この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
サードオニキスは、赤色と白色が織りなす美しい縞模様が特徴の天然石です。古くから印章やカメオなどの装飾品として親しまれ、「夫婦の幸福」「幸せな結婚」といった石言葉を持つことでも知られています。また、8月の誕生石のひとつとしても選ばれており、記念日の贈り物としても人気があります。
一方で、「カーネリアンとの違いが分からない」「オニキスとは別の石なの?」と疑問に思われる方も少なくありません。
この記事では、サードオニキスの意味や鉱物学的な特徴、石言葉、似ている宝石との違いまで、専門的な視点から分かりやすくご紹介します。また、受け継いだジュエリーのリフォームや、新たなデザインへのオーダーメイドについてもご紹介します。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
サードオニキス(サードオニックスとも表記されます)は、石英グループの一種であるカルセドニーに分類される天然石です。さらに細かく分類すると、縞模様を持つ「瑪瑙(アゲート)」の仲間にあたります。
最大の特徴は、赤色や赤褐色の層と白色の層が幾重にも重なった美しい縞模様です。この模様は天然に形成されたもので、一つとして同じ表情の石は存在しません。そのため、ジュエリーとしても一点ものの魅力を楽しめます。
古代ギリシャ・ローマ時代には印章や装飾品、カメオの素材として重宝され、日本でも古くから親しまれてきました。
「サード(Sard)」は、古代に赤褐色の石が産出したとされる小アジアの都市「サルディス(Sardis)」に由来するといわれています。
一方、「オニキス(Onyx)」はギリシャ語で「爪」を意味する言葉です。本来は平行な縞模様を持つカルセドニー全般を指していました。
つまりサードオニキスとは、「赤色を帯びた縞模様のオニキス」という意味を持つ名称です。
サードオニキスの和名は「紅縞瑪瑙(べにしまめのう)」または「赤縞瑪瑙(あかしまめのう)」です。
「瑪瑙(めのう)」はアゲート全般を指す日本名であり、その中でも赤色の縞模様を持つものがサードオニキスとして区別されています。
サードオニキスの代表的な石言葉は次のとおりです。
赤と白が寄り添うような縞模様から、「異なるものが調和しながら共に歩む」というイメージが重ねられ、結婚や夫婦円満を象徴する宝石として親しまれてきました。
ギリシャ神話には、この石にまつわる興味深い逸話も残されています。眠っていた女神ビーナスの爪をキューピッドが矢で切り落として遊んでいたところ、その爪の破片が川に落ちてサードオニキスになった、というものです。「オニキス」がギリシャ語で「爪」を意味するのは、この逸話に由来するとも言われています。赤と白が寄り添う縞模様が男女の結びつきを思わせることも、この石が「夫婦の幸福」を象徴する石として親しまれてきた理由のひとつなのかもしれません。
そのため、結婚記念日や夫婦への贈り物、家族の節目を記念するジュエリーにも選ばれることがあります。
サードオニキスは8月の誕生石のひとつです。
8月の誕生石というとペリドットを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、日本では複数の宝石が8月の誕生石として制定されており、その中にサードオニキスも含まれています(2021年の改訂では新たにスピネルも加わりました)。
「夫婦の幸福」や「幸せな結婚」という石言葉を持つことから、誕生日だけでなく結婚祝い、結婚記念日のプレゼントとしても人気があります。縁結びの神社として知られる出雲大社では、御神体に大きなサードオニキスが使われていると伝えられており、縁や絆を結ぶ石としての一面が古くから日本にも根付いていたことがうかがえます。
また、アンティークジュエリーにも多く使用されてきた歴史があり、世代を超えて受け継がれる宝石としても魅力があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 鉱物名 | カルセドニー(石英族) |
| 種類 | 瑪瑙(アゲート)の一種 |
| 和名 | 紅縞瑪瑙・赤縞瑪瑙 |
| モース硬度 | 6.5〜7 |
| 主な産地 | ブラジル、インド、ウルグアイ、マダガスカルなど |
| 特徴 | 赤色と白色の縞模様 |
モース硬度は6.5〜7と比較的高く、日常使いのジュエリーにも適した耐久性があります。硬さと滑らかな質感を兼ね備えていたことから、古代には印章(シグネットリング)の材料としても重宝され、かつては金・銀・サファイアよりも珍重された時代があったと伝えられています。
