この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘

プラチナジュエリー、プラチナアクセサリーの正しい手入れ方法を徹底解説。くすみや黒ずみの原因から、自宅でできる簡単クリーニング方法、Pt950・Pt900別のケア方法を鑑定士の資格を持つ、日本宝石協会の理事が解説します。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
「購入時の輝きが失われてきた」「白っぽい輝きがくすんで見える」「結婚指輪の輝きを取り戻したい」――そんなお悩みはありませんか?
プラチナは「変色しない」「錆びない」と言われる貴金属ですが、日常使いの中で輝きが失われることがあります。この記事では、プラチナジュエリー、プラチナアクセサリーの正しい手入れ方法から、くすみや傷の対処法、純度別のケア方法まで詳しく解説します。
プラチナの基本特性:
プラチナの優れた性質:
| 特徴 | プラチナ | ゴールド(K18) |
|---|---|---|
| 色 | 銀白色 | 黄金色(イエロー) |
| 変色 | ほとんどしない | 酸化皮膜により変色することがある |
| 硬さ | やや柔らかい | やや硬い |
| 重さ | とても重い(比重21.45) | 重い(比重15.5) |
| 価格 | 時期により変動 | 時期により変動 |
| 温泉 | 影響なし | 変色、変質することがある |
特徴:
混ぜられる金属(割金):
メリット:
純度が高く、プラチナ独特の深い銀色が特徴です。プラチナ本来の美しい銀白色の輝きを楽しめます。
特徴:
メリット:
硬度が高いため、傷がつきにくく、加工がしやすいため繊細なデザインも実現できます。毎日着ける結婚指輪にも適しています。
デメリット:
特にありません。
特徴:
注意点:
割金の比率が高いため、純度の高いプラチナより変色しやすい傾向があります。
特徴:
注意点:
プラチナメッキは時間とともに剥がれます。無垢のプラチナとは別物として扱う必要があります。
最も一般的な原因です。
メカニズム:
プラチナ自体は変色しませんが、表面に付着した皮脂や汗、化粧品などが酸化し、膜のようになってくすみの原因になります。
こんな時に起こりやすい:
見分け方:
表面が白っぽくくすんで見える、触るとベタつきがある場合は、汚れが原因です。
メカニズム:
日常使いの中で、プラチナの表面に無数の細かい傷がつきます。この傷が光を乱反射させ、くすんで見える原因になります。
傷がつきやすい状況:
プラチナの特性:
プラチナは粘り強い金属のため、削れるというより「押しのけられる」ように変形します。そのため、表面の細かい傷が蓄積しやすいのです。
メカニズム:
Pt900やPt850など、割金の比率が高いプラチナは、混ぜられた金属がわずかに変色することがあります。
注意:
Pt850以上の高純度プラチナなら、この問題はほとんど起こりません。
実際には、汚れと傷が同時に発生していることが多いです。細かい傷の溝に汚れが入り込み、さらにくすんで見えるようになります。
用意するもの:
手順:
ポイント:
この1分のケアが、プラチナの輝きを長く保つ最大の秘訣です。汚れが酸化して固まる前に拭き取ることで、くすみを防げます。
特に重要なタイミング:
用意するもの:
手順:
注意点:
効果:
日常的な汚れや皮脂によるくすみがきれいに落ち、本来の輝きが戻ります。
用意するもの:
手順:
適している場合:
注意:
パールや有機質の宝石が付いている場合は使用しないでください。
特徴:
使い方:
注意点:
メリット:
自分では届かない細かい隙間の汚れもきれいに落とせます。
特徴:
使い方:
おすすめの場合:
特徴:
使い方:
注意点:
効果:
表面の非常に細かい傷なら、ジュエリー専用のクロスで丁寧に磨くことである程度目立たなくなります。
方法:
プロの研磨(ポリッシング):
注意点:
頻度の目安:
特徴:
最も硬い宝石で、手入れしやすい。ほとんどの洗浄方法が使えます。
手入れ方法:
ダイヤモンド特有の注意:
ダイヤモンドは油分を引き寄せやすい性質があります。そのため、特にこまめな洗浄がおすすめです。
特徴:
硬度が高く丈夫な宝石。
手入れ方法:
注意点:
拡散処理や充填処理されたものは、超音波洗浄を避けてください。
特徴:
非常にデリケートな宝石。ほとんどがオイル処理されています。
手入れ方法:
絶対に避けること:
特徴:
有機質の宝石で、酸に非常に弱い。
手入れ方法:
絶対に避けること:
パールの鉄則:
最後に身につけ、最初に外す。
なぜ個別保管が必要なのか:
おすすめの保管方法:
適した環境:
避けるべき場所:
毎日外す場合:
長期保管する場合:
1. 激しい運動やスポーツ時に着ける
2. 重労働や家事をする時に着けたままにする
3. 就寝時に着けたままにする
4. 化粧や香水を付ける時に着けている
正しい順番:
