この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
山本 菜摘
古くから人々の暮らしに密接にかかわってきたパワーストーン。 ジュエリーやアクセサリーを選ぶ時に、石の持つパワーを考慮して選ぶという方も多いのではないでしょうか。現代でもパワーストーンは、老若男女問わず世界中の人々から親しまれています。その種類や特徴、選び方などを知ってパワーストーンを楽しんでみませんか?
パワーストーンとは、宝石の中でも“特別な効果がある”と考えられている石のことです。古くから、願い事を叶えたり、お守りとして大切にされた鉱物のことを、現代では総じて「パワーストーン」と呼んでいます。愛好家の間で、その石を身に着けると良い効果がもたらされると信じられています。科学的に証明されるものではないので、個人的な意思で信仰するお守りのような存在です。
パワーストーンの歴史的は大変古く、古代から世界各地のさまざまな部族で「宝石に特殊な力がある」と考えられてきました。この、宝石の持つパワーについての考え方が、1970年代にアメリカのヒッピー族に取り込まれ、「宝石にヒーリング効果がある」と解釈されるようになったのです。その後、1980年代後期に日本に上陸し流行した「ニューエイジムーブメント」で注目を浴び、それまで需要が少なかった鉱物がよく売れるようになりました。
パワーストーンの選び方のポイントをご紹介します。
パワーストーンの色や形はさまざまです。色の種類は豊富で、「ない色はない」と言われるほどです。形も原石、数珠、ハート、勾玉(まがたま)、亀などの彫刻をほどこしたものなどもあります。
パワーストーンは、それぞれの石に意味があると言われています。古来より、「その石を身に着けることで、願いを叶えるためのサポートになる」と考えられてきました。健康運、仕事運、恋愛運、開運、金運、対人運、学業、厄除けなど、叶えたい事柄の目的に合わせてパワーストーンを選ぶことができます。
誕生石を直接肌に身に着けると、「お守りになる」「幸運をもたらす」と言われています。また、誕生石とほかのパワーストーンを組み合わせることで、持ち主との相性を良くしてくれると考えられています。
どの石を選ぶか迷ったときに、なにかピンとくる石があったら自分に相性の良い石であることが多いようです。「石は持ち主を選ぶ」という言葉もあるほどですから、縁のある石というのは直感でわかるのかもしれませんね。
パワーストーンの種類は何種類あるのでしょうか?正確な数字ははっきりしないのですが、数百種類はあると言われています。数あるパワーストーンの中から、代表的な石、人気があり手に入りやすい石とその特徴をご紹介します。
色 | 褐色を帯びた赤色、濃く暗い赤色 |
石の意味 | 実りの象徴、血流をよくする |
誕生石 | 1月の誕生石 |
ガーネットは、ざくろに似ていることから「ざくろ石」とも呼ばれています。古くから世界各国で「神聖な石」として扱われ、古代エジプトでは強力な護符として、ユダヤ教の祭事では心理を得る石として身に着けられていました。
色 | 紫 |
石の意味 | 愛の守護石、癒し、安らぎ |
誕生石 | 2月の誕生石 |
アメジストは別名「紫水晶」。キリスト教では「司教の石」、ギリシア神話では「美少女の化身」とさされ、古代から多くの人に愛されてきました。多くの伝説や言い伝えを持ち、現在もアクセサリーとして人気の高い石です。
色 | 水色、青緑色 |
石の意味 | 深い癒し、幸せな結婚 |
誕生石 | 3月の誕生石 |
アクアマリンは、その名の通り海との関わりがあり、昔から船乗りの航海のお守りとしても親しまれてきました。海のような癒しで周りの人と穏やかな関係が築けると考えられ、コミュニケーション力をサポートするとも言われています。
色 | 無色透明 |
石の意味 | 開運、浄化 |
誕生石 | 4月の誕生石 |
水晶は、古くから装飾品や通貨としても親しまれてきました。普段の生活はもちろん、大切な儀式や祈祷などの神聖な場でも用いられました。優れた浄化作用を持ちすべてのものを調和する、パワーストーンの中でも万能的な存在です。
