この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子
DAMIANI(ダミアーニ)は、1924年にエンリコ・ダミアーニによって設立されたイタリアの高級ブランドです。修理やサイズ直しはとても難しい作業になりますが英国宝石学協会公認ジュエリー工房である夢仕立には、熟練の職人が在籍していますので是非、私たちにお任せください。
DAMIANI ダミアーニ
ネックレスの修理
ダミアーニからのご依頼品です。 添付のチェーンを短く、またダミアーニのロゴの位置を少しずらして付け替えて欲しいというご依頼です。このペンダントは以前ダミアーニがお客様に販売したものだそうですが、ネックレス自体が長すぎてお客様が使いづらいと仰られていたため、夢仕立にご相談にいらっしゃいました。
よく検査いたしますと、周囲の石も数石動いていましたので、石留め加工も行いました。まず、全ての爪をチェックして、亀裂が入っていないかどうかの確認をします。亀裂が入っている部分を補修しながら、動いている石を留めていきます。このお品物は亀裂が入っている爪はありませんでしたので、残っている爪で全ての石を抑えました。爪に亀裂が入っている場合は亀裂補修のための作業を行なったり、爪を付け替えたりいたします。
チェーンの長さを変えるためには、このお品物は一度切断して、ロー付けにより接合し直す必要があります。比較的コマの大きなあずきチェーンですが、ダミアーニ製のあずきチェーンは線径が太いため、チェーンの長さを変えるためのロー付けの際のロー材が多量すぎると固まってしまいます。しかし、ロー材が少なすぎると、接合部分が重たいペンダントに耐えられません。そのため絶妙なロー材の量の加減が必要となります。 一般的にはこのようなロー付けの接合作業はロー材を多めにつけて強度を出しますが、仕上がりが歪になり綺麗に仕上がりません。作業スピードを出すためにロー材を多めにつけます。そのため多くのスピード仕上げを行なっている業者ではロー材を多めにつけて作業を行いますが、仕上がりが歪になる上に、修理箇所が引っかかってしまうこともあり、使い勝手も良くありません。 単純な作業ほど、前準備にどれくらい時間をかけるかということによって、その後の仕上がり具合や後々の耐久性の向上にもつながります。夢仕立では数々の経験から、作業の効率をあげるよりも、丁寧な作業の方がお客様のためになることがわかっているため、手間を惜しまずに前準備をいたします。 また、ロー付けの際の温度管理にもとても気を使います。今回のように一度切断することができる作業の場合は、切断時に出るほんのわずかな金属粉の内、3〜4粒を利用して温度をの調整をします。さらにロー材に元の金属粉を混ぜ合わせることにより、接合部分の金属腐食や痕が残り難いような材料を特別に作ってから作業を行いました。ここまで前準備を行なってから作業を行いますと、仕上げを最小限に抑えることができるため、極めて少ない研磨作業で綺麗に仕上がります。
研磨作業も「削る」という方法ではなく、「金属を移動させて滑らかにする」という昔ながらの「ヘラがけ」を手作業で行い、基本的にはヘラがけを中心に行います。ヘラがけは金属を細かく移動させて表面を滑らかにするとともに、鍛金の効果もありますので地金自体の強度をあげる効果があります。この作業もスピード重視の場合はバフと呼ばれる回転式研磨布だけを使って磨きますが、バフを使いすぎると金属が削れる上に余計なダメージが残ります。全くバフを使用しないわけにはいかないのですが、極めて少ない時間しか使用しないようにするためには、丁寧に時間をかけて行うヘラがけが欠かせません。
ヘラがけを行なった上で、ロジウムメッキを厚メッキにて仕上げます。厚メッキは通常のメッキの上にさらにメッキを行うことで仕上がりますが、時間が2倍以上かかってしまいます。時間はかかりますが、メッキもジュエリー全体の強度を増すためには欠かせません。接合部分が綺麗に整うだけではなく、全体の強度をあげて接合部分の補強をする意味でも必要な行程となります。 こちらもスピード重視の場合はメッキ仕上げを一度も行わないで仕上げてしまうこともあるようですが、夢仕立ではメッキ仕上げを行うことができるお品物で、お客様からメッキ仕上げ不要というお申し出がなければ、基本的にはメッキ仕上げを行うようにしております。 このようにして仕上げられたネックレスは新品同様に綺麗になり、ネックレスの長さもお客様が最も使いやすい長さに調節することができたため、お客様にも大変喜ばれました。 修理加工代金:¥32,000位 修理期間:約3週間
マーガレットの花をモチーフにしたというダミアーニの「マルゲリータコレクション」。12枚の花びらが広がるデザインは大変華やかでエレガントです。5.5号アップの大幅なサイズ直しでしたが、変形もなく綺麗に仕上がっています。石の輝きも戻り、きらきらと光を受けるブランドアイコンらしい佇まいをまた存分にお楽しみいただけるかと存じます。 お受け取りの際はセットでご購入されたというペンダントをお召しになってご来店くださり、「やっと一緒に着けられます」と大変ご満足いただけた様子で、早速リングも着けて帰られました。
1924年にイタリアジュエリーの街として有名なヴァレンツァで創業されました。このブランドは創業者であるエンリコ・グラッシ・ダミアーニがダイヤモンドジュエリーの製作を開始したことが始まりです。 創業者であるエンリコ・グラッシ・ダミアーニは卓越した技術により繊細な細工を施したジュエリーを多数発表。それが王侯貴族や多くのセレブリティから絶大に支持を受け、ジュエラーとして大成功を収めました。 その後も息子のダミアーノ・グラッシ・ダミアーニ、3代目のグィド・グラッシ・ダミアーニと継承されると、起業家としての力も発揮され、より多くの人からも支持されるような魅力的なデザインを多く発表するようになりました。 ダミアーニのジュエリーは、クラシカルなデザインからモダンなものまで、デザイナーのあふれる創造性と高い技術力が合わさったバランスの取れたスタイルが特徴と言われています。そしてダミアーニのジュエリーは、ヴァレンツァの自社工房で宝石の選定からジュエリーを仕上げる各工程まで自社工房の職人がハンドメイドで行っており、その高い技術で世界最高の権威を誇るダイヤモンド・インターナショナル賞を18回も受賞しました。 世界的にハイジュエラーとしての地位を築いたダミアーニは、ブラットピットやミラジョヴォヴィッチ、グヴィネスパルトロウ、シャロンストーン、ソフィローレンと数多くのセレブリティから支持を受けています。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子