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【HARRY WINSTON】レッドカーペットの歴史を築いた、ハリーウィンストンのジュエリー

米国の宝飾店ハリー・ウィンストンは、世界5大ジュエラーのひとつに数えられる名門ジュエラーです。レッドカーペットで女優達がジュエリーを着用する伝統をスタートさせたことから、スター達のジュエラーと呼ばれてきました。ハリー・ウィンストンのジュエリーの歴史からデザインやイメージ、代表的な婚約指輪についてをご紹介したいと思います。

ハリー・ウィンストンのジュエリーの歴史について

 

1896年、ウクライナから米国に移住し宝飾店を営んでいた両親の元で、ハリー・ウィンストンが誕生します。幼少の頃から家業を手伝ったハリーは宝石商として独立し、1932年にはニューヨーク5番街に「ハリー・ウィンストン社」を設立しました。 1935年には726カラットという大きさのダイヤモンド原石「ヨンカー」を購入します。原石はエメラルドカットの125.35ctを最大とする、12個に分割されました。1938年には、ブラジルで発見された726.60ctのダイヤモンド原石「ヴァルガス」を購入します。 1940年代、ダイヤモンドそのものの美しさを引き立たせるため、貴金属の爪が見えないセッティング法「クラスター技法」を考案します。この特殊な技法は、後にハリー・ウィンストンを代表するデザインとなります。 1944年、アカデミー賞主演女優賞を受賞した女優ジェニファー・ジョーンズにダイヤモンドのジュエリーを着用してもらいます。これを機にハリウッドスター達がレッドカーペットでハリー・ウィンストンのジュエリーを着用することが習慣となり、「スター達のジュエラー」として有名になります。 1949年、アメリカ社交界で有名な富豪、マックリーン夫人のジュエリーコレクションを購入します。その中には、呪いのダイヤモンドして有名な「ホープ」も含まれていました。この年から1953年まで、「コート・オブ・ジュエルズ(宮廷の宝飾品)」と題した寄付金活動の展示会を開催します。 1955年、スイスのジュネーブに最初の海外ブティックをオープン。1957年にはフランスのパリにブティックをオープンします。1958年には、「ホープ・ダイヤモンド」をスミソニアン博物館に寄贈します。 1960年、店舗を現在の本店があるニューヨーク5番街718番地へ移転します。1966年、241ctのダイヤモンド原石を69.42ctのペアシェイプにカット。俳優のリチャード・バートンが購入し、妻で女優のエリザベス・テイラーへ贈ったことから「テイラー・バートン・ダイヤモンド」と呼ばれ有名になります。 1978年、創業者ハリー・ウィンストンが82歳で他界します。1988年には日本初のブティックを銀座にオープン、1989年にはウォッチ・コレクションを発表し、時計製造をスタートします。2007年にはスイスのジュネーブに独自の時計工場をオープンしました。 2014年、スイスのジュネーブで開催したクリスティーズの競売で13.22ctのブルーダイヤモンドを購入します。過去最大級でフローレス、ファンシービビッドブルーのダイヤモンドは「ウィンストン・ブルー」と名付けられました。

ハリー・ウィンストンのイメージについて

 

ハリー・ウィンストンのジュエリーは、映画の中やレッドカーペットで着用されるなどして、ハリウッドスターを美しく彩ってきました。創業者はダイヤモンドジュエリーに熱い情熱を注ぎ、ダイヤモンドの王との異名を持ったほどです。そんなハリー・ウィンストンの魅力に迫ってみましょう。

スターたちのジュエラー

レッドカーペットで女優達がジュエリーを纏うスタイルを築いたのは、ハリー・ウィンストンです。1944年にアカデミー賞授賞式でジェニファー・ジョーンズが着用して以来、ハリー・ウィンストンはレッドカーペットを彩るジュエラーとして知られてきました。実はそれ以前にも、1930年代にもダイヤモンド原石「ヨンカー」をシャーリー・テンプルやクローデット・コルベールが手にした写真を広告に起用するなど、ハリウッドによる宣伝効果を使用していたのです。

希少なダイヤモンドのコレクション

ハリー・ウィンストンは、多くの希少なダイヤモンドを収集してきたことで知られます。伝説の「ホープ・ダイヤモンド」を始め、726ctの原石「ヨンカー」、世界最古のダイヤモンドで90.38ctの「ブリオレット・オブ・インディア」、24.78ctでエメラルドカットのピンクダイヤモンド「グラフ・ピンク」、253.7ctの原石「オッペンハイマー」などコレクションは30個以上に渡ります。これらの多くは売却されたり博物館へ寄贈されています。

