天然石の種類や特徴は?

天然石の種類や特徴は?

昔も今も人々を魅了し続ける天然石は、心に癒しと潤いを与えてくれます。天然石は太古の昔から人々の暮らしには欠かせないもので、装飾品、護符、お守り、薬などに利用され、大切にされてきました。その歴史や種類、性質を知って、毎日の暮らしに天然石で彩りを添えてみませんか?

天然石とは?

天然石との暮らしを楽しむために

天然石とは、自然界で長い年月をかけて結晶化した鉱物のことを言います。人工的に作られていない鉱物や岩石の総称で、ダイヤモンドも、道端に落ちている石も天然石です。 天然石のうち極めて美しく価値が高いものを「宝石」「貴石」と呼び、宝石ほどではないけれど装飾などに使える天然石を「半貴石」と呼びます。貴石と半貴石の定義は、国によってもさまざまです。まずは硬度を基準にし、その上で美しさや希少性で貴石と半貴石を分けることが多いようです。

貴石(宝石)・半貴石の定義

宝石には次の三つの必須条件があります。 1.外観が美しいこと 2.希少性が高いこと 3.定められた基準以上の硬度と耐久性があること 硬度や耐久性に基準があるのは、摩擦により風化したり、劣化して観賞価値が下がったりしてしまうためです。衝撃により壊れにくいこと、ある程度の耐火性があること、化学薬品に侵されないこと、変色や退色しないことも宝石の条件となっています。 半貴石の硬度は、およそ7.5以下のものが多いようです。研究者によっても見解が異なりますが、多くの文献で「貴石」と定義されている天然石はおよそ20種類。それ以外の石を半貴石と呼びます。貴石と呼ばれるのは次の天然石です。ダイヤモンド、ルビー、スタールビー、サファイア、スターサファイア、エメラルド、ヒスイ、オパール、ブラックオパール、アレクサンドライト、ガーネット、キャッツアイ、ジルコン、スピネル、タンザイナイト、トパーズ、トルマリン、パライバトルマリン、アクアマリン、ペリドットなど。

天然石とパワーストーンの違い

天然石について調べようとすると、パワーストーンについて書かれていることも多いかと思います。天然石とパワーストーンの違いはあるのでしょうか? 天然石の中でも、人の体や潜在意識に働きかけると考えられているものを「パワーストーン」と呼んでいます。パワーストーンの多くは天然石でできていますが、必ずしも、天然石=パワーストーンとは言えないのです。

天然石の種類と特徴について

天然石の種類は何種類あるのでしょうか?国際鉱物学連合で承認されている鉱物は、約4000種類もあります。主にその鉱物の化学成分によって分類されているのだそうです。その中でも人気のある「誕生石」をもとに、天然石の特徴をご紹介してまいりましょう。

1月の誕生石 ガーネット

産地:インド、ブラジル、マダガスカル、タンザニア 色:暗い赤、褐色を帯びた赤、オレンジ、緑、紫 硬度:7.5 ラテン語で「種子」の意味を持つガーネットは、ざくろに似ていることから和名は「ざくろ石」と呼ばれています。古くから世界各地で「神聖な石」として大切にされてきました。ガーネットは12種類以上からなる宝石のグループ名で、内部に含まれる成分により、種類が枝分かれします。ガーネットと言えば「赤」というイメージが強いかもしれませんが、実はいろいろなカラーがあります。赤色系はアルマンディンガーネット、パイロープガーネット、ロードライトガーネットです。お手入れがしやすく、水にも紫外線にも強い、比較的扱いやすい石です。

2月の誕生石 アメジスト

産地:ブラジル、ウルグアイ 色:紫 硬度:7 和名を「紫水晶」と言い、その名の通り紫色の水晶です。ガラスのような光沢を持ち、紫の濃淡によってもさまざまな表情を見せてくれる、とても人気のある石です。古代から世界中の人々から愛される石で、旧約聖書の「出エジプト記」では僧侶の胸当てに飾られる宝石のひとつとされていたことからも、歴史の古い宝石であることがうかがえます。ギリシャ神話では「美女の化身」とされていた石で、「愛の守護石」とも言われています。アメジストは日光に弱く退色するという特徴があります。日の当たらない場所で保管しましょう。