色 | 緑、無色、白、黄色、褐色、紫、グレー、ピンク |
石の意味 | 調和、飛躍、忍耐 |
誕生石 | 5月の誕生石 |
翡翠は、「東洋の魔石」とも言われています。ネイティブアメリカンは彫刻をほどこし「聖なる護符」として、アジアでは「成功と繁栄の象徴」、スペインではお守りなど、古来から世界各地で親しまれてきた石です。
色 | 白、無色、グレー、淡緑、黄色、淡青 |
石の意味 | 愛を伝える石、女性性を高める、トラウマの癒し |
誕生石 | 6月の誕生石 |
ムーンストーンは、和名で「月長石」と言います。古くから月との関わりが深く、月のエネルギーを宿した石として、多くの人に親しまれてきました。「月」は女性性の象徴で、女性をサポートするパワーに溢れていると考えられています。
色 | 赤、褐色、赤、橙 |
石の意味 | 可能性の発揮、未来の創造 |
誕生石 | 7月の誕生石 |
カーネリアンは、クォーツの変種であり、カルセドニーの一種です。古くから護符として親しまれ、戦場へ赴く戦士の「勇気と勝利」をするお守りや、古代エジプトでは「幸運呼ぶ石」として身に着けられていました。
色 | 緑、黄緑 |
石の意味 | 太陽の象徴、ポジティブ |
誕生石 | 8月の誕生石 |
ペリドットは、和名で「橄欖石(かんらんせき)」。古代の人々は「太陽が爆発して飛んできた石」「太陽の石」と考え、古代エジプト王朝では国家の象徴「太陽神」として崇拝していました。現代でも太陽の石のごとく、ネガティブなエネルギーを払いのけ、身を守るお守りとして親しまれています。
色 | 紺青、瑠璃色 |
石の意味 | 幸運、邪気をはらう、直感力を高める |
誕生石 | 9月の誕生石 |
ラピスラズリは、紀元前から世界各地で「聖なる石」として崇められてきました。「愛と美の女神アフロディーテ」との関係が深く、恋人たちの愛と夢を守る石として崇められたことから、現代でも恋愛に絶大なパワーがある石だと言われています。
色 | 黄色、ピンク、青、水色、赤、橙、白、無色、黒 |
石の意味 | エネルギーの浄化と活性化、心に勇気と活力を与える |
誕生石 | 10月の誕生石 |
トルマリンは、別名「電気石」。マイナスとプラスを帯電し、マイナスイオンを発生させると言われ、水や空気を浄化し、心身のストレスを緩和してくれる働きがあるとされています。古くからさまざまな民族の儀式や病気の治療に使われてきました。
色 | 黄色、帯緑黄色、帯褐黄色 |
石の意味 | 幸運、金運、希望 |
誕生石 | 11月の誕生石 |
シトリンは、古くから「幸運の石」「商売繁盛の石」と親しまれてきました。明るい「太陽のエネルギー」を持つシトリンは、中世ヨーロッパの上流階級の人々に非常に愛された石です。
色 | 空青色、青、帯緑青色、青緑色、帯青黄色 |
石の意味 | 自己実現、旅のお守り、友情を深める |
誕生石 | 12月の誕生石 |
ターコイズは、エジプト王の墓やインカ帝国の財宝の中から多く発掘していることなどから、人類との関わりが最も古い石のひとつだと考えられています。美しい青空を思わせる色から、自然の大いなる力を秘める石として大切にされてきました。
色 | ピンク、帯紫ピンク色、帯灰帯ピンク色 |
石の意味 | 恋愛成就、優しさと思いやりの心を高める、自己肯定 |
ローズクォーツはクォーツの変種で、ピンク色のものを指します。愛と美の女神アフロディーテの石であるローズクォーツは「愛と優しさの象徴」。女性の内なる美しさを輝かせてくれると言われています。
色 | 褐色、黄色、黄褐色 |
石の意味 | 仕事運、金運、対人運、決断力、行動力を高める |
和名を「虎目石」と言うタイガーアイは、古代ローマ時代は「幸運を招く聖なる石」として崇拝されていました。名前の由来は、縞模様が虎の目に似ていることに基づきます。「虎の目のようなすべてを見通す眼」で洞察力を高め、金運や仕事運がアップすると考えられています。
色 | 白、ピンク、青、薄緑 |
石の意味 | 良好な人間関係、深く優しい癒し |
