この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
クリソベリルキャッツアイは、猫の瞳のような一筋の光を映す「シャトヤンシー(猫目効果)」が特徴の宝石です。2021年に全国宝石卸商協同組合によって、アメシストに加えて2月の誕生石として新たに認定されました。「思いやり」「希望」「幸運」などの石言葉を持ち、希少性の高さから世界中の宝石愛好家に愛されています。
この記事では、クリソベリルキャッツアイの石言葉・意味を紹介するほか、シャトヤンシーが起こる仕組み・産地・選び方まで、英国宝石学協会公認・日本宝石協会理事の鑑定士がわかりやすくご紹介します。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
クリソベリルキャッツアイの石言葉は「思いやり・許し・希望・楽観」。猫の瞳を思わせる神秘的な輝きから、古来より邪気を払い幸運を呼ぶ石として大切にされてきました。
暗い気持ちから抜け出したいときや、運気の流れを変えたいときのお守りとしても選ばれています。光を集めて放つようなシャトヤンシーの輝きが、持つ人の心を前向きに照らしてくれるとされる石です。
クリソベリルキャッツアイは、「クリソベリル」という鉱物のうち、キャッツアイ効果(シャトヤンシー)を持つものを指します。クリソベリルは酸化アルミニウムにベリリウム元素が加わった酸化鉱物で、光の当たり方によって色が変わる「アレキサンドライト」も同じクリソベリルの仲間です。クリソベリルの中でキャッツアイ効果を示すものが「クリソベリルキャッツアイ」、変色効果を示すものが「アレキサンドライト」、そのどちらでもない透明なものが一般に「クリソベリル」と呼ばれています。和名は「金緑石(きんりょくせき)」で、モース硬度8.5とアレキサンドライトと同等の硬さを持ちます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 和名 | 金緑石(きんりょくせき) |
| モース硬度 | 8.5 |
| 主な色 | イエロー・イエローグリーン・褐色(ハニーカラー) |
| 主な産地 | マダガスカル、ブラジル、スリランカ(過去) |
クリソベリルキャッツアイのシャトヤンシーは、石の内部に含まれる針状のルチル結晶が束になって生じる現象です。繊維状に並んだインクルージョンに光が入射すると、その方向に対して直角に一本の光の帯となって反射します。この光の帯がくっきりとシャープに、かつ石の中央に現れるものほど価値が高いとされています。モース硬度8.5と高いため日常使いにも適していますが、キャッツラインを美しく見せるカボションカットは繊細な技術を要するため、加工の際は経験豊富な職人に任せるのがおすすめです。
「キャッツアイ」とは、猫の瞳のように光を反射する宝石の光学効果そのものを指す言葉で、クリソベリル以外にもトルマリン・アクアマリン・ベリルなど多くの宝石に現れる現象です。ただし、この効果が最も美しく際立つのがクリソベリルであるため、業界では単に「キャッツアイ」といえばクリソベリルキャッツアイを指すことが一般的になっています。
他の宝石に現れるキャッツアイ効果と比べても、クリソベリルキャッツアイは光の帯がよりシャープに現れやすく、色のバリエーションも豊富です。同じ「キャッツアイ」という名前がついていても、宝石としての価値や希少性はクリソベリルキャッツアイが頭ひとつ抜けています。
クリソベリルキャッツアイは産出量が非常に少なく、産地の移り変わりも激しい宝石です。最初の商業的な産出地として知られたのはスリランカのラトナプラ地方でしたが、1980年代にはほぼ枯渇してしまいました。その後、産地の中心はブラジル・ミナスジェライス州のアメリカーナ渓谷地域へと移り、現在ではマダガスカルのイラカカ地方が最大の供給地となっています。
| 産地 | 特徴 |
|---|---|
| スリランカ(ラトナプラ地方) | 最初の商業的産出地。1980年代にほぼ枯渇 |
| ブラジル(ミナスジェライス州) | スリランカ枯渇後の主要産地のひとつ |
