この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
6月の誕生石といえばパールを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? 実は6月の誕生石は3つあり、パールのほかにもムーンストーンとアレキサンドライトが有名です。 6月生まれのプレゼントとして誕生石をお探しの場合は、アレキサンドライトを選ぶことをおすすめいたします。
アレキサンドライト(alexandrite)は1830年にロシア帝国のウラル山脈にて、エメラルド鉱山から発見されました。当初は美しい緑色でしたが、夜になってロウソクの火で照らすと深い赤色に変化したことで、珍しい宝石として注目され現在に至ります。また、その美しさからロシアでは『皇帝の宝石』と呼ばれています。 昼と夜の光の加減で色味が変わるアレキサンドライトは、「昼のエメラルド」「夜のルビー」と呼ばれていて、非常に価値の高い宝石の1つです。2つの異なる色味を持つアレキサンドライトはその希少性の高さから、色味の変化具合によって大きく価値も変わります。 選ぶ際には実際に光の当て方を変えてみて、色味の変化を確認するといいでしょう。また、アレキサンドライトには「インクルージョン」と呼ばれる不純物が入っていることがありますが、それは天然の証でもあります。インクルージョンによる細かな光の反射によって、「キャッツアイ(シャトヤンシー)」と呼ばれるネコ目のような模様が現れることがあり、色味の変化に幅を持たせてくれます。 アレキサンドライトのキャッツアイは非常に珍しく、宝石としての価値は極めて高いといえます。
産地はスリランカ、ブラジル、ロシア、インド、タンザニア、マダガスカルなど 中でもロシアのウラル山脈産のアレキサンドライトは優れた変色効果が見られるとされ希少価値が高く、更に産出量が少ないため、滅多に市場に出回りません。また、ブラジル産も透明度と変色性が上質で希少価値が高いとされています。
アレキサンドライトは自然光の下では青紫色に輝き、蛍光灯などの人工光の下ではワインレッドへと色が変化する不思議な宝石です。ロシアのウラル山脈で発見され、ロシアの次期皇帝アレクサンドル2世を名前の由来とするため「皇帝の石」とも呼ばれた宝石です。こちらでは、アレキサンドライトを用いたネックレスのイメージやデザインから、素材や価格などを詳しくご説明していきます。
アレキサンドライトは、1830年にロシアのウラル山脈にあるトコワヤ河近くのエメラルド鉱山で発見された宝石です。自然光の下ではダークな青紫色を見せますが、暗い場所でろうそくの火を灯すとワインレッドへと劇的に変化することから大変貴重な宝石だとされました。光源によってカラーチェンジする珍しい宝石は、当時のロシア皇帝ニコライ1世に捧げられました。伝説によると、献上された日はロシアの次期皇帝アレクサンドル2世の誕生日にあたったことから、この宝石を「アレキサンドライト」と命名したと伝わっています。また、アレキサンドライトはカラーチェンジによって緑と赤を発色することから、ロシア帝国の国旗をイメージするものとして称賛されました。 1890年頃になると、ロシアのアレキサンドライトの採掘は枯渇してしまいます。1987年にはブラジルで発見され世界中で需要が急上昇しますが、こちらも現在は枯渇しています。その後、南アフリカやスリランカ、ビルマ、アメリカ合衆国などで原石が見つかっています。スリランカの結晶はロシアやブラジルのものより大きいものが多く、美しい発色をするため豪華なネックレスに使用されています。 アレキサンドライトは鉱物クリソベリルに属する宝石で、カラーチェンジするものをアレキサンドライト、キャッツアイ効果を見せるものをキャッツアイと呼んでいます。モース硬度が8.5と硬く、強いガラス光沢を見せる美しい宝石です。最初はエメラルド鉱山で見つかったことからエメラルドと間違えられましたが、変色効果や硬さの違いからエメラルドとは別の宝石であると区別されました。 原石が最初に発見されたロシアでは、アレキサンドライトを用いた豪華なネックレスが製作されました。ロシア皇帝御用達ジュエラーのカール・ファベルジェをはじめ、ティファニー社がヨーロッパの王族や米国の富豪などのために素晴らしいアレキサンドライトのネックレスを製作しています。