カルセドニーは、微小な石英の集合体です。その成り立ちと関係して、人との縁をつなぐことを助ける石だと言われています。ほかの石との相性も良く、ほかの石と組み合わせることで、人間関係の仲を取り持ったり、人と人をつなげることをサポートしてくれるでしょう。
色 | 赤、橙、黄色、白、青、緑、グレー、褐色、黒 |
石の意味 | 願望実現、心身のバランスを整える、人間関係を良好にする |
アゲートは、日本では瑪瑙(めのう)と呼ばれています。基本的にカルセドニーと同じ性質を持っていますが、そのなかでも縞模様があるものがアゲートです。多様な色と模様を持つ石で、エネルギーも多様に持っています。
色 | 黒 |
石の意味 | 邪気をはらう、忍耐力を高める、信念の象徴 |
瑪瑙(めのう)の一種で、色の黒いものをオニキスと呼びます。世界各地から産出されるので、たくさんの言い伝えがある石です。邪念や邪気をはらい、自分自身の中心軸をしっかりとさせてくれると言われています。
色 | 青 |
石の意味 | 柔軟性を高める、自立心を養う、問題解決 |
タンザナイトは、有名なアメリカの宝石商「ティファニー」が付けたコマーシャルネームで、1980年代にアメリカを中心に流行しました。正式名称を「ブルーゾイサイト」と言います。多色性を持つ石で、見る角度や状況によって色が変化します。日中の自然光でブルーに、夜間の照明の下では紫色に輝きます。
パワーストーンにはいろいろな楽しみ方があります。どのように使うか、またそのアイテムをご紹介します。
アクセサリーとして加工したパワーストーンを身に着けます。アイテムは、ブレスレット、ネックレス、ピアス、イヤリング、指輪、アンクレットなどがあります。
原石のまま、または彫刻をほどこしたパワーストーンをインテリアとして飾って鑑賞します。
小さな袋などにパワーストーンを入れて、お守りとして持ち歩きます。
お気に入りの石が見つかっても、その値段が高いのか、安いのか分かりにくいのではないかと思います。パワーストーンの品質の良し悪しや、価格の違いは、どういったところにあるのでしょうか?
パワーストーンの品質を決めるのは主に、「見た目の良さ」です。色の鮮やかさ、透明度、キズや内包物の有無、内包物の美しさなどの「見た目」、それに加えて、大きさ、希少性、産地などが考慮されて価格が決まります。ダイヤモンドには「4C」という明確な基準がありますが、そのほかの天然石には基準がありません。「AAA」などのランクは、お店独自で付けているものです。同じ「AAA」でも、別のお店のもと比べても意味がないということになります。
同じ石でも一粒数百円のものもあれば、数万円のものもあります。パワーストーンは、お店によって値段もまちまちで、「相場」もなければ「定価」もありません。希少性や品質の差が大きいため、相場や定価が付けられないのです。
石の値段を決めるのは、中間マージンや人件費、場所代などのコストが絡み、「石の値段+α」が小売価格となります。そのため、お店やメーカーによっても値段の付け方が違います。供給も安定していないため価格の変動もあるので、ますます消費者にはわかりずらいですね。安い石もありますが、あまり安すぎると、質の良くないものや偽物である可能性もあります。
良いパワーストーンを購入するためには、お店選びも大切です。お店選びには、次のようなことを判断の参考にしてみてください。
・天然石やパワーストーンの専門店であること
・お客さんがたくさん入っている老舗店舗であること
・買い付けに慣れていて、適正価格で販売していること
・修理の体制が整っていること、など。
パワーストーンについて、選び方や石の特徴、楽しみ方をお伝えしてきました。石にまつわる物語や歴史や背景を知ると、石を選ぶのもますます楽しくなります。石は一粒から購入することができますし、アクセサリーのパーツも手に入りやすいので、ご自分だけのパワーストーンのアクセサリーを作ってみるのも素敵ですね。パワーストーンを選ぶ時の参考にしていただけたら幸いです。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
山本 菜摘