【カルティエ】ジュエリーの歴史と代表的なリング

【カルティエ】ジュエリーの歴史と代表的なリングについて

世界5大ジュエラーのひとつであるカルティエは、ジュエリー史に残る数々の名作を世に送り出してきたパリの宝石商です。パリの小さな工房からスタートしたカルティエは、世界各国の王室御用達ジュエラーとなり、現在も多くのハリウッドセレブや国内芸能人たちが愛用しています。女性の憧れの宝飾ブランド、カルティエの歴史や代表作についてのお話をお伝えしていきます。

カルティエのジュエリーの歴史について

カルティエは1847年にパリで宝石細工師のルイ・フランソワ・カルティエが設立した宝飾店です。師匠から工房を引き継いだのが始まりで、後にルイ、ピエール、ジャックの3人の息子達によって「カルティエ」の名が世界に知られるようになります。 1859年にはイタリアン大通りに移転します。ナポレオン三世の妻ウジェニー皇后が顧客となります。 19世紀のカルティエでは、当時の建築や芸術スタイルを取り入れた折衷主義のデザインを用いていました。古代から着想を得たデザインや花や動物のモチーフを、ゴールドやカラーストーンで華やかに表現したのです。エナメルやカメオといった特殊な技術も使用されています。 1898年、パリのヴァンドーム広場のラ・ぺ通りに本店を移転。創業者の息子ルイが共同経営者となります。 19世紀後半、「ガーランドスタイル」のジュエリーを考案します。プラチナをレース編みのように仕立て、ダイヤモンドを配した繊細なデザインでジュエリー界に新風を吹き込みました。 20世紀に入ると幾何学模様を取り入れた「アールデコ様式」を提案し、流行の先駆者となります。 1906年、ロンドン支店を引き継いだジャック・カルティエは、イギリス領土であったインドへと渡ります。1920年代には現地で買い付けたルビー、サファイア、エメラルドを用いた、カラフルなジュエリーが製作されました。1936年には、ミシン製造業者「シンガー」創業者の孫娘で大富豪のデイジー・フェロウズの特別注文による「ヒンドゥ―ネックレス」が製作されます。この頃のカラフルなジュエリーは「トゥッティ・フルッティ」と呼ばれています。 1910年代には、ヘビやワニなどの爬虫類をモチーフにした作品を発表します。連結構造によって全身が動くように作られており、爬虫類のしなやかで長いフォルムを自然に表現しています。 1914年、豹をモチーフにした「パンテール」を発表します。当初はオニキスによるヒョウ柄モチーフでしたが、1917年に豹のアニマルモチーフが完成します。1949年には、豹がサファイアの珠に乗ったブローチを英ウインザー公爵夫人が購入しました。 1920年代には、中国文明の神話に登場する龍をモチーフにした「キメラ」を発表します。珊瑚やカラーストーンを用いた色鮮やかな作品には、オリエンタルの様式美が織り込まれています。 1924年にはトリニティ・コレクションを発表します。忠誠・愛・友情を象徴する3色のゴールドの3連デザインは、カルティエのアイコンとなります。 1930年以降になると、バラやマーガレットやユリなどの花をモチーフにしたジュエリーを製作します。爪が見えないセッティング法やカラーストーンを用いた、立体的で動き出しそうなデザインが特徴的です。 1940年以降は、古代エジプト、中国、アフリカなどから着想を得たアニマルモチーフを取り入れます。実在する動物やドラゴンなどの空想的な動物から、爬虫類や昆虫などをモデルに、美しいカラーストーンとダイヤモンドで立体的なジュエリーとして製作しました。 1970年には、ニューヨークで永遠の愛を象徴する「LOVEコレクション」と1本の釘をモチーフにした「ジュスト・アン・クル」が誕生しました。モダンで洗練されたデザインは、メゾンを代表する定番アイテムとなりました。

【Cartier】カルティエ LOVEリングのサイズ直し

カルティエのジュエリーのイメージ

カルティエは世界各国の王室御用達ジュエラーとして活躍し、斬新なデザインでジュエリー界に新風を吹き込んできました。カルティエのジュエリーのイメージを、メゾンの歴史と伝統と共にお伝えしていきます。