アレキサンドライトの魅力は、なんといっても神秘的なカラーチェンジを見せることです。太陽光の下では青紫色を発色しますが、蛍光灯などの下では深い赤色へと全く違う色に変化します。産地や結晶によっては色合いやトーンがわずかに異なるため、淡いブルーや濃いブルーなど好みに合った色合いのアレキサンドライトを選ぶことも可能です。 アレキサンドライトはモース硬度が8.5と高いため、耐久性にも優れています。ダイヤモンドやルビー・サファイアに続く高級な宝石とされるため、ラグジュアリー感の高いネックレスとして着用することができます。 アレキサンドライトは発見当初から長い間ロシアでしか採掘されておらず、ロシア皇帝の宝石として高貴なイメージが抱かれてきました。現在も産出量が限られており、美しいカラーチェンジ効果を見せるものは少ないことから、希少価値の高い宝石として大切に扱われています。 妖艶なブルーとカラーチェンジした後のワインレッドは、高級感あふれるネックレスとして女性のデコルテを美しく演出します。昼間の装いには洗練したクールな印象のブルー、夜の蛍光灯の下では華やかで情熱的なワインレッドと、ふたつの違った表情を楽しむことができます。ネックレスは人目につきやすいジュエリーですので、カラーチェンジ効果のはっきりしたものほどネックレスの素晴らしさが際立ちます。 アレキサンドライトは落ち着いた色合いをしているので、デイリー使いのネックレスとしても活躍します。パーティーなどの華やかな席で装う場合には、ダイヤモンドで取り囲んだ豪華なデザインを選ぶと良いでしょう。神秘的なアレキサンドライトのネックレスは、女性へのプレゼントとして高い人気があります。6月の誕生石に選定されているので、誕生日の贈り物としてもおすすめです。
ブルーからレッドへとカラーチェンジすることが特徴的なアレキサンドライトは、1粒ネックレスや小粒のピースを何石かセッティングしたものなど、デザインのバリエーションが豊富です。1カラットを超えるサイズのものはあまり多くなく、1カラット以下の大きさがほとんどです。 アレキサンドライトをカットする際には、原石の大きさや美しさを最大限に引き出すため綿密に計算されてから施されます。ラウンドブリリアントカットが一般的ですが、結晶の個性を生かすためにオーバルシェイプやペアシェイプにカットすることも多くあります。
アレキサンドライトを1粒配した、クラシカルなネックレスです。アレキサンドライトのシェイプはラウンド、オーバル、ペアなどさまざまです。4本の爪でシンプルに留めたアレキサンドライトをドロップしたデザインは、年齢や服装を問わずどんなシーンでも装えます。流行を追わない正統派スタイルなので飽きが来ず、長く使用することが可能です。流行や好みに左右されることがないデザインなので、プレゼントとしてもおすすめです。1粒をドロップしたデザインのほか、ダイヤモンドで囲んだ豪華なスタイルも人気です。
小粒のアレキサンドライトをモチーフの上に1石または2石以上配したネックレスです。花や動物のモチーフにアレキサンドライトを配したものや、ダイヤモンドで囲んだデザインなどバリエーションが大変豊富です。アレキサンドライトが2石以上配される場合は、色や透明感が統一していることが大切です。モチーフ全体を見たときに色が揃っていると、まるで1石であるような美しさを放ちます。
アレキサンドライトは、ダイヤモンドやルビー・サファイア、エメラルドなどに次ぐ価値の高い宝石ですが、ダイヤモンドやルビーなどと比較すると産出量が少なくなります。そのため、ジュエリーとして加工される際にはほとんどが1点ものとして製作されています。 これまでに製作された、有名ブランドによるアレキサンドライトのネックレスを2作ご紹介していきます。
ティファニーの創業者チャールズ・ティファニーの息子、ルイス・コンフォート・ティファニーが1914年にデザインしたアレキサンドライトのネックレスです。14カラット以上もある大きなアレキサンドライトを、ゴールドのフレームで包んだ豪華なデザインです。イエローゴールドのチェーン部分には、オパール、ガーネット、トルマリン、カーネリアン、アンバーなどのカラフルなビーズを繋げています。現在は、ニューヨークのメトロポリタン美術館が所有しています。
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/5403
2013年にイタリアのミラノでヴィクトールとナターリヤ・ボンダレンコ夫妻が設立した高級ファッションブランド、ルベウス(Rubeus)は芸術的なアレキサンドライトのジュエリーを製作したことで話題になりました。
ルベウスは、ロシアのウラル山脈産のアレキサンドライトを使用し、ネックレスをはじめとする素晴らしいジュエリーをいくつか製作しました。2.52カラットのラウンドカットから、69.37カラットのエメラルドカットのアレキサンドライトを美しいジュエリーに仕上げたのです。 ウラル山脈のアレキサンドライトを使用したジュエリーは「ウラル・コレクション」と名付けられました。製作にはパリのヴァンドーム広場の宝飾店で活躍するジュエリー・デザイナーとコラボレーションを行い、芸術感にあふれた作品が完成しました。
