ってくることができました。ご理解頂ければ幸いです。
よくあるご質問の中に「サイズ直しや修理は料金が安いから、リフォームとは異なり、夢仕立の保障システムの対象外なのですか」というものがございます。たしかに、一般的な修理サービスにおいては、修理とその他のサービスとは保障システムが変わっているものが多いと思います。ジュエリーの修理においても例外ではないかもしれません。
しかし、夢仕立のサイズ直しを含めたジュエリーの修理では、リフォームやオーダーメイドなどと同じように、お預かり品に対してのシステムを適応させていただいております。ご依頼を承る金額や内容に関わらず、お預かりいたしましたお品物に対しての対応を変えるということは、一切いたしません。お客様の大切なお品物をお預かりする内容に、料金や作業内容の高低などは関係ありません。
お客様のお品物を同様に、大切にお預かりするために、夢仕立のお預かりシステムは全てのご依頼品に適応させていただいております。
指の太さが変わったことで、身につけるのをあきらめていたサイズの合わない指輪も、サイズ直しによってよみがえらせることができます。大切な指輪だからこそ、歳を重ねても使い続けていきたいですね。
ただし、サイズ直しは確かな技術を持った店舗に依頼しなければ、大切な指輪に傷をつけてしまうことになるかもしれません。
当店では、指輪の購入店や他店で断られたお品物でも、できる限りの対応をさせていただきますので、ぜひ一度お持ち込みください。当店の技術と知恵を使い、お客様のご要望にお応えするサイズ直しを行っています。
PICK UP
海外のお品物で購入いたしましたが、サイズが合わずご来店。ハーフエタニティリング、5号サイズ小さくする加工でリングの半分くらいまでお石が入っていました。大きなサイズ直しの範囲でしたが、リングの形も大きく変わることなく綺麗にお仕上がりすることができました。【MS20231】
素敵なダイヤのリング。サイズのお直しでご来店です。サイズもピッタリで、綺麗に磨かれたリングの出来上りを、とても喜んでいただきました。
お二人のご婚約指輪に男性のお母様からリングを頂き、デザインの変更でご相談にいらっしゃいました。リングのデザインが新しく、またあまりお使いではないようで綺麗でした。リフォームした場合の金額とサイズ直しの金額をお伝えしました。翌日ご来店になり、サイズの変更で受注となりました。お母様も、このまま使うのを喜んでいただいたようです。
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夢仕立はお客様のご予算に合わせた提案を第一に考えます。
豪華で素晴らしいデザインでも、お客様のご予算とかけ離れていては作る事は出来ません。
ご予算どおりでも、お客様のイメージとは違うジュエリーでは全く意味はありません。
「夢仕立」では、あらゆる方法を使い品質を落とさずに代金を抑えるご提案を致します。
まずはご相談を TEL 03-5537-8200
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