3月の誕生石 アクアマリン

産地:ブラジル、ロシア、ナイジェリア、マダガスカル、インド 色:青、青緑色 硬度:7.5~8 ラテン語で水を意味する「アクア」と海を意味する「マリン」が語源となっているアクアマリンは、和名を「藍柱石(らんちゅうせき)」「藍玉(らんぎょく)」と言います。名前の通り、穏やかな海を連想させる美しい石で、「ベリル」という鉱物グループに属しています。アクアマリンの美しさは、「フランスの王妃、マリー・アントワネットが愛してやまなかった石」と伝えられるほどです。アクアマリンには「二色性」という特徴があり、見る角度によって透明に見えたり、ブルーに見えたりします。アクアマリンの種類には、深いブルーの「サンタマリアアクアマリン」、ブルーと乳白色をミックスしたような色の「ミルキーアクア」などがあります。

4月の誕生石 ダイヤモンド

産地:南アフリカ共和国、ボツアナ、ロシア、カナダ、オーストラリア 色:無色透明、黄色、褐色、ピンク、青、緑、黄緑、グレー、黒 硬度:10 地球上で一番硬い物質と言われるダイヤモンドは、四大宝石のひとつで、和名を「金剛石」と言います。ダイヤモンドの語源は、ギリシャ語で「征服できないもの」を意味する「adamas」です。ダイヤモンドの持つ美しさ、硬さ、希少性、安定性などから「宝石の王様」とも呼ばれ、古今東西、老若男女から愛される最も有名な宝石です。人類がダイヤモンドを発見した紀元前800年頃から特別な存在として、人々の暮らしに密接にかかわってきました。昔から婚約の証にダイヤモンドの指輪を贈る風習はありましたが、日本で現在のように婚約指輪の定番になったのは、1970年ごろからのことです。

5月の誕生石 エメラルド

産地:コロンビア、ジンバブエ、ブラジル、ザンビア 色:緑 硬度:7.5~8 和名を「翠玉(すいぎょく)」「緑玉(りょくぎょく)」というエメラルドは、四大宝石のひとつです。ベリルという鉱物グループに属する石のひとつで強い緑色をしていて、その気品あふれるカラーにとても人気のある宝石です。古代から宝飾品のほか、宗教儀式、お守り、占星術、医療にも使われてきました。天然のエメラルドには内部に無数の傷があり、傷があることが天然の証だとも言われています。そのおかげで硬度が高いにもかかわらず「衝撃に弱く欠けやすい」という特徴があります。太陽光や水にも弱いデリケートな宝石です。

6月の誕生石 ムーンストーン

産地:スリランカ、インド、ミャンマー、マダガスカル、タンザニア 色:乳白色、白、無色、グレー、黄色、黄緑、橙色、褐色、ピンク 硬度:6~6.5 和名を「月長石」というムーンストーンは、表面が青白く光り、月の輝きに似ていることから「ムーンストーン」という名前が付けられました。その青白く光る効果を「シラー効果」と言います。半透明の石がほとんどで、無色のものは大変希少です。ムーンストーンは紀元前1世紀ごろ発見され、プリニウスの「博物誌」やアルベルトゥスの「鉱物学」に、「月の満ち欠けで大きくなったり小さくなったりする石」と記述が残っています。神秘的な月のパワーを宿す石として、世界中で崇められていました。現在でも、ジュエリーとして大変人気の高い石です。

7月の誕生石 ルビー

産地:ミャンマー、タイ、スリランカ、ベトナム、カンボジア、マダガスカルなど 色:赤、帯紫赤色 硬度:9 四大宝石のひとつでもあるルビーは、和名を「紅玉」と言います。「宝石の女王」の異名を持つ、大変人気のある宝石です。歴史的にも古く、古代ギリシャ時代、ローマやインドにルビーが存在していました。多くの伝説を持ち、戦に勝つための最も貴重な石とされ、多くの権力者がルビーに集まってきました。歴史的も長い間貴重な石であり続け、宝飾品のほか薬としても利用されたりと、とても大切にされてきました。ルビーは「コランダム」というサファイアと同じ鉱物グループに属し、同じような性質を持っています。

8月の誕生石 ペリドット

産地:アメリカ、中国、ミャンマー、パキスタン、オーストラリア、メキシコ 色:黄緑色、緑、緑褐色、黒 硬度:6.5~7 和名を「橄欖石(かんらんせき)」というペリドットは、明るいオリーブグリーンをした美しい石です。「ペリドット」というのは宝石名で、鉱物名は「オリビン」といいます。古代の人々はペリドットを「太陽の石」「太陽が爆発してできた石」と考え、古代エジプト王朝では国家の象徴「太陽神」として崇拝していました。紀元前1500年ごろから宝飾品として親しまれています。ローマでは、暗くなっても明るく輝くことから「夜会のエメラルド」と呼んでいました。ペリドットの石の硬度は中程度ですが、内部に亀裂が多く割れやすいので、取り扱いには注意が必要です。

