この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子
MIKIMOTOは世界で初めて真珠の養殖に成功し、世界にその名を知られることになった御木本幸吉が創業した宝飾店です。あこや真珠の最高品質「ミキモトパール」で世界トップクラスとなり、宮内省御用達として皇室のために素晴らしい宝飾品を制作してきました。MIKIMOTOの歴史からイメージ、代表的なジュエリーの種類などをご紹介していきます。
三重県鳥羽市でうどん屋の長男として生まれ育った御木本幸吉は、ある日自分の手で真珠を作り出す決意をします。当時天然真珠は大変希少であり、一般では手が届かないほどの高値で取引されていました。努力を重ねた結果、1893年に半円真珠の養殖に成功します。1905年には、真円真珠を作り出すことに成功しました。 1911年には職人をヨーロッパに派遣し、現地のデザインと技術取得に力を入れます。同時に、現地からダイヤモンド研磨機などを買い付けました。1914年には石垣島に黒蝶真珠の養殖場を開設します。 1915年、皇室から胸飾の制作を依頼されます。1924年には宮内省御用達に任命され、この後も皇室のために数々の宝飾品を制作してきました。1927年、御木本幸吉は発明家エジソンと会見を行いました。エジソンは「動物学上では不可能とされた真珠を発明開発した。世界的驚異だ」と御木本の功績を称賛しました。3年後、御木本は日本を代表する10人の発明家として宮中に招待されています。 1930年代には、シカゴ、パリ、ニューヨークで開催した万国博覧会に作品を出品し、世界中にミキモトの名が知れ渡ります。1921年にはロンドンの新聞に「日本の養殖真珠は天然真珠の模造品だ」と書かれた記事が掲載されます。当時ジュエリー流行の中心地であったパリで物議となり裁判にまで発展、3年の争いの末ミキモト側が勝訴しました。この出来事をきっかけに、養殖真珠と御木本の名前が世界中に認識されます。 御木本真珠店の開設は、1899年でした。1907年にはミキモト金細工工場を設立、1913年には海外支店を開設しました。1961年には御木本真珠店工場が御木本真珠店から独立、翌年ミキモト装身具工場と改名します。1975年にはニューヨーク支店、1995年にはロンドン支店を開設。その後ラスベガス、ソウル、香港、中国、タイ、マカオ、台湾、クアラルンプールなどに支店をオープンしています。
1893年、御木本幸吉が初めて真珠の養殖に成功したことから、ミキモトパールの歴史が始まりました。現在も創業者御木本幸吉の伝統を引き継ぎ、世界最高品質の真珠養殖を行っています。あこや真珠の中でも厳選された高品質だけを「ミキモトパール」として認定、「光沢・巻き・形・サイズ・色」を評価した独自基準に合格した真珠だけが、世界が誇る最高級品質の「ミキモトパール」として世に送り出されているのです。
御木本真珠店は1915年に初めて皇室公式用御胸飾を制作、1917年には皇室公式用御冠を制作しました。1923年には昭和天皇の結婚の儀のためにティアラや胸飾を制作、1924年に御木本真珠店が宮内省御用達宝飾店に正式任命されました。この後も皇室から結婚の儀や海外訪問のために依頼された宝飾品を数多く制作しています。1928年には後に美智子皇后へと引き継がれた「パルメットのティアラ」、1960年には現在の上皇后陛下が訪米の際に着用した「皇太子妃第二ティアラ」など、素晴らしいティアラを制作しています。
1911年にデザイン研究のため職人をヨーロッパに派遣した御木本真珠店は、1913年に海外支店を設立します。ヨーロッパ進出当時には、御木本の養殖真珠が偽物であるという排斥運動が起こり裁判に発展しますが、後に御木本が勝訴しています。1922年には南洋パラオ島に養殖場を開設、5年後には御木本幸吉がエジソンと会うなど、世界で幅広い活動を行ってきました。その後もシカゴ、パリ、ニューヨークなどの万博に作品を出品、1975年にはニューヨーク支店をオープンしています。
MIKIMOTOは世界で最初に真珠の養殖に成功したブランドとして、その名が世界中で知られています。あこや真珠の最高品質「ミキモトパール」を誕生させ、トップクラスの真珠ブランドとして最高峰の地位を確立してきました。養殖は白い真珠のみならず、石垣島に開設した養殖場で黒蝶真珠の養殖をスタートしました。ヨーロッパと日本のデザインを融合した独自のスタイルを生み出すなど、デザインと品質の両方において世界で幅広く受け入れられるようになったのです。
