この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
山本 菜摘
昔は特別な意味合いがあるように思えたパワーストーンのブレスレットですが、最近はデザイン的にもおしゃれで可愛いブレスレットが増えてきました。ご自分に合ったパワーストーンのブレスレットを探してみませんか?パワーストーンのブレスレットとはどういうものなのか、歴史やお手入れ方法、石の特徴や組み合わせなどについて、お話してまいります。 また、今回のコラムにつきましては、あくまで一般通念的なことを挙げておりますので、参考までに留めておいてください。また表現につきましてご不快に感じる方がいらっしゃいましたら、大変申し訳ございませんが、あくまで一般論ということでご容赦いただければ幸いです。
パワーストーンのブレスレットに、どんなイメージを持っていますか?
かわいい、おしゃれ、数珠みたい、なにか意味があるのかな?そんなことを考えるかもしれませんね。近年はパワーストーンブームもあり、身近に感じることができるようになりました。
自分で身につけるために、またはプレゼントとしてパワーストーンのブレスレットを購入する方も、10年ほど前に比べたらとても増えてきたのではないでしょうか。かつては女性向けの小粒のパワーストーンがあしらわれたブレスレットが多かったのですが、最近は男性でもブレスレットを身につける方が増え、男性向けの大きめ石を使ったブレスレットも多くなっています。
パワーストーンとは、天然石の中でも「特別なパワーがある」と考えられている石のことです。「パワーストーン」とは日本独自の言葉で、英語では宝石を意味する「gemstone」、鉱物・結晶を意味する「crystal」などと呼ばれています。
ブレスレットとはジュエリーの一種で、手首や腕につける装飾的な帯や輪、鎖などのことです。 ブレスレットの語源はラテン語で「腕」を意味する「brachile」が、古フランス語で「腕」を意味する「barcel」を経由し、現代の「bracelet」になったと言われています。
世界で最も古いジュエリーは、紀元前3000年頃にさかのぼります。古代エジプト時代のネックレスとブレスレットだったと言われています。
歴史は非常に古く、紀元前のアッシリア人、バビロニア人、ペルシャ人、ヒッタイト人などが石や木、貝殻、動物の骨や牙などの素材を繋ぎ合わせて作ったブレスレットを身に着けていました。
当時は装飾品としてではなく、宗教的な目的やお金として利用され、非常に高価なものでした。使用されていた宝石は、ラピスラズリや水晶などです。
時代が経つにつれ、ブレスレットは宗教的な目的よりも、装飾品として重視されるようになりました。1890年代、イギリスのヴィクトリア女王などにより、精巧かつ複雑な作りのジュエリーが流行。第二次世界大戦後、アメリカでブレスレットが流行したことで、世界的に広まりを見せました。
縄文時代のものとみられる「貝輪」いう貝殻で作られたブレスレットが、貝塚から出土されています。弥生時代になって銅が使われるようになり、さらに古墳時代以降は石製品や金属が使われ、当時は手纏(たまき)や釧(くしろ)などと呼ばれていました。
パワーストーンのブレスレットを持つ際に「本当に効き目があるの?」という疑問を持たれるのではないでしょうか。「必ず効き目がある」と決めつけてしまうことは難しいのですが、「パワーストーンのブレスレットを身に着けていたら願いが叶った」と、何らかの効き目を感じる人も少なくありません。 その一方、「効果が感じられなかった」という人がいることも事実。 パワーストーンのブレスレットの効果は、科学的に証明できるものではありません。「効果がある」と言っても、気持ちや考え方によるものとされることも多く、確証がないのです。 「パワーストーンが願いを叶える」というよりも「パワーストーンを持つことで気持ちに変化があり、エネルギーが変わる。エネルギーが変わることにより現実も変化する」ということも考えられます。現実が変化するきっかけを、パワーストーンのブレスレットが作ってくれるのかもしれませんね。夢を持つことはとても大事なことですし、想いが夢そのもののエネルギーとなることもあります。
石によって「紫外線に弱い」「水に弱い」などの特徴がありますので、石に合ったお手入れをしましょう。どんなパワーストーンのブレスレットにも共通するお手入れ方法は、「使い終わったらやわらかい布などで拭いてからしまう」ということです。 また、パワーストーンならではのお手入れ方法に「浄化」というものもあります。
「浄化をする」ということは「掃除をする」ことと似ています。汚れたものをきれいな状態にしてあげることです。浄化の方法として挙げられるのは、石、香り、音、水、塩などがあります。 パワーストーンに合った浄化方法を選ぶことが大切です。その中でも、どの石にも万能な「石(水晶、または他の鉱物)を使った浄化」をご紹介します。
水晶のさざれ石や水晶クラスターを用意します。帰宅したら、身につけていたブレスレットを外し、さざれ石やクラスターの上に置きます。 一般的に水晶のさざれ石を浄化用に使用しますが、使わなくなってしまったパワーストーンのブレスレットの糸を切ってバラバラにし、さざれ石の代わりとして使うことも可能です。色とりどりの石を透明のグラスに入れておくととても綺麗で、インテリアとして見て楽しむこともできます。
パワーストーンのブレスレットは、壊れたり切れたりということがよくあります。
「何かよくないことが起こるのでは」と気にかかるかもしれませんが、 ブレスレットが切れることは自然なことです。
石は半永久的に使うことができますが、石をつなぐための素材は劣化を起こします。定期的に糸替えをするなど、メンテナンスをしながら使用することがお勧めです。
石が残っていて気に入っているものなら、つなぎ直してお使いいただくのが良いでしょう。石が壊れた、外れたといった場合、 「石が身代わりになってくれた」という考え方もあるようです。
