3月の誕生石 アクアマリン

3月の誕生石 アクアマリン

マリー・アントワネットが好んで身につけた宝石

アクアマリンは、フランス王妃マリー・アントワネットが特に好んで身に着けていた石とも言われています。今では、3月の誕生石、サムシングブルーとして結婚指輪の宝石、また結婚4年目の結婚記念石に、「永遠の幸せ」のお守りとして、幸運を呼び込む「天使の石」として人気が高い石のひとつです。

アクアマリンの由来

アクアマリンはラテン語のaqua 「水」、marina 「海の」という2つの単語から派生しています。海の水のように透き通ったアクアブルーが魅力の石で、その色合いはさわやかな海の風を思い起こさせます。太陽の下では、清々しい昼間の海を連想させるアクアマリンですが、夜の闇の中でも僅かな光を受けて煌めく姿になぞらえて「人魚石」や、「夜の女王」とも呼ばれています。 中世ヨーロッパでは、キャンドルの光を受けてより輝くアクアマリンに魅せられ、夜会に行く女性たちがこぞって身に着けたと言われています。

アクアマリン 石の力、言い伝え

ギリシア神話には、美しい歌声で船乗りを惑わす精霊「セイレーン」は怒った海の神「ネプチューン」に石にされた姿だという言い伝えが残っています。ローマ神話では「月の女神ディアナの守護石だった」という言い伝えもあります。 そのため古代ローマでは「すすむべき道を照らしてくれる石」として大切にされ、船乗りたちが航海のお守りとして携帯していた歴史が残っています。古代から強い洞察力を持つ宝石であると考えられ、権力や知恵を象徴する彫像の目として使われました。その彫像に目を入れた人は偉大な知恵を持つようになり、未来を見通す能力を授けられました。彫像は時には海岸線に近い戦略上重要な場所に置かれ、海の神ポセイドンの怒りを鎮め、海に出る人びとの安全な帰宅を祈るのに用いられました。長い間、海の力を集める力があると考えられてきました。 船乗りの間では「海の精の宝物」として、航行の安全を守る守護石とされていました。海との関連から、アクアマリンは浄化や清めの宝石とされ、心を洗い流し、自己表現を促すと思われ、心を落ち着かせる効果から瞑想に使われて不安や恐怖心を消し去ると考えられています。

アクアマリン 宝石言葉

幸福、富、健康、聡明、沈着

アクアマリンのジュエリー

ジュエリーの種類はビーズアクセサリーからリング、ネックレス、イヤリングなど様々で、アンティークジュエリーも知られています。一般的に、透明度のある濃い青色であるほど、価値が高くなります。

アクアマリンのお手入れ

アクアマリンは硬い石で傷がつきにくく扱いやすいと言われていますが、人間の皮脂や汗に弱い性質があります。この汚れを放置していると、変色や輝きを失う原因になります。ご使用後は柔らかい布で優しく拭き取るようにすると良いでしょう。

アクアマリンの特徴・性質 - 鑑定の観点からみて

アクアマリンは鉱物ベリル(緑柱石、以下ベリルと呼ぶ)の仲間です。他のベリルの仲間は以下の通りです。
エメラルド(緑色)
レッドベリル(ビクスバイト、赤色)
ゴシェナイト(無色)
ヘリオドール(黄色)
モルガナイト(ピンク色)などがあります。

ベリルの結晶に含まれる僅かな鉄分やクロムの密度や場所により色や呼び名が変わります。透明度が高く、色合いが濃いほどインクルージョン(内包物)が多く認められます。

アクアマリンの原産地

花崗岩ペグマタイトに産出
主要産地はブラジル、有名なマランバイア地方は、世界でも有数の上質なアクアマリンの産地、昨今は、ナイジェリア、モザンビーク、ザンビア、マダガスカルといったアフリカの国々で、ブラジル産と同じくらい良質なものを匹敵するほどの量で生産、 その他、ナミビア、タンザニアなどのアフリカ諸国、パキスタン など
日本の岐阜県の中津川市や茨木県の桜川市で採掘された実績がありますが、ごく僅かなため市場に出回ることは稀です。

アクアマリンの結晶系

六方晶系

アクアマリンの化学組成

ベリリウム・アルミニウム ケイ酸塩

アクアマリンの色

パステルブルー~青緑
ほとんどは、明るい緑がかった青色です。最も価値のあるものは、やや強みのある濃い青からわずかに緑がかった青色です。市場に出るアクアマリンのほとんどは、純粋な青味を出すために加熱処理が施されています。
・良質な石なものは色合いによって、ひとつずつ名前がつけられています。

サンタマリア アフリカーナ:かつてブラジルのミナスジェライス州のサンタマリア・ジ・イタビラ鉱山で色濃い良質のアクアマリンが産出されていましたが、1900年代半ばには閉山。その後1970年代に入り、モザンビークの鉱山で色濃いアクアマリンが発見され、この名が付きました。近年は、良質なものが激減し稀少で高価なものになります。

マルタ ローシャ (マーサ ロチャ):ミナスジェライス州Teofilo Otoni近郊で発見されました。良質な濃い青色の石をそう呼びます。1954年初代ミス・ブラジルに選ばれた青い目の美女の名前にちなんで名付けられました。

エスピリトサント:深い青色の美しく、ブラジルのエスピリト・サント州で産出されます。品質はマルタ ローシャに次ぐものとされます。

アクアマリンの硬度:7.5 – 8

アクアマリンの比重:2.72

アクアマリンの屈折率:1.577 - 1.583 複屈折率:0.006

アクアマリンの光沢

ガラス状(カボション、彫刻品:半透明から不透明)

アクアマリンの断口:貝殻状 劈開:不明瞭

アクアマリンのカット

ブリリアント、エメラルド、ステップ、カボション、彫刻品

アクアマリンの大きさ(重量)

非常に小さなものから極めて大きな45kgほどの重量になるものまで

アクアマリンの特徴

結晶を観察する方向により異なる色を見せる多色性です。その場合、ほぼ無色から強い青色を示します。 ファセット加工されたもののほとんどは、アイクリーン(肉眼では内包物が見えずクリーン)です。 長い中空の、あるいは液体で満たされたチューブ状のインクルージョン(液体インクルージョン)が平行に見られることがあります。この場合はキャッツアイとして加工されます。 肉眼で見えるインクルージョンを持つ石は、通常はカボション、ビーズ、あるいは彫刻に加工されます。

アクアマリンの類似石

ブルートパーズ、合成ブルースピネル、人工ブルーガラスなど

以上、今回はアクアマリンの石についてでした。青色の石は他にもあり、それぞれ特有の美しさがありますが、その中でもエメラルドグリーンを思わせるものから透き通ったスカイブルー、神秘的な濃いブルーと様々な表情を魅せてくれると思います。

資格会員ディプロマ FGA 高嶋 真紀

この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
高嶋 真紀

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