9月の誕生石 サファイア

産地:スリランカ、タイ、ミャンマー 色:青 硬度:9 和名を「青玉(せいぎょく)」「鋼玉(こうぎょく)」というサファイアは、四大宝石のひとつです。ルビーと同じ「コランダム」という鉱物グループに属し、赤いものをルビー、それ以外のものをサファイアと呼びます。色の違いは鉱物に混じる不純物によって決まり、広く知られる「ブルーサファイア」は、少量の鉄とチタンが含まれるのです。中世、仏教徒の間では特に尊重される石として扱われ、キリスト教では司教の受任のしるしとしてサファイアの指輪が与えられていました。価値が高いとされているのが、カシミール産の「コーンフラワー」、ミャンマー産の「ロイヤルブルー」と呼ばれるサファイアです。

10月の誕生石 オパール

産地:オーストラリア、メキシコ 色:白色 硬度:5.5 和名を「蛋白石(たんぱくせき)」という理由は、きらめかないタイプのオパールがゆで卵の質感に似ていることから付けられました。オパールの語源は諸説ありますが、古代サンスクリット語で宝石を意味する「ウルパ」、または、ラテン語の「オパルス」だと言われています。 オパールにさまざまな種類があり、同じ宝石だとは思えないほどの、色や異なる効果があります。石の中でモザイクのような青や緑の光が揺らめきながら光る「遊色効果」のある「プレシャスオパール」、赤から黄色の「ファイアーオパール」、乳白色の「コモンオパール」などがあります。きらめく光が魅力の、とても人気の高い宝石です。

11月の誕生石 シトリン

産地:ブラジル、インド、チリ 色:黄色、帯緑黄色、帯褐黄色 硬度:7 和名を「黄水晶」というシトリンは、その名の通り水晶(クォーツ)の一種です。シトリンの語源は諸説ありますが、フランス語のレモンを意味する「シトロン」だと言われています。明るい輝きを放つシトリンは、男女問わず年代を超えてとても人気があります。 天然のシトリンはとても希少で、なかなか市場に出回ることがありませんでした。アメジスト(紫水晶)を加熱するとシトリンになることが判明して以来、アメジストを加熱してシトリンを作るようになりました。現在流通するシトリンのほとんどは、加熱処理をしたものです。

12月の誕生石 ターコイズ

産地:イラン、アメリカ、エジプト、中国、メキシコ 色:青、青緑、スカイブルー、帯青緑色 硬度:5~6 ターコイズは和名を「トルコ石」というので、トルコで産出されると思われるかもしれませんが、実は違うのです。諸説ありますが、古代ペルシャやエジプトで採掘したターコイズを、トルコを経由してヨーロッパに運ぶことから「トルコ石」と呼ばれるようになったと言われています。 ターコイズは人類との関わりが最も古い石のひとつとさる石です。古代エジプト王の墓やインカ帝国の宝飾品、6000年前のペルシャの装飾品など、数々のターコイズが発掘されています。鮮やかで明るい空色の石、ターコイズは、男性からもとても人気のある石です。

天然石のジュエリーの価格について

「天然石のジュエリーが欲しい」と思ったら、「いくらぐらいするのだろう」と気になりますよね。天然石の価格は、大きさ、質、種類、希少性などによってさまざまで、相場も目まぐるしく変化しています。多種多様にある天然石ジュエリーの価格は一概には言えないのですが、おおまかにご予算別にご紹介します。

10,000円まで

小粒な天然石を使った日常使いのピアス、ビーズ状の天然石が連なったブレスレットなどがご予算10,000円ぐらいまでで購入することができます。

50,000円まで

シルバー、ホワイトゴールド、K10などの素材と天然石を使った指輪、ピアス、イヤリング、K18やプラチナと小粒な天然石を組み合わせたネックレスなどがあります。

10万円まで

K18やプラチナと天然石の組み合わせの指輪、ピアス、イヤリング、ネックレスなど、ある程度の石の大きさや品質のものが選べる価格帯です。

10万円以上

日常使いと言うよりは、少し特別感のあるジュエリーの価格帯です。

最後に

天然石の種類や特徴についてお伝えしてまいりました。知れば知るほど奥が深い、天然石の世界。天然石の歴史や性質を知っていると、ジュエリーを選ぶのも楽しくなりますね。この記事が天然石を身近に感じるきっかけになれば幸いです。

資格会員ディプロマ FGA 依田 優子

この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子

FOLLOW US