世界各国の王室御用達ジュエラー

カルティエは歴代、インドのマハラジャ、ナポレオン3世の妻ウジェニー皇后、英国王エドワード7世などが顧客として名を連ね、フランス、イギリス、スペイン、ベルギー、ロシア、インドなど世界16か国の王室御用達ジュエラーに任命されてきた宝飾店です。エドワード7世はカルティエを「王の宝石商、宝石商の王」と称えたほど。最高品質を求める世界の王族が認めた、歴史に残る作品を世に送り出してきました。

革新的なデザインでジュエリー界に革命を起こす

【カルティエ】革新的なデザイン

カルティエはプラチナ素材を世界で初めて使用したジュエラーです。それまで主流だったシルバーに代わり、レース編みのような繊細なデザインの「ガーランド様式」を誕生させました。1920年代にはモダンな幾何学模様を取り入れた「アールデコ様式」を考案し、ジュエリー界に革命を起こします。豹をモチーフにした豪華な「パンテール」、ネジを留めて装着する「ラブブレスレット」などカルティエ独特の革新的なデザインで世界を驚かせてきました。

最高品質の素材と一流技術で製作したジュエリー

カルティエではゴールドやプラチナの地金に、選び抜かれた最高品質のダイヤモンドやカラーストーンを使用したジュエリーを製作しています。素材の美しさを際立たせるため、デザインは綿密に計算されます。メゾンの技術を引き継ぐ一流のクラフツマンシップで丁寧に手作りしており、作品にはカルティエ独自の技法を取り入れています。世代を超えて受け継ぐことができるカルティエのジュエリーは、資産としての価値も期待できる高品質です。

アイコニックなデザイン

現在カルティエが展開するジュエリーのコレクションは、カルティエならではの独特なデザインでありながら、毎日着けることができるシンプルなフォルムで製作されています。定番アイテムとなった「トリニティ」「LOVE」「ディアマンレジェ」から、個性的な「ジュスト・アン・クル」や「クラッシュ・ドゥ・カルティエ」まで豊富なデザインを展開しています。ほとんどのラインがユニセックスで着用できるため、すべての人々に愛されています。

世界5大ジュエラーのひとつ

カルティエは、ティファニー、ブルガリ、ハリー・ウインストン、ヴァン・クリーフ&アーペルとならぶ世界5大ジュエラーのひとつです。創立以来、確かな品質と優れたデザインのジュエリーを製作し、世界の王侯貴族やセレブ達を魅了してきました。世界中の誰もが認める名立たる宝飾店として、確固とした位置を確立しています。

カルティエのジュエリーのデザイン

カルティエは創立以来、様々なデザインのジュエリーを世に送り出してきました。メゾンの歴史と共に、デザインの変遷をたどってみましょう。

ガーランドスタイル

19世紀末にルイ・カルティエが生み出したスタイルです。プラチナとダイヤモンドでレース編みのように見立てた繊細なデザインは、ジュエリー界に革命を起こしました。外部から見えないセッティング法を使用し、王室のティアラやブローチなどが製作されています。

アールデコ

1920年代に発表した、幾何学的模様による現代的なデザインです。サファイア、エメラルド、ダイヤモンドとオニキスなど斬新なカラーコントラストを使用したジュエリーを発表し、アールデコブームの先駆者となりました。

パンテール

【カルティエ】パンテール

1914年に発表した、豹(パンテール)をモチーフにしたコレクションです。1949年には英ウインザー公爵夫人ウォリス・シンプソンが、有名なパンテール・ブローチを購入。152.35ctのカシミール産サファイアの珠に豹が乗った、大変豪華なデザインです。

トリニティ

1924年に誕生したコレクションです。3つのゴールドリングを連ねた3連のデザインで、YGは忠誠、PGは愛、WGは友情を意味します。カルティエを代表するアイコニックなリングとして、定番人気があります。

LOVE

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1970年にニューヨークで発表したコレクションです。永遠の愛と絆を象徴するブレスレットは、パートナの手首に添うように作られた楕円形のフォルムで、ネジ(ビス)モチーフが施されています。着け外しには専用のスクリュードライバーを必要とします。

Cドゥカルティエ

カルティエのイニシャル「C」をモチーフにしたコレクションです。シンプルでありながら綿密に計算された、エレガントなデザインが特徴的。カルティエのロゴを施したタイプなど、洗練されたスタイルです。

ディアマンレジェ

定番人気のある、一粒ダイヤモンドのコレクションです。メゾンの宝石職人が厳選した、最高品質のダイヤモンドをベゼル・セッティングしたジュエリーが揃います。ピンクサファイアの一粒タイプも展開しています。