石がなくなってしまった場合やブレスレットそのものがなくなった場合は 、エネルギーが変化している時かもしれませんので、新たなスタートに備えましょう。
パワーストーンのブレスレットは、どちらの手に着けるという決まりはありませんので、ご自分の着けたい方、しっくりくる方に着けていただくと良いと思います。 エネルギー的な考え方では、右手と左手に着けるのでは、意味合いが変わってくると考えます。左手は右脳に繋がり、右手は左脳に繋がっていますので、受けるエネルギーも変化するのです。
「金運アップ」「仕事運アップ」「現実的な変化を望むとき」などにサポートしてくれると言われています。バリバリ仕事をしたい、仕事で成功を収めたい、など、仕事を頑張りたい方には右手がおすすめです。
「エネルギーの吸収」「精神的な変化を望む時」「恋愛運アップ」「結婚運アップ」などをサポートしてくれると言われています。左手につけることで恋の悩みや対人関係など、精神的な面で効果があると考えられています。
人気のデザインは、丸いビーズ状のパワーストーンが連なり、何種類かの石を組み合わせているブレスレットです。石と石の間に金属のビーズやチャームを入れるとアクセントになります。 ミラーボール型にカットされたパワーストーンのビーズは、光に反応して美しく輝きます。 パワーストーンの組み合わせは自由で、 石の種類は3~4種類ぐらいまでがまとまりやすいです。
伸縮性の高いシリコンやポリウレタンなどのゴム紐に、ビーズなどを通してブレスレットは「数珠ブレス」と呼ばれています。留め具がないので、着脱しやすいという特徴があります。パワーストーンやアクセサリーを販売する店舗などで販売されているのは、このタイプが多いです。
一種類だけでなく、ほかのパワーストーンと組み合わせることが多い、パワーストーンのブレスレット。石を組み合わせることで、相乗効果が期待できます。 「願い事別」に相性の良いパワーストーンをご紹介いたします。
恋愛に対して、ポジティブに向かう姿勢とエネルギーをサポートしてくれる組み合わせです。 アメジストは誠実な恋愛をしたい時、ネガティブな気持ちを癒し精神を安定させたい時にサポートしてくれる石です。 愛と美を象徴するローズクォーツは、持ち主に自信を持たせてくれる石だと言われています。
仕事や受験、スピーチやプレゼンなど、判断力を高め本番に強くなる石の組み合わせです。 「深い知性」を象徴するタイガーアイは、受験や資格取得の時のサポートとなります。 心身のエネルギーの循環を良くするアンバーは、緊張をほぐしてリラックスさせ、自己肯定感を高められるようにサポートしてくれる石です。 自信をもって本来の力を発揮するためのお守りとなるでしょう
電気を発する石、トルマリンは細胞を活発にする効果があります。 疲労回復のブラックルチルや、「悪霊を追い払う石」として古代から重宝されたスモーキークォーツと組み合わせることで、生命力を高めてくれます。
淡く綺麗な色合いで、見ているだけで癒し効果がありそうな石の組み合わせです。 アラゴナイトは、より良い人間関係を築きたい時、ストレスの解消、心の安らぎがほしい時に効果があると言われています。 アベンチュリンは、新しいことを始めたい時、状況を好転させたい時にサポートとなってくれる石です。 海のように心を穏やかにしてくれるアクアマリンは、心身ともに疲れていて癒しが欲しい時に、助けになってくれると言われています。
お金が集まりやすいエネルギーを持ちながら、無駄な出費を防いでくれる石の組み合わせです。 「勝利へ導く石」として言い伝えのあるヘマタイトは、困難に立ち向かうパワーのある石だといわれています。 ルチルクォーツは「ルチル」と呼ばれる鉱石が針状に入り込んだ輝きの強い石です。金線入りのルチルは「金銭が入る」として金運アップに大変人気のある石です。
ラピスラズリは、心身の健康をサポートしてくれるので、お守りとして身につけると効果があると言われています。 無色透明のクリスタルは、持ち主の心の雑念を払い、集中力を高めてくれる効果があり、また逆に、頑張りすぎて気持ちが張り詰めている時には、緊張をほぐし気持ちをリラックスさせてくれます。 持ち主を邪悪なものから守り、運気アップをサポートしてくれる石の組み合わせです。
パワーストーンのブレスレットの価格は、千円台から数万円、上は数百万円までととても幅広いです。価格の変動が激しく希少価値の高い天然石と言えど、なぜここまで差が出るのでしょうか?
最近はパワーストーンを取り扱う店舗が増え、千円台からと低価格で売られているブレスレットを多く見かけます。 素材は天然石でも、石を一度溶かして不純物を取り除いて再生させた石や、安く入手できる石をトリートメント処理(染色)したものなどが圧倒的に多いのです。石を再生成している時点で結晶がなくなってしまうので、「パワーストーン」という観点で機能しづらくなりますが、ファッション感覚で気軽に楽しむことができます。
採掘地からそのまま届いた天然石は、やはり高価です。パワーストーンのほとんどが輸入なので、為替レートの影響を大きく受け、そのまま仕入れ価格に反映します。 完全天然石は大量生産することができません。「仕入れ値と希少価値が石の値段を左右する」ということがうかがえます。 また、効果を期待するのであればある程度の石の大きさが必要になるので、おのずと高価になります。
一本何万円もする完全天然石のパワーストーンのブレスレットは、一生ものになりそうですね。とっておきの願いを込めたブレスレットをいくつか持っているといいかもしれません。ファッション感覚でパワーストーンの色やデザインを楽しむには、低価格のブレスレットが楽しめそうです。パワーストーンのブレスレットとの出会いは一期一会。ピンとくるものがあれば、それは“運命の出会い”と言えるかもしれませんね。
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英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
山本 菜摘