この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
今回は、ジュエリー製作の核となる「18金の鋳造」について、鑑定士の資格を持つ、日本宝石協会の理事が解説します。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
鋳造とは、鋳型と呼ばれる型の中に金属を流し込んで、好きな形状のものを製作する技術です。奈良の大仏も、この鋳造技術で製作されました。私たち夢仕立工房でも、同じ鋳造技術を用いてジュエリーを製作しています。
ジュエリーデザインは、デザイン画を描くか、CAD(コンピュータ支援設計)でデータとして製作します。夢仕立工房では、現在ほとんどのデザインをCADで製作しており、3Dプリンターで出力したものが原型の元となります。
3Dプリンターで出力した原型を、シリコンゴムで固めて型を製作します。このシリコンゴム型の中に、ワックス(蝋)と呼ばれる溶けやすい素材を流し込み、ワックス型を製作します。このワックス型が、最終的な原型となります。
ワックスの原型をゴム材と呼ばれる台の上に立てて配置します。その上にステンレスの筒をかぶせ、筒の中に石膏を流し込んで固めていきます。石膏は自然乾燥で固めますが、この工程で最も重要なのが脱泡作業です。
ジュエリーは細かい部分まで精密に製作する必要があるため、石膏の中に気泡が残らないようにしっかりと空気を抜く必要があります。この作業を丁寧に行わないと、以下のような問題が生じます。
脱泡作業は、鋳造の成功を左右する重要な工程といえます。
石膏型が固まったら、焼成機で石膏型を焼いていきます。この工程では、使用する金属、環境、機械によって焼き方が大きく異なります。
これらのバランスは職人の経験と技術によって決まり、出来上がりの品質を大きく左右します。焼成が完了すると、石膏型の中は空洞になります。
焼き上がった石膏型の中に、いよいよ18金を流し込んでいきます。金属は適切な温度で溶かす必要があり、高温すぎても低温すぎても良いジュエリーには仕上がりません。
この温度の見極めも、職人の判断が非常に重要なポイントです。長年の経験によって培われた技術が、ここで発揮されます。
貴金属を流し入れた後、鋳造器の中から取り出した石膏型を冷水に入れます。水蒸気爆発によって石膏を落としていくこの工程は、かなり高温を扱うため危険な作業です。
この作業は手早く行う必要があります。石膏型が冷えすぎてしまうと、水蒸気爆発で石膏を砕くことができなくなってしまいます。タイミング、速さ、温度管理が重要になります。
冷水から取り出した貴金属のジュエリーは、表面が荒れていますが、ほぼ狙ったデザイン通りに仕上がっています。残った石膏を軽く落として、鋳造の工程は終了です。
この後、磨きの作業を行い、宝石を留めるなどして、ジュエリーが完成します。
今回は18金の鋳造方法についてご説明しましたが、シルバーやプラチナなど他の貴金属の鋳造方法も存在します。それぞれ少しずつ異なる工程がありますが、大まかな流れは今回ご説明した工程と同様です。
18金の鋳造は、原型製作から石膏型の製作、焼成、金属の流し込み、そして石膏の除去まで、多くの工程を経て完成します。各工程で職人の技術と経験が求められ、特に脱泡作業、焼成の温度管理、金属の流し込みのタイミングは、仕上がりの品質を大きく左右する重要なポイントです。
夢仕立工房では、長年培ってきた鋳造技術を活かし、お客様の想いを形にするジュエリーを製作しています。鋳造という伝統的な技術と、最新のCAD・3Dプリンター技術を組み合わせることで、精密で美しいジュエリーをお届けしています。