クラスター技法

「ジュエリーの美しさは宝石そのものにある」との信念を持っていたハリー・ウィンストンは、クリスマス・リースから着想を得た革新的なセッティング法を考案します。ファンシーカットのダイヤモンドをプラチナやゴールドの爪が見えない方法で留め、立体的に見える「クラスター技法」でした。あらゆる角度から光を反射し、まるで葉や花が揺れているような美しいフォルムを表現することが出来たのです。

キング・オブ・ダイヤモンド

クラスター技法を誕生させたハリー・ウィンストンは、「キング・オブ・ダイヤモンド(ダイヤモンドの王)」との異名を持つようになります。ダイヤモンドが持つ自然の美しさを最大限に引き立てたジュエリーは、多くの女性を虜にしました。ジュエリーに採用するダイヤモンドは最高品質だけを選び抜き、メゾンの伝統を引き継ぐ高技術のクラフツマンシップで制作されています。

ハリウッド映画で使用される

ハリー・ウィンストンのジュエリーは、ハリウッド映画の中でも使用されてきました。「紳士は金髪がお好き」のマリリン・モンローはハリー・ウィンストンのジュエリーをまとい「教えて、ハリーウィンストン!私にダイヤモンドの全てを!(Talk to me Harry Winston, tell me all about it!)」と歌いました。このほか「汚名」「卒業」「世界中がアイラブユー」「10日間で男を上手にフル方法」などの名作で、ウィンストン社のジュエリーが着用されています。

ハリー・ウィンストンのデザインについて

ハリー・ウィンストンのジュエリーは、創業者の情熱を継承した伝統的なデザインと技法が用いられています。綿密に計算されたデザインと繊細なセッティングにより、ダイヤモンドが最高に美しく輝いています。ブランドを象徴するデザインやコレクションを以下にまとめました。

クラスター技法

 

ダイヤモンドを極めて細いプラチナワイヤーで留めた、特殊なセッティング方法です。爪がないためダイヤモンドが大きく輝き、ジュエリーが立体的で自然に見えます。花や植物モチーフに用られることが多く、繊細かつ豪華な輝きとフォルムの表現が可能になりました。この技法はブランドを象徴する特別な技法として、伝統的に引き継がれています。現在も「クラスター・コレクション」として様々なデザインを展開しています。

ダイヤモンド

キング・オブ・ダイヤモンドの異名を持つハリー・ウィンストンは、ダイヤモンドが最高に美しく輝くデザインと技法でジュエリーを制作してきました。すべてのコレクションはメゾンが厳選した最高品質のダイヤモンドだけを使用し、独自の技法による高技術のクラフツマンシップで手作りしています。婚約・結婚指輪やウエディング・ジュエリーなどのブライダル・コレクションは、憧れのブランドとして高い人気を得ています。

エメラルドカットとHWロゴ

エメラルドカットは、創業者ハリー・ウィンストンが気に入っていたシェイプでした。エメラルドカットの8角形はHWロゴを取り囲むフォルムに採用され、ブティックのショーウインドウにも使用されています。8角形を連ねたダイヤモンド・リンク・コレクションや、HWロゴをあしらったHWロゴ・コレクション、8角形のHWロゴによるチャーム・コレクションなどに使用されています。

フラワーモチーフ

揺れ動く花をモチーフにした、華やかなデザインです。ヒマワリが光を受けて大きく輝くような「サンフラワー」、可憐な忘れな草がモチーフの「フォーゲット・ミー・ノット」。クラスター技法による繊細な蓮の花の「ロータスクラスター」と咲き誇るユリの花の「リリークラスター」など、花びらに見立てたダイヤモンドが豪華に輝くコレクションを展開しています。サファイア・ルビー・エメラルドなどの色石を配したジュエリーも揃います。

ハリー・ウィンストンのエンゲージメントリング

選りすぐられた最高品質のダイヤモンドを使用したハリー・ウィンストンのエンゲージメントリングは、ハリウッドセレブや国内芸能人が婚約時に贈られたことでも知られています。こちらでは、代表的な6つのエンゲージメントリング・コレクションをご紹介させて頂きます。