化粧→香水→プラチナジュエリー、プラチナアクセサリー着用の順が基本です。
1. 研磨剤入りの洗剤やクレンザーを使う
2. 硬いブラシでゴシゴシこする
3. 漂白剤や強力な洗剤を使う
4. 熱湯で洗う
5. ドライヤーで乾かす
1. すべてのプラチナジュエリー、プラチナアクセサリーを一緒に保管
2. 湿気の多い場所に保管
3. 化粧品の近くに置く
| 特徴 | プラチナ | ホワイトゴールド |
|---|---|---|
| 色 | 自然な銀白色 | やや黄色みがかった白色(ロジウムメッキで白く見える) |
| 重さ | とても重い | 重い |
| 刻印 | Pt950、Pt900など | K18WG、K14WGなど |
| 価格 | 一般的に高い | 比較的安い |
| 経年変化 | ほとんどしない | メッキが剥がれて黄色く見えることがある |
プラチナの刻印:
ホワイトゴールドの刻印:
刻印の見方:
指輪の内側、ネックレスの留め金近くに刻印されていることが多いです。小さな文字なので、拡大鏡があると見やすいです。
すぐに相談すべき症状:
無料サービス(店舗により異なります):
有料サービス:
頻度の目安:
定期メンテナンスのメリット:
特に結婚指輪・婚約指輪は:
毎日着けるものだからこそ、定期的なプロのチェックをおすすめします。小さな緩みを見逃すと、大切なダイヤモンドが外れてしまうこともあります。
結婚指輪特有の悩み:
1. 外すタイミングを決める
2. 外す場所を固定する
3. 週に1回の簡易クリーニング
4. 半年に1回の専門店チェック
普段着けない場合:
記念日に着ける場合:
Q1. プラチナは変色しないと聞きましたが、くすんできました。なぜですか?
A. ・プラチナは酸化皮膜の現象は起こりません。そのため膜として黒ずむことはありません。起こり得る現象はただの汚れの付着です。また、細かい傷が蓄積することでも輝きが失われます。定期的な洗浄で本来の輝きが戻ります。
Q2. 毎日のお手入れはどのくらい時間がかかりますか?
A. 外した後に柔らかい布で拭くだけなら1分程度です。この習慣が長期的な美しさを保つ最大の秘訣です。
Q3. 超音波洗浄機は使っても大丈夫ですか?
A. 宝石が付いていないシンプルなプラチナジュエリー、プラチナアクセサリーなら基本的に問題ありません。ただし、エメラルドやパール、オパールなどのデリケートな宝石が付いている場合は避けてください。ダイヤモンドは基本的に大丈夫ですが、内包物が多い場合は注意が必要です。
Q4. プラチナとホワイトゴールド、どちらが手入れしやすいですか?
A. プラチナの方が手入れしやすいです。プラチナは変色しにくく、温泉にも強いです。ホワイトゴールドは表面のロジウムメッキが剥がれると、定期的な再メッキが必要になります。
Q5. 結婚指輪を着けたままお風呂に入っても大丈夫ですか?
A. プラチナ自体は問題ありませんが、石鹸やシャンプーが付着して汚れの原因になります。また、滑って排水口に流してしまう危険性もあります。お風呂に入る前には外すことをおすすめします。
Q6. 温泉に入る時、プラチナの指輪は外すべきですか?
A. プラチナは温泉の硫黄成分に強いため、基本的には問題ありません。
Q7. プラチナの指輪にたくさん傷がついてしまいました。新品のようにできますか?
A. はい、専門店での研磨(ポリッシング)で新品のような輝きが戻ります。ただし、表面を削るため、何度もできません。また、わずかに重量が減り、刻印が薄くなることがあります。
Q8. プラチナのネックレスチェーンが絡まってしまいました。
A.指先やピン、針等で優しくほぐします。無理に引っ張ると切れる恐れがあります。自分で解けない場合は専門店に相談しましょう。プラチナは柔らかいため、無理な力は禁物です。
Q9. Pt950とPt900、どちらが手入れしやすいですか?
A. 日常的な手入れ方法は同じで、両方とも手入れしやすい素材です。Pt900の方が硬いため、傷はつきにくい特徴があります。ただし、多くのPt950ジュエリーにはルテニウム等が合金として配合されており、場合によってはPt900よりも硬いものも少なくありません。
毎日のケアが最も重要
定期的な洗浄を習慣に
正しい保管で美しさを維持
避けるべき行為
プラチナの特性を理解する
定期的なプロのメンテナンス
結婚指輪・婚約指輪は特別に
プラチナは適切なケアをすれば、何十年も美しい銀白色の輝きを保つことができます。特に結婚指輪や婚約指輪は、一生を共にする大切なプラチナジュエリー、プラチナアクセサリーです。毎日のちょっとした手入れと、定期的なメンテナンスで、永遠の輝きを保ってください。
自分では手に負えない汚れやトラブルが発生した場合は、無理に自己流で対処せず、信頼できるジュエリー専門店に相談することをおすすめします。プロの技術で、プラチナジュエリー、プラチナアクセサリーを美しく蘇らせることができます。
この記事のまとめ