真珠の養殖から始まったMIKIMOTOでは、長い歴史の中で真珠の魅力を引き出す美しいジュエリーを制作してきました。ミル打ちや透かし彫りなどの高技術を取り入れ、一流のクラフツマンシップによる素晴らしい作品を残してきています。MIKIMOTOが選び抜いた最高品質のあこや真珠を使用した1粒ネックレスからティアラなどのブライダルラインなど、定番からフォーマルまですべてのシーンで装えるデザインを展開しています。ネックレスにはMIKIMOTOの頭文字「M」が刻まれたエンブレムパーツが付くなど、MIKIMOTOならではの個性が添えられています。
1911年にヨーロッパのデザインの調査を始めたMIKIMOTOは、現地でダイヤモンド研磨機やジュエリー加工機器などを入手します。MIKIMOTOから派遣された職人たちは、世界の王侯貴族や富豪のためにジュエリーを制作していたヨーロッパの宝飾職人たちの技術やデザインを実際に学びました。職人たちがヨーロッパの技術を取得した後、MIKIMOTOでは日本の伝統技術を融合した独自のデザインを展開していったのです。ヨーロッパの最先端スタイルと和の伝統が調和したデザインは、独特の「ミキモトスタイル」として知られるようになりました。
「ミキモトスタイル」が確立されて以来、MIKIMOTOではブランドの伝統的なデザインを大切に引き継いできました。1908年から1938年までの間、MIKIMOTOは「真珠」と題したカタログを刊行、現在はブランドの歴史を司る貴重な資料として保管されています。MIKIMOTOのジュエリーデザイナーは、まず過去のデザイン画について学ぶことからスタートします。時代とともに変換してきたMIKIMOTOジュエリーのデザインを継承しながら、現代という時代に沿ったデザインを創造しているのです。
1937年、MIKIMOTOはパリ万国博覧会に帯留めを出品しました。当時流行していたアールデコ様式の帯留めは、「矢車」と名付けられた多機能ジュエリーでした。真珠のほかダイヤモンド、サファイア、エメラルドを配した幾何学的なデザインで、部品を組み替えるだけでブローチ、リング、髪飾りなどに変化する革命的なものでした。パリ万国で販売された後1989年にニューヨークで競売にかけられ、無事MIKIMOTOに戻りました。「矢車」はジュエリー史に残る名作として、ミキモト真珠島の真珠博物館に所蔵されています。
MIKIMOTOでは厳選したあこや真珠「ミキモトパール」や、最高品質のダイヤモンドやカラーストーンを使用した素晴らしいジュエリーを発表しています。ブライダルから定番アイテムまで、MIKIMOTOの代表的なジュエリー・コレクションをご紹介していきます。
結婚式用にレンタルとして使用できる、ブライダルコレクションです。繊細なレース編みのようなガーランド様式や植物モチーフにパールを配し、王妃の雰囲気が漂うデザインが揃います。ティアラは単独のほか、ネックレスやイヤリングとのセットでもレンタルしています。 価格…￥33,000～（税込）。 素材…あこや真珠、ダイヤモンド
プラチナを使用した、シンプルで着け心地に優れた結婚指輪を展開しています。それぞれ異なる幅のリングが揃うので、ペアリングとして着用できます。
ストレートのアームにダイヤモンドを配したデザインです。ダイヤモンドは1粒から3粒、4粒、5粒、7粒などから選べます。アームは平打ち、細身、丸みを帯びたもの、V字などが揃います。 価格…￥126,500～（税込）。 素材…プラチナ、ダイヤモンド。
リングの両縁にミルグレインを施したデザインです。繊細なミルグレインの装飾が、シンプルなリングに華やかさを添えます。エレガントな気品漂う雰囲気です。 価格…￥104,500～（税込）。 素材…ピンクゴールド、プラチナ。
リング全体に繊細なクロスカット（交差させた線）を描いたデザインです。落ち着いたマットな光沢を見せ、個性的な存在感を放ちます。高さを抑えたフラットなスタイルです。 価格…￥104,500～（税込）。 素材…プラチナ
ミキモトが厳選した、高品質のダイヤモンドを配した婚約指輪のコレクションです。1粒ダイヤモンドからメレダイヤを配したものなど、様々なデザインが揃います。
ダイヤモンドを高い位置で爪留めし、最高の輝きを引き出す正統派スタイルの婚約指輪です。アームはセンターに向かって細くなったフォルムで、ラインがシャープなものと柔らかな物から選べます。ダイヤモンドを花びらのように支えた台座や、両サイドにダイヤモンドを添えたタイプも揃います。 価格…￥20万円台～（税込）。 素材…プラチナ、ダイヤモンド。
