この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
古来より、男女ともに指輪をつける文化は存在します。 しかしながら、男性の指輪は女性の指輪に比べると文献は比較的少ないのではないでしょうか。 また、女性の指の平均サイズについて語られることは多くあるかもしれませんが、男性の指輪の平均サイズについて語られることは意外に少なく感じます。 いざ指輪を購入したいという時に、対面の販売店であれば計ってもらえるかもしれませんが、インターネット等の通販で購入する場合、自分のサイズがわからないという方も多いのではないでしょうか。 今回はそんな男性の指輪のサイズなどについて、まとめてみました。
男性の指も女性の指と同じで、体型や人種によって様々です。 そのため、平均のサイズを出しにくいのですが、一般的には指のサイズは身長と比較的比例しやすい傾向があります。 男性の身長が175cm前後である場合、また、20代から40代くらいの男性の指の平均サイズは概ね以下の通りです。
※日本の指輪のサイズ規格です。 いかがでしょうか。
このサイズは測る指が「利き手であるか」「利き手とは逆か」ということによっても、変わります。 一般的には、利き手の指は逆の手よりも1サイズ大きい傾向があります。 利き手はよく使うため、骨や筋肉もつきやすいということですね。 また、人差し指が中指よりも大きいのは意外なところではないでしょうか。 「親指を除き、4本の指の中で最も太い指は中指である」というイメージの方も多いのではないでしょうか。 こちらに関しても、上記の利き手の理由と同じで、人差し指はよく使う指であることから中指に比べて人差し指の方が太い方が多い傾向があります。 また、人差し指は関節が張り出していない形状の指をしている方が多いことも、特徴の一つです。 関節の部分が最も太いという方が多い傾向がありますが、人差し指に関しては関節よりも指の付け根が太い方が多い傾向があります。 理由としては親指との間にある筋肉が張っていて、錐形になることが多いためです。 そのため人差し指に指輪をつけるときは注意が必要です。 他の指であれば関節で引っかかってくれることも多いかと思いますが、人差し指にその期待はあまりできませんので、思わぬ動作で抜けてしまうこともあります。
ご主人の結婚指輪がサイズが合わなくなってしまったとの事でご来店されました。PtとK18のコンビのリングは加工の難易度が高くなります。難しい加工でしたが細かい傷も綺麗になりとても喜んで頂けました。
幅のあるしっかりした地金と言う事もありましたが、二本の筋の入っているお品物ですので再現加工も加わる難しい加工の部類に入るお品物でした。そのため通常のサイズ直しより、若干料金もかかってしまいました。新品同様の仕上がり、どこで繫げたか分らないくらいの綺麗な仕上がりに大変お喜び頂きました。
幅・厚みともにしっかりしたお品物ですが、リング部分のシルエットも大きく変わることなく、ほぼ真円の状態で仕上がっております。今回の加工のポイントは、元々お品物全体に施されていたつや消し(ヘアライン)です。サイズ直しなどで模様の入ったリングを切断する際、どうしてもその箇所で模様が途切れてしまいます。こちらのお品物では、途切れてしまったヘアラインの境目をなじませ、違和感のないように仕上げさせていただきました。まさしく職人の腕の見せ所、と言える細かい作業でございます。
次に指輪が抜けやすい状況などについて説明します。 指輪が抜けやすい状況としては、主に以下の状況が挙げられます。 1,シャンプーや石鹸など、滑るものが付着しているとき 2,大きな手の動作を行ったとき 3,冬場など寒くて乾燥しているとき 4,お風呂やプール、海水浴など水に浸かっているとき
