シルバーの指輪のサイズ直し

銀はプラチナや金と同様の貴金属として扱われる高級素材です。

プラチナや金に比べると金額も低く、アクセサリーとしての需要が高い素材ですが、金属の中では重量あたりの単価も高額な部類にはいります。 シルバーはジュエリーやアクセサリーにする際には、純銀で製作することは非常に稀で、ほとんどがスターリングシルバーと呼ばれる92.5%の純度の銀を使用されます。 これは金製品同様、純銀も非常に柔らかく、傷がつきやすく変形もしやすい素材であるためです。 92.5%の銀に他の金属を合金させることで硬さを出し、傷や変形を防いでいます。 ちなみに92.5%が宝飾品として最も良い、と提唱して今なお使用されるいわゆる925、スターリングシルバーを生み出したのは、大昔、銀細工を扱っていたイギリスのスターリングさん(スターリング家)が由来という説が主流です。 なお、このスターリングシルバーは「925」と表記されたり「STARLING」や「Ag925」と表記されることもありますが、どの表記も正式な表記となります。 また、ヨーロッパ圏では銀製品は魔除けとして珍重されてきた歴史があるため、宗教具の1つとして代々譲り受けられることもあります。 ここではプラチナ製の指輪のサイズ直しについて、どの様な注意点や工程が必要となるかということを、説明していきます。

silver 925などの銀の指輪

代表的な銀の指輪といえば、ティファニーやシャネル、クロムハーツやゴローズ(モチーフ部分は金)、テンダーロインなどが有名であるかと思いますが、ジョージジェンセンなどの作家ジュエリーも日本では古くから人気があります。 そのためシルバーのリングのサイズ直しも夢仕立には多く持ち込まれますが、シルバーのサイズ直しはプラチナや金のサイズ直しとは加工の際の注意点が異なります。 シルバー製の指輪も他の指輪と同様に、内側の刻印に支障がない部分を選んでカットし、サイズダウンする場合はそのサイズの分削り込み、サイズアップを行う場合は地金の品位を合わせたチップを差し込んでサイズアップを行います。 しかしながらシルバーはロウ付を行う際にその製品全体が真っ赤になるくらいまで熱さないと、ロウ材が綺麗に切断部分に入り込みません。 そのため同品位のロウ材を使用してサイズ直しを行おうとすると、本体にも影響を及ぼしてしまうことがあります。 また、シルバーのリングは燻加工を施されていることも多いのですが、この燻加工も全体に熱を加えることで全てキレイに無くなってしまいます。 燻に関しては後から燻加工を行うこともできますが、あくまでも後から部分的に燻加工を行うため、従前の雰囲気とは異なる部分が出てきてしまうこともあります。 これは燻加工自体がシルバー特有の「硫化現象」を用いて表面に施している加工であるためです。 硫化現象はシルバー製品であればどの品物でも起こりうる、表面に硫化皮膜が付着する現象です。 化合とは異なりますのでこの硫化によりシルバー自体がダメージを受けることはほとんどありませんが、硫化皮膜は擦過で取れてしまいますので、長年個人が使用した品物に対して起こった硫化現象を完全に再現することは不可能です。 夢仕立では燻加工もできる限り復元する様にし、さらにレーザー加工により熱の加わる部分を最小限に抑えて燻加工が完全に取れない様に加工を施すことも多々あります。 この方法は非常に手間と時間がかかり、さらに技術的にも難易度が高いため修理加工の方法として採用している工房は極めて稀ですが、最も元の状態を保持することのできる手法となりますので、夢仕立ではお客さまのご要望がある場合はこの方法を採用し、経験と技術を積み重ねております。 それでも燻加工を完全に復元したり、全てを残しながら作業を行うことはできませんが、技術の限りを尽くして加工を行わせていただく様にしておりますので、シルバーの指輪のサイズ直しは夢仕立にお任せくださいませ。 また、難易度が高く他店に断られてしまったサイズ直しでも、一度夢仕立にご相談ください。

シルバーリングのサイズ直し

資格会員ディプロマ FGA 依田 宇弘

この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘

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