エタンセル

メレダイヤモンドを配した豪華なコレクションです。エタニティやパヴェなど、ダイヤモンドをびっしりと敷き詰めたラグジュアリーな雰囲気です。シンプルなフォルムにダイヤモンドが輝き、大変華やかな印象です。

ジュスト・アン・クル

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1970年代にニューヨークで誕生したコレクションです。フランス語で「1本の釘」という意味で、釘が曲線を描いたフォルムに仕立てたモチーフです。活気あふれる自由なニューヨークの街から着想を得ています。

クラッシュ・ドゥ・カルティエ

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スタッズやビーズを施した、独創的なデザインのコレクションです。立体的で躍動感のあるフォルムを生かした、モダンなスタイルが特徴的。シャープな印象で、スタイリッシュに装えるジュエリーが揃います。

カルティエのジュエリーの代表的なリング

カルティエのジュエリーは、メゾンの伝統技術を継承する熟練職人によって丁寧に手作りされています。カルティエを代表する4つのリングコレクションをご紹介していきます。

1895ソリテールリング

1895年に発表された、カルティエのクラシックコレクションの代表作です。一粒ダイヤモンドを4本爪でセッティングしたデザインで、婚約指輪として定番人気があります。しなやかなラインを描いたフォルムの台座に、カルティエが厳選した最高品質のダイヤモンドを配しています。ダイヤモンドはラウンドブリリアントカットのほかファンシーカットも揃い、アームにパヴェダイヤモンドをあしらったデザインも展開しています。「バレリーナ」「デスティネ」「LOVE」「トリニティ」コレクションに一粒ダイヤモンドを配したソリテールリングも発表しています。

平均価格
30万円台から。(詳しい価格は店舗への問合せとなります。)

地金と宝石の種類
プラチナ、イエローゴールド、ピンクゴールド。
ダイヤモンド、パヴェダイヤモンド。

寸法
幅/約1.8㎜~2.3㎜

バレリーナリング

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アームがフロントに向かって滑らかな曲線を描いた、しなやかなフォルムのバンドリングで、結婚指輪として人気のコレクションです。アームがストレートのタイプや、ダイヤモンドを配したもの、フルエタニティ、ハーフエタニティのデザインも展開しています。

平均価格
18万円台~60万円台。

地金と宝石の種類
ピンクゴールド、プラチナ、ダイヤモンド。

寸法
幅/約2.1㎜ 厚み/約1.6㎜

ラブリング

1970年にニューヨークで誕生したコレクションです。永遠の愛を象徴する、アイコニックな「ビスモチーフ」が施されています。愛の絆と束縛をテーマに、結婚指輪やペアリングとしてカルティエを代表するアイテムとして知られています。幅が広いストレートのアームですが、幅のバリエーションや地金の種類が豊富です。ダイヤモンドを配したものや2連リングなど、さまざまなデザインが揃います。

平均価格
19万円台~170万円以内。

地金と宝石の種類
イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールド、プラチナ、セラミック、ダイヤモンド。

寸法
幅/約3.5㎜~11.0㎜
厚み/約1.1㎜~2.1㎜

トリニティリング(3連リング)

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イエロー、ピンク、ホワイトの3色のゴールド製のリングを連ねた、カルティエの永遠の定番アイテムです。「トリニティ」はキリスト教で三位一体という強い絆を意味する言葉で、イエローゴールドは「忠誠」、ピンクゴールドは「愛」、ホワイトゴールドは「友情」を象徴します。時代を超えて、すべての年齢層に愛されて続けているアイテムです。クラシックな3連リングのほか、ストレートのウエディングリング、ダイヤモンドを配したものやエタニティリングやパヴェダイヤモンド、セラミック製などデザインの幅が大変豊富です。

平均価格
15万円台~50万円台。

地金と宝石の種類
イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールド、プラチナ、セラミック、ダイヤモンド。

寸法
幅/約2.4㎜~5.20㎜
厚み/約0.9㎜~

最後に

歴史の長いカルティエでは、現在もメゾンの伝統と技術を継承した素晴らしいジュエリーを製作しています。年齢や性別を問わず、誰もが憧れる高級ジュエリーブランドとして確固たる位置を築いてきました。こちらでご紹介した代表的なリングは、一生使えるペアリングや結婚指輪として定着した人気があります。選ばれる際には、サイズや素材をしっかりと確認されることをおすすめします。

資格会員ディプロマ FGA 依田 優子

この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子

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