こちらに関しては想像しやすい状況だと思いますが、手洗いや洗髪時に指輪をつけたままにしていると、石鹸やシャンプーで指輪が滑り、指輪が外れてしまうこともあります。 また、指輪をつけたまま手洗いや洗髪などを行うと、指輪の内側に洗剤等の残滓が溜まってしまいますので、衛生的にもあまり良くありません。 推奨されることは「指輪を外し、手と指輪は別に洗うこと」となりますが、あくまでも理想論に過ぎませんので、いちいち指輪を外して手洗いをする方はあまりいないのではないでしょうか。 しかしながら、「指輪が抜けやすい状況である」ということを意識して手洗いや洗髪を行っていただくことで、指輪が外れてしまう危険性を下げることができるかと思います。 手洗いや洗髪の際などには、指輪が抜けない様に十分に気をつけて行ってください。
今回は男性の指輪の平均のサイズなどについて記載していますが、男性は女性に比べると動作が大きく、力強いことも指輪が外れやすい原因となります。 また、男性は女性に比べると関節と指の付け根にあまり差がないことから、関節で指輪が止まってくれないこともあります。 大切な指輪ですから、指輪をつけているときはあまり大きな動きは避ける様にしてください。 また大きな動きをするスポーツなどを行う際には、指輪を外すことをお勧めします。
「夏場は汗をたくさんかき代謝が高いから指は細い」とお思いの方も多いかと思いますが、実は乾燥している冬場の方が指は細い傾向にあります。 男性も当然例外ではなく、冬場の方が指が細い方が多い傾向があります。 そのため指輪を購入する機会が冬場である時は、夏場に指が少し太くなることも考慮して購入した方が良いと思います。 しかし、あまり大きなサイズの指輪を購入してしまうと、夏場でも冬場でも抜けやすい指輪になってしまうこともあります。 特に着ける指によっては関節があまり太くない場合もあるかと思いますので、その様な場合はあまり緩めのリングを購入しない方が良いかもしれません。 あくまでも夏に比べると冬は指が細くなりやすいので、目安として考えてください。 また「冬場は指が細くなり、指輪が外れやすい」ということを意識することで、指輪が外れる危険性を低減することができるかと思います。 ぜひ意識して過ごしてみてください。
こちらは意外な理由なのではないでしょうか。 実は手洗いや洗髪だけではなく、手を水に浸しているだけで、指輪が抜けやすくなります。 理由は「水圧」が指全体にかかるためです。 水中ではわずかな深度であっても水圧がかかります。 そのためお風呂や温泉、プール、海などに指輪をつけたまま入ってしまうと、気がついたら指輪が抜けて亡くなっていた、ということも少なくありません。 特に水泳やサーフィンなどマリンスポーツをなされる方は要注意です。 推奨されることは「指輪は外してからマリンスポーツを行うこと」です。 面倒だとお思いかもしれませんが、その面倒だという気持ちが大切な指輪を紛失してしまうきっかけになってしまうかもしれませんし、マリンスポーツのパフォーマンスを向上させるためにも指輪は外した方が良いかと思います。 リスクとしては今回挙げた4つの中で最も高いとも言えますので、ご自宅のお風呂はともかく、温泉やプール、海などに行く際には指輪は外して楽しんでください。 せっかくの楽しい思い出が台無しになってしまう可能性を回避していただくことを、お勧めいたします。
「正位置」のある指輪に関しては、男性の指輪と女性の指輪では、そのモチーフによって着け方に違いが出るかもしれません。 「女性の指輪の付け方は、手の甲を相手に向けて指を上に向けた場合に、指輪が正位置に見える」様につけることが一般的です。 もちろん男性もその様に着けても良いと思いますが、男性らしいモチーフの指輪をつける場合は、「握り拳を突き出した時に相手から見て正位置に見える」様につけると、良いかもしれません。 大ぶりなリングの場合、指の第一関節全体を隠す様な男性的なリングであることもあるかと思います。 指の第一関節を最も強調する手のポーズといえば、やはり「拳」ではないでしょうか。 とはいえ、着け方や好みは人それぞれですので、ご自身の好きな向きを色々と指輪によって変えて楽しむことも、指輪の楽しみの一つですので、ぜひ色々と着けて楽しんでみてください。