1粒ダイヤモンドをセンターに配し、アームにもメレダイヤモンドをセッティングしたデザインです。センターのダイヤモンドの周囲とアームにメレダイヤを2重に連ねた、豪華なデザインも展開しています。 価格…￥30万円台～（税込）。 素材…プラチナ、ダイヤモンド。
センターのダイヤモンドをメレダイヤで囲んだ、大きな輝きのリングです。アームにもメレダイヤを配し、サイドからも豪華な印象を放ちます。運命的な2人を祝福する、光の花束を表現しています。 価格…90万円台～（税込）。 素材…プラチナ、ダイヤモンド。
1粒ダイヤモンドを花のつぼみに見立て、花の愕（がく）にイメージした6本の爪でセッティングしています。台座を横から見ると、MIKIMOTOの頭文字Mのフォルムに見える凝ったデザインです。 価格…￥20万円台～（税込）。 素材…プラチナ、ダイヤモンド。
ミキモトによる最高品質のパールを使用したネックレスのコレクションです。フォーマルやブライダルに欠かせないパールネックレスは、ひとつは持っていたい定番アイテムとして永遠の人気を誇ります。
価格…￥264,000～（税込）。 素材…パール、シルバー、K18ゴールド。 全体にパールを連ねた、クラシカルなパールネックレスです。ベーシックな正統派デザインは、フォーマルな席には欠かせない定番スタイルです。ベーシックな長さからロング、ラリエット、チェーン半分にパールを配したタイプなどさまざまです。
ミキモトを代表するあこや真珠を個性的なモチーフに配したペンダントのコレクションです。1粒パールをドロップした定番スタイルから、植物、アルファベット、キー（鍵）、果物、クロス、ハートなどのモチーフや、パールを数粒連ねたものまで豊富に揃います。 価格…￥45,100（税込）～。 素材…パール、シルバー、イエロー・ピンク・ホワイトゴールド。
ミキモト独自の評価基準に合格した最高品質のパールを使用した、シンプルかつ華やかなジュエリーを展開しています。リング、イヤリング、ブレスレット、ブローチなど、1粒パールや繊細なモチーフのデザインが揃います。ダイヤモンドやカラーストーンを配した、豪華なジュエリーも発表しています。
創業者御木本幸吉の養殖真珠への熱い情熱から誕生した、ミキモトパール。養殖に成功するまでには長い歳月と努力を要し、パリでの裁判で勝利するまでには3年もの歳月を費やしました。養殖真珠とともに歴史を築いてきたMIKIMOTOは、世界で最高級の真珠宝飾店として現在も確固とした地位を確立しています。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子
世界5大ジュエラーのひとつであるカルティエは、ジュエリー史に残る数々の名作を世に送り出してきたパリの宝石商です。パリの小さな工房からスタートしたカルティエは、世界各国の王室御用達ジュエラーとなり、現在も多くのハリウッドセレブや国内芸能人たちが愛用しています。女性の憧れの宝飾ブランド、カルティエの歴史や代表作についてのお話をお伝えしていきます。
ティファニーは、世界5大ジュエラーのひとつとして知られる米国の高級宝飾店です。長い歴史の中で優れたデザイナーを輩出し、数々の名作を誕生させました。こちらでは、ティファニーのジュエリーの歴史からデザインの種類、代表的なバンドリングの詳細などをご紹介していきます。
グッチは、イタリアのフィレンツェで乗馬用革製品の製作工房としてスタートしたブランドです。富裕層向けの馬具や旅行鞄などの革製品を製作していたグッチの巧みな職人技は、ジュエリー製作にも引き継がれてきました。イタリアの有数ブランド、グッチが製作するジュエリーの歴史とデザイン、代表的なバンドリングなどについてお伝えしていきます。
ダミアーニはイタリアで誕生したブランドです。創業以来ファミリービジネスを貫き、石の選定・創作から販売までを一貫して行う独立系ジュエラーとして伝統と技術を守り続けています。 世界中のセレブリティやハリウッドスターとも幅広く良き関係を築き広告モデルに起用するPRキャンペーンを打ち出しています。個性的でイタリアジュエリーらしい華やかさ、ジェンダーレスなデザインで魅力あるダミアーニの歴史と種類についてお伝えしていきます。
パリで設立した宝飾店フレッドは、創業以来王侯貴族やハリウッドスターなどに愛されてきた、ジュエリーブランドです。詩人のジャン・コクトーによるデザインや、ケイト・モスとのコラボレーションなど個性的なジュエリーを誕生させてきたことでも知られます。セーリングを愛した創業者の情熱を引き継いだ「フォース10」ブレスレットをはじめとする、素晴らしい作品を生み出したフレッドの魅力を探ってみましょう。