10.30カラットのアレキサンドライトをフラワーモチーフで包んだ「エターナル」は変形可能なデザインで、ドロップ部分を取り外したりブローチとして使用することもできます。
ダイヤモンドやルビー・サファイアと並ぶラグジュアリーな宝石とされるアレキサンドライトは、高級感のあるプラチナ素材でネックレスに加工されることがほとんどです。白い光沢は上品で高級感があり、アレキサンドライトの色がより美しく映えます。プラチナ素材は耐久性に優れており、酸に強いため変色や変質しにくいという特質を持ちます。汗や温泉にも強く、日常使いに向いています。日頃のお手入れはほとんど必要なく、柔らかい布でサッとふき取るだけで美しさをキープできます。ゴールドやシルバーなど、ほかの素材に比べて価格が高くなりますが、長期で使用したい方にはおすすめです。
ゴールドはプラチナに次いで人気の素材です。耐久性が高く、プラチナよりも安価で入手できるのも人気の理由です。色はイエロー、ホワイト、ピンクの3種類から選べますが、特にホワイトはプラチナの代用としても人気のカラーです。イエローゴールドは健康的でゴージャスな印象、ピンクゴールドは女性らしく可愛い雰囲気で日本人の肌に最も合うといわれています。ゴールドは耐久性がありますが、細かい傷が付きやすいという特徴があります。汚れが目立ってきたら柔らかい布で磨きますが、専用のクリーニング材や布を使用することも可能です。
シルバー素材はプラチナやゴールドに比べて安価ですので、小粒で評価の低いアレキサンドライトや、人工的に作られた合成アレキサンドライトのネックレスに加工することが多くあります。気軽にアレキサンドライトの魅力を楽しみたい方などには最適ですが、購入する前にはアレキサンドライトがシンセティック(合成)であるか天然であるかを確認して、納得のいく買い物をするようにしましょう。
アレキサンドライトは産出量があまり多くない希少な宝石です。神秘的なカラーチェンジを見せることから貴重な宝石とされ、ロシアでは皇帝の石として崇められてきました。主要な産地であったロシアやブラジルの鉱山は枯渇したことから、ロシア産やブラジル産のアレキサンドライトには大変高い価値が付けられています。 現在はスリランカなどで良質の結晶を産出していますが、やはり希少なことから価格は高めです。結晶は1ct以下のものがほとんどのことから、カラット数が多く濃くはっきりしたカラーチェンジを見せるものほど評価が高くなります。 品質やカラットによっては10万円前後から入手可能ですが、高品質のものであると20万円以上の価格になることがほとんどです。プラチナやゴールドなど、使用する素材によっても価格に違いが出ます。さらにダイヤモンドやカラーストーンなどをサイドに配したネックレスは、シンプルな1粒ネックレスよりも価格が高い場合があります。 アレキサンドライトは貴重な宝石であることから、合成石や偽物も多く出回っています。購入する前には鑑別書に記載されている事実を確認して、ご自分が納得できる品質と価格であることを確かめましょう。
とくに、男性へのプレゼントを考えている場合は、女性的なイメージのあるパールやムーンストーンよりも適しているといえます。光の加減によって変化する色味は二面性を表しているとされており、クールさと優しさを持つ男性へのプレゼントにはいかがでしょうか。アレキサンドライトをあしらった、おしゃれなカフスボタンなどがおすすめです。 女性にプレゼントする場合は、指輪やネックレス、ブローチなどのジュエリーですね。落ち着いた大人の雰囲気を演出するアレキサンドライトのジュエリーは、どんなファッションにも合わせられます。光の変化によるアレキサンドライトの色味の変化を楽しめるため、プレゼントしたときと色の変化に気づいたときの、2度のサプライズを与えられるはずです。
アレキサンドライトは「金緑石」とも呼ばれており、結婚45年の記念である「金緑婚式」にアレキサンドライトを贈ることがあります。大切な人と共に長い年月を重ねてきたことで、出会ったころとは違った一面も見えてきたことでしょう。それは2つの輝きを放つアレキサンドライトにも通じるものがあります。 すでに夫婦どちらかがアレキサンドライトをお持ちの場合には、ジュエリーリフォームとしてよみがえらせることも可能です。ジュエリー工房夢仕立では想い出のジュエリーをお好みのデザインにリフォームをすることができます。
アレキサンドライトの指輪 オーダーメイド制作
光の当て方によって色が変わる宝石