指輪は、長い年月をかけて身に着けることができるジュエリーです。その間に体型や指の太さが変わり、リングサイズが変化するのは当然のことです。サイズの合わなくなった指輪は、サイズ直しをしてよみがえらせましょう。なかには、サイズ直しができないデザインの指輪もありますので、夢仕立で相談してみてください。
ドクロのデザインと、黒っぽくいぶしたような風合いが特徴的なリングのサイズ直しです。1.5号分のサイズダウンと、大幅なお直しではありませんでしたが、黒い部分が極力薄くならないよう、注意して加工をいたしました。加工跡も目立たず、独特の風合いを残した仕上がりです。
お父様の形見でお母様がとても大切にされていたリングをご自身用にサイズ直しご希望です。楽器を演奏される際にリングが見える指に着けられたいとの事です。内側も丁寧な処理をされている重量感もしっかりとあるリングです。綺麗に仕上がり、リングも石の輝きもよみがえり大変喜んで頂きました。舞台でもきっと演奏に華やかな輝きを添えてくれる事と思います。
こちらのお品物の場合、サイズ直しに伴い、正面のデザインがリングの腕の部分に沿うように湾曲してしまう可能性が高いお品物でした。しかし、熟練の職人の手によって、デザインに大きな影響が出ることもなく、新品さながらの仕上がりとなりました。
こちらのお品物の元々厚みを活かし、地金を足すのではなく、厚みを薄くすることでサイズ直しを行いました。また、Pt部分のマットな仕上げも再現しておりますので、よりご購入時のような仕上がりとなりました。ご購入店でサイズ直しを断られてしまったお品物などリングサイズでお困りごとがございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
指輪のサイズ直しをする際に、石動きや裏側部分、宝石の爪の部分に傷が見つかることがほとんどです。
細かな傷などは加工の途中ではじめてわかることも多いため、当店ではこれらの経年によって傷ついた部分も一緒に補修しています。
「石動き」、「裏側部分の亀裂」、「爪の亀裂」、「腕の部分の亀裂」
などの問題が、ほとんどのお品物で見つかります。この部分を放置致しますと後々お品物が破損してしまう可能性がありますので、夢仕立ではサイズ直しと共にこれらの瑕疵部分を補修致します。そのため、夢仕立でサイズ直しを行ったリングは、その時点での最高の耐久性を持つお品物として、お客様にお渡しいたしております。
当初は、サイズ直しと修理の部分を別々に分けて考えておりました。しかしこれらの瑕疵は加工途中や熱を加えて初めて発見出来る場合が多く、手を入れるまで見つけることができません。 補修を行うためには決してお安くはない金額の材料費や人件費等が別に掛かります。 しかしこの補修を行うための代金を頂いておりませんので、結果的にはサイズ直しを終了した後で納品の際にお客様に瑕疵のお話しをせざるを得ませんでした。
そのときはサイズ直しのご依頼しか承っていなくても、瑕疵部分のお話しはお客様にお伝えしなければいけないことです。しかし、後から瑕疵部分のお安くはない補修のお話しをしなければならないのは、あまり良いことではないと私達は考えました。
そこでサイズ直しの基本料金を、ある程度の補修を見込んだ料金に設定することに致しました。 その為、夢仕立では余程の大きな瑕疵ではない限り、サイズ直しの際にできる限りの全ての補修を施しております。もちろん時間もコストもかかり、中には料金ギリギリになってしまうものもあります。
しかし、それでも一度私達の手を通過したお品物を、「今できる限り最高の状態に仕上げたい」という強い思いから現在の設定でサイズ直しを行っております。
中にはとても加工が難しく、販売店でも断られたお品物も多数持ち込まれることがあります。 それでも夢仕立では蓄積された技術と知恵を使い、できる限りの力で対応をさせていただいております。 そしてそんな夢仕立の宝石・宝飾品に対する考え方にご納得頂きました沢山のお客様に支えられて、加工を行ってくることができました。
ご理解頂ければ幸いです。
※価格は予告無く変更となる場合がございます。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