一方で、石英系の宝石であっても強い衝撃には注意が必要です。特に縞模様に沿って層状になっているため、強い衝撃や圧力が加わると剥離や割れのリスクがあります。特に薄くスライスされたカメオなどの加工品では、繊細な部分に負荷がかからないよう扱いに配慮が必要です。
カーネリアンもサードオニキスと同じカルセドニーの仲間ですが、大きな違いは縞模様の有無です。
カーネリアンは赤色から橙赤色まで比較的均一な色合いを持ちます。一方、サードオニキスは赤色と白色の層が何層にも重なる縞模様が特徴です。
縞模様がはっきり確認できる場合は、サードオニキスである可能性が高いでしょう。
現在「オニキス」と呼ばれて流通しているものの多くは、黒色のブラックオニキスです。
ブラックオニキスは黒一色のイメージがありますが、本来オニキスとは平行な縞模様を持つカルセドニーを指します。また、市場に流通しているブラックオニキスの多くは染色処理されたものであることも知られています。
サードオニキスもブラックオニキスも鉱物学的には近い仲間ですが、色合いや見た目が大きく異なります。
レッドアゲートは赤色系の瑪瑙全般を指す名称として使われることがあります。
一方、サードオニキスは赤色と白色の平行な縞模様が明瞭に現れるものを指すため、より限定された名称といえます。
サードオニキスは、丸く研磨すると縞模様が目玉のように浮かび上がることから「赤天眼石」という別名でも流通しています。これは別の鉱物ではなく、サードオニキスそのものを研磨の向きによって目玉状に仕立てたものです。
ブレスレットなどに加工する際は、目玉模様の中心から縞目に対して垂直に穴が開けられることが多く、通常のサードオニキスとは異なる印象のジュエリーに仕上がります。
ジュエリーとして加工された状態では見分けにくいこともあるため、気になる場合は宝石鑑別の知識を持つ専門店で確認すると安心です。
サードオニキスはモース硬度6.5〜7と比較的丈夫な宝石ですが、美しい縞模様を長く楽しむためには、日頃のお手入れも大切です。
身に着けた後は、汗や皮脂、化粧品などを柔らかい布で優しく拭き取りましょう。汚れをそのままにすると輝きが鈍く見える原因になることがあります。
汚れが落ちにくい場合は、ぬるま湯に少量の中性洗剤を溶かし、柔らかいブラシで優しく洗浄してください。洗浄後は十分に水分を拭き取り、自然乾燥させます。
超音波洗浄機は、石の状態や内部の亀裂によっては負担となる場合があるため、使用前に専門店へ相談すると安心です。
サードオニキスは比較的安定した宝石ですが、長期間にわたって強い紫外線を受け続けると、退色や色合いの変化につながる可能性があります。窓際など直射日光が当たる場所での保管は避け、ジュエリーボックスなど光の当たりにくい場所に保管することをおすすめします。
サードオニキスより硬い宝石と一緒に保管すると、擦れて細かな傷が付くことがあります。ジュエリーポーチや仕切り付きケースなどを利用し、一点ずつ保管すると安心です。
サードオニキスは古くからカメオやブローチ、指輪、ペンダントなど幅広いジュエリーに用いられてきました。
ご家族から受け継いだリングやブローチが眠ったままになっている場合でも、デザインを変えることで、現代のライフスタイルに合わせたジュエリーとして再び身に着けることができます。
例えば、
など、お客様のご希望に合わせたご提案が可能です。
サードオニキスは一つひとつ縞模様が異なるため、その個性を活かしたデザインを考えることもリフォームの楽しみの一つです。
「譲り受けたジュエリーを使いたい」「自分らしいデザインに生まれ変わらせたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
→ ジュエリーリフォームについて詳しく見る → オーダーメイドについて詳しく見る
A. はい、同じ石を指します。「サードオニキス」のほか、「サードオニックス」「サードニクス」といった表記も使われますが、いずれも赤色と白色の縞模様を持つ、カルセドニーに属する瑪瑙(アゲート)の一種です。
A. どちらもカルセドニーの仲間ですが、サードオニキスには赤色と白色の縞模様があります。一方、カーネリアンは縞模様がほとんど見られず、均一な赤色や橙赤色を呈する点が大きな違いです。
A. はい。サードオニキスは8月の誕生石の一つです。「夫婦の幸福」「幸せな結婚」といった石言葉から、誕生日や結婚記念日の贈り物としても選ばれています。
A. 使用後は柔らかい布で汗や皮脂を拭き取り、汚れが気になる場合はぬるま湯と中性洗剤で優しく洗浄してください。また、長時間の直射日光は退色の原因となる可能性があるため、保管場所にも配慮すると安心です。
A. 夢仕立の各店舗にてご相談を承っています。銀座・渋谷・北千住・横浜など複数の店舗があり、予約なしでもお気軽にご来店いただけます。サードオニキスを使ったリフォームやオーダーメイドのご相談はお気軽にどうぞ。