クラシックリング(エンゲージ)について

イメージ

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドをセンターに、両サイドにはテーパードバゲットカットのダイヤモンドを配したエンゲージメント・リング(婚約指輪)です。ハリー・ウィンストン独自のスタイルによる爪留めを使用し、ダイヤモンドを高い位置で留めて光を大きく取り入れるデザインです。ダイヤモンドは1ctアップから選択可能で、ラウンドブリリアントカットのほか、ペアシェイプ、クッションカット、オーバル、エメラルドカット、ハートシェイプから選ぶことが出来ます。

平均価格

2,000,000円台~。

地金と宝石の種類

プラチナ、ダイヤモンド1ctから。

寸法

幅…約2.33mm

HWリングについて

イメージ

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを、HWのロゴの台座で留めたエンゲージメント・リングです。HWはブランドロゴだけではなく、夫の「ハズバンド(Husband)」と妻の「ワイフ(Wife)」という意味も込められました。すっきりしたイメージの台座とプロングは、どの角度から見ても洗練された印象です。「マイクロパヴェ・リング」は、台座のHW部分にパヴェダイヤモンドが配されています。

平均価格

1,000,000円台~。

地金と宝石の種類

プラチナ、ダイヤモンド(主石:0.5ct、0.7ct、1.0ct)。

寸法

幅…最大約6.6mm~最小約2.6mm

厚み…最大約6.8mm~最小約1.5mm

トリストリングについて

イメージ

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドの両サイドに、合計4石のラウンドダイヤモンドをあしらったエンゲージメント・リングです。ハリー・ウィンストン独自の爪留めによる、計算し尽くされた美しいフォルムが魅力です。センターのダイヤモンドは、ハートシェイプ、エメラルドカット、ペアシェイプ、マーキスカットなどが揃います。

平均価格

1,400,000円台~。

地金と宝石の種類

プラチナ、ダイヤモンド(主石:0.77~0.99ct)。

寸法

幅…約2.0㎜~ 6.8mm 厚み…約 5.1mm

ベル・バイ・ハリーウィンストンリングについて

イメージ

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを、パヴェダイヤモンドで取り囲んダエンゲージメント・リングです。幾何学的なフォルムのフレームとアームにダイヤモンドをマイクロパヴェセッティングした、華やかなデザインです。1920年代初頭、ハリーウィンストンが獲得した故アラベラ・ベル・ハンティントン夫人のジュエリー・コレクションに敬意を表して「ベル」と名付けられました。

平均価格

1,900,000円台~。

地金と宝石の種類

プラチナ、ダイヤモンド(主石:0.5ct~)。

寸法

最大幅…約 9.8mm 厚み…約 5.6mm

ウィンストン・ブロッサム・エンゲージメントリングについて

イメージ

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを、プラチナとダイヤモンドによる16個の花びらで囲んだエンゲージメントリングです。大きさの異なるプラチナの花びらを交互に連ねて、豪華な輝きを一層高めています。アームにもダイヤモンドがマイクロパヴェセッティングされています。

平均価格

1,900,000円台~。

地金と宝石の種類

プラチナ、ダイヤモンド(主石:0.5ct、0.7ct、1.0ct)。

寸法

幅…約2.0㎜

マイクロパヴェリングについて

イメージ

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを、マイクロパヴェセッティングしたダイヤモンドで囲んだエンゲージメントリングです。ダイヤモンドをフレームいっぱいに敷き詰め、太陽の輪のような豪華な輝きを演出しています。スリムなアームと台座にもダイヤモンドがマイクロパヴェセッティングされた、繊細でエレガントなスタイルです。ダイヤモンドは、クッションカットとオーバルシェイプも展開しています。

平均価格

2,000,000円台~。

地金と宝石の種類

Pt950プラチナ、ダイヤモンド(主石:0.5ct~)。

寸法

幅…約1.8㎜

最後に

キング・オブ・ダイヤモンドとして、確固たる地位を築いてきたハリー・ウィンストンのジュエリーは、レッドカーペットをはじめとするハリウッドセレブ達に愛されてきました。婚約指輪としての人気も高く、国内でも北川景子さんや山田優さんなどがハリー・ウィンストンの婚約指輪を贈られたことで知られています。

資格会員ディプロマ FGA 依田 優子

この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子

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