ペアシェイプのアレキサンドライトとダイヤモンドを組み合わせたオリジナルのペンダントをご希望で、いくつかデザイン案をご提案致しました。アレキサンドライトとダイヤモンドの対比を楽しめるように、お客様と打ち合わせを繰り返しながら、デザインを決定いたしました。また微妙なデザインであったため、仕上がった後も、デザイナーと職人の間でタンザナイトとダイヤモンドの配置を0.5mm単位で調整しました。もっともお客様のご希望に近い雰囲気に仕上げるために、何回も微調整を繰り返しましたが、その甲斐があり、お客様には大変お喜びいただくことができました。 加工期間:約7週間位(デザイン期間含む) 加工代金:約¥726,000位(税別)
石が取れてしまった状態。
修理後の状態
アレキサンドライトは光源によってカラーチェンジする宝石で、カラーチェンジの要因はクロムに由来します。このクロムの含有量によってカラーチェンジの具合が決まりますが、小さい宝石の場合は、当然含有量も少なく、本来のクリソベリルの色合いしか視認することができないものも少なくありません。そのため、小さいサイズできちんとカラーチェンジするアレキサンドライトを用意することは、簡単なことではありません。 ジュエリーとして製作されているアレキサンドライトのメレの品物は、どの品物も殆ど例外なくカラーチェンジします。理由としては、カラーチェンジしないアレキサンドライトはとても地味な色合いをしているため、カラーチェンジしないアレキサンドライトは人気がないためです。今回お預かりしましたアレキサンドライトのペンダントも、小さい石ですがきちんと緑と赤にカラーチェンジするメレサイズのアレキサンドライトが集められていたお品物でした。 小さいサイズのアレキサンドライトはご用意するだけで大変なのですが、このように整然と並んでいるアレキサンドライトの中に用意する石は、色むらのないように揃えなければならず、さらに困難を極めます。いくつか候補の石を揃えて、仮留めを繰り返し、色むらの極力少ないものを選んで最終的に仕上げました。色むらは殆どわからない程度に抑えることができましたので、自然な仕上がりになり、お客様にも大変お喜びいただくことができました。 加工期間:約3週間位 加工代金:約¥20,000位(税別)
アレキサンドライトは硬度が比較的高いため傷つきにくく、割れにくい性質を持っています。日光や外気温の影響も受けにくいため、普段からジュエリーとして身につけるのに向いています。 手入れをする際には柔らかい布で優しく表面の汚れを拭き取り、お湯を含んだ暖かい石鹸水で洗い流してください。 目立つ汚れは柔らかい歯ブラシで丁寧に落としましょう。洗い終わったらしっかりと拭き取り、水分を残さないようにしてください。 アレキサンドライトは表面の小さな亀裂を目立ちにくくする、フラクチャー処理が施されている場合もあるため、優しく手入れすることが大切です。 プレゼントとしてアレキサンドライトをご検討の方は、ぜひ当店にご相談ください。 オーダーメイドやジュエリーリフォームによって、世界に1つだけのジュエリーを作ることもできます。お気軽にお問い合わせください。
宝石言葉は純粋無垢、健康、長寿
パールは辛い経験をポジティブなものに変え、やさしく気持ちを静めてくれると言われています。古代ギリシャでは、真珠は愛の女神アフロディテの象徴で恋愛成熟のアイテムでもあります。
宝石言葉は愛の予感・純粋な愛
ムーンストーンは、乳白色で、美しく輝いている石で感情を整え、イライラを鎮めます。古来、インドでは、ムーンストーンは月の光が固まってできたものだと信じられていました。
宝石言葉は秘めた思い・情熱・誕生・高貴
ロシアで皇帝に捧げられたアレキサンドライトは、希少価値の高い宝石です。古来から豪華な指輪に配され、ロシア王族によって身に付けられてきました。アレキサンドライトは神秘的なカラーチェンジを見せるため、指輪として身に着けると昼と夜で違ったイメージを楽しむこともできます。こちらでは、アレキサンドライトの指輪のデザインや素材についてをご説明していきます。
神秘的なカラーチェンジが魅力的なアレキサンドライトのネックレスは、シックな装いから華やかなドレスまで、どんなシーンでも美しい輝きを引き立ててくれます。 アレキサンドライトはモース硬度が高く強い光沢を見せるため、長期の使用にも耐えるネックレスとして人気があります。日常のお手入れは、柔らかい布でサッと汚れをふき取る程度で十分です。汚れが目立ってきたら、中性洗剤を溶かしたぬるま湯の中で優しく洗ってあげましょう。泡をよくすすいだら、しっかりと乾かして冷暗所に保管するように心がけましょう。
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英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