| マダガスカル(イラカカ地方) | 現在の最大の供給地 |
クリソベリルキャッツアイが世界的に注目されるきっかけとなったのは、19世紀のイギリス王室でした。ヴィクトリア時代に多くの宝飾品に用いられ、当時唯一の産出国だったスリランカでは「悪魔から身を守る」お守りとして大切にされていました。日本では、1960年代前半の高度経済成長期、当時の首相・池田勇人氏がスリランカ(当時セイロン)訪問の際に家族へのお土産として1,000万円余りのクリソベリルキャッツアイを購入したことが新聞で話題になりました。この出来事をきっかけに日本での知名度が一気に高まり、大戦後の国際宝石市場ではダイヤモンド・オパール・ヒスイと並んで日本人の消費量が多い宝石のひとつとされていました。
長らくアメシストのみだった2月の誕生石ですが、2021年に全国宝石卸商協同組合による63年ぶりの誕生石改訂で、クリソベリルキャッツアイが新たに追加されました。希少性と歴史ある逸話を持つこの石が、2月を象徴する新たな誕生石として注目を集めています。
クリソベリルキャッツアイの価値は、主に「キャッツラインの質」と「色」によって決まります。同じ「クリソベリルキャッツアイ」でも、質の違いによって印象や評価が大きく変わる宝石です。
キャッツラインは、光の帯がシャープにくっきりと現れ、石のちょうど中央を貫くように走っているものほど価値が高いとされています。逆に光がぼんやりしていたり、中央からずれていたりするものは評価が下がる傾向にあります。
色については、はちみつ色のボディに乳白色の光の帯が浮かぶ「ハニーミルク」と呼ばれる色合いが最も人気が高く、青りんごのような鮮やかな「アップルグリーン」も評価の高い色味です。色が薄すぎても濃すぎても評価が下がるため、バランスの取れた色合いのものを選ぶとよいでしょう。
また、シャトヤンシー効果は石が大きく厚みがあるほど強くはっきりと現れる一方、厚みのあるカボションカットを施せるほど大きな原石は希少なため、大粒で美しいキャッツラインを持つ石は特に貴重とされています。
クリソベリルキャッツアイはモース硬度8.5と高く、日常使いにも適した宝石です。カボションカットの丸みを活かしたデザインが多く、シンプルなセッティングでも石そのものの神秘的な輝きが引き立ちます。
指輪では、シャトヤンシーを正面から楽しめる一石デザインが定番です。ペンダントやネックレスでは、光の当たり方によって表情が変わる石の魅力を胸元で楽しめます。男性用のジュエリーとしても人気があり、リングやカフスなどに取り入れられることも多い石です。
眠っているクリソベリルキャッツアイのジュエリーがありましたら、リフォームのご相談をお気軽にどうぞ。世界にひとつだけのジュエリーをオーダーメイドで作ることもできます。
→ ジュエリーリフォームについて詳しく見る → オーダーメイドについて詳しく見る
A. 「思いやり・許し・希望・楽観」です。猫の瞳を思わせる神秘的な輝きから、古来より邪気を払い幸運を呼ぶ石として大切にされてきました。
A. 「キャッツアイ」はさまざまな宝石に現れる光学効果の名称で、トルマリンやアクアマリンなどにも見られます。ただしこの効果が最も美しく現れるのがクリソベリルであるため、業界では単に「キャッツアイ」といえばクリソベリルキャッツアイを指すのが一般的です。
A. モース硬度8.5と高く、日常使いに適しています。ただしキャッツラインを美しく見せるカボションカットは繊細な加工技術を要するため、リフォームやサイズ直しの際は経験豊富な職人に相談することをおすすめします。
A. キャッツラインがシャープで石の中央を貫いているもの、はちみつ色に乳白色の光の帯が浮かぶ「ハニーミルク」のような色合いのものが高く評価されます。
A. 使用後は柔らかい布で拭き取りましょう。汚れが気になる場合は中性洗剤を薄めたぬるま湯で軽く洗浄し、よく乾かします。直射日光への長時間の露出や超音波洗浄器は避けてください。
A. 夢仕立の各店舗にてご相談を承っています。銀座・渋谷・北千住・横浜など複数の店舗があり、予約なしでもお気軽にご来店いただけます。クリソベリルキャッツアイを使ったリフォーム・オーダーメイドのご相談はお気軽にどうぞ。