この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子
時代を超えて愛されるラグジュアリーブランド
シャネルは20世紀初頭に誕生して以来、女性の自由とエレガンスを象徴する存在として世界中で愛されてきました。このページでは、ブランドの歴史、創業者ココ・シャネルの人物像、そして代表的なアクセサリーについて鑑定士の資格を持つ、ジュエリーの専門家がご紹介します。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子
シャネル(CHANEL)は、20世紀初頭にフランスで誕生したラグジュアリーブランドで、創業者は「ココ・シャネル」の愛称で知られるガブリエル・シャネルです。1910年にパリで帽子店「シャネル・モード」を開店したのがブランドの始まりでした。当時主流だったコルセットによる締め付けを否定し、動きやすくシンプルで洗練された服を提案。ジャージー素材の使用や「リトル・ブラック・ドレス」の発表など、従来の常識を覆す革新的なデザインで注目を集めました。 1921年には、世界的に有名な香水「シャネル No.5」を発表し、ファッションの枠を超えて香水業界にも大きな影響を与えます。その後1930年代にはトップデザイナーとして名声を築きますが、第二次世界大戦中に一時引退。1954年に復帰すると、ツイード素材のジャケットとスカートからなる「シャネルスーツ」で再び脚光を浴びました。 1971年にココ・シャネルはこの世を去りますが、ブランドはその後も進化を続け、1983年にはカール・ラガーフェルドがアーティスティック・ディレクターに就任。彼は伝統を尊重しながらも現代的な感性を取り入れ、シャネルをグローバルなラグジュアリーブランドへと押し上げました。 現在もシャネルはファッション、香水、コスメ、ジュエリーなど多彩な分野で世界中の人々に愛され続けています。ブランドの根底には、「シンプルさこそが洗練の極み」というココ・シャネルの哲学が息づいています。
1921年にココ・シャネルが初めてプロデュースしたフレグランスで、世界初の抽象的な香水として誕生しました。 アルデヒドを使用した複雑な香りのブレンドが特徴で、それまでのシングルノート中心の香水とは一線を画す革新的な存在でした。 名前の由来は、シャネルが選んだサンプルの5番目から。 シンプルな角形ボトルのデザインも洗練されており、マリリン・モンローが「夜はシャネルNo.5だけを着て眠る」と語ったことでも広く知られています。今なお世界中の女性に愛され続ける名香です。
ココ・シャネルが1920年代に提案したシンプルな黒いドレスで、それまで喪服の象徴とされていた「黒」を、モダンでエレガントなファッションとして再定義した革新的なアイテムです。「どんな場面でも着られる万能なドレス」として、装飾をそぎ落としたミニマルな美しさが多くの女性に支持され、時代や流行を超えて今なお愛され続けています。ドレスの概念を変えたこのデザインは、フォーマルでもカジュアルでも対応できる柔軟性を持ち、女性の自由な装いを象徴する一着となりました。
1954年にココ・シャネルが復帰後に発表した、ツイード素材のノーカラージャケットとスカートのセットアップです。男性的なスーツとは異なり、柔らかい素材とシンプルなシルエットで、女性の動きやすさと快適さを重視しながらも、上品さと知性を兼ね備えたデザインが特徴です。このスーツは、当時の堅苦しい女性ファッションに革新をもたらし、働く女性や自立した女性の象徴として広まりました。今なおエレガンスと自由の象徴として高く評価されています。
1955年2月にココ・シャネルが発表したチェーンショルダーバッグで、ブランドを代表する名品のひとつです。両手を自由に使えるようにと、ショルダーストラップを取り入れた実用的なデザインが特徴。キルティングレザーの表面や内側のバーガンディカラーなど、細部にまでこだわりが詰まっています。ファッション性と機能性を兼ね備えたこのバッグは、発売から半世紀以上経った今でも、ヴィンテージとしても高い人気を誇り、世界中の女性たちに愛され続けています。
1957年にココ・シャネルが発表した、つま先が黒、他がベージュのツートンカラーのパンプスです。黒いトゥは視覚的に足を引き締めて見せ、ベージュの本体部分は脚を長く見せる効果があり、機能性と美しさを両立したデザインとなっています。また、黒い先端は汚れが目立ちにくく、実用性にも優れています。どんなファッションにも合わせやすい上品な一足として、当時から現代まで幅広い世代に愛され続けているシャネルの名作シューズです。
シャネルのジュエリーは、ココ・シャネルの美学と革新性を受け継ぎながら、独自のエレガンスを放つ作品が数多く存在します。以下はシャネルのジュエリーにおける代表作です
カメリア(椿)は、ココ・シャネルが最も愛した花のひとつ。香りがなく、シンプルで対称的な美しさを持つこの花は、彼女の美学に深く共鳴しました。シャネルのジュエリーでは、カメリアの柔らかな花びらがゴールドやダイヤモンドで繊細に表現され、可憐さと気品を併せ持つデザインに仕上げられています。リング、ネックレス、イヤリングなど幅広いラインで展開され、ブランドを象徴する代表的なモチーフとなっています。
ココ クラッシュは、シャネルの象徴的な「マトラッセ(キルティング)」模様をジュエリーに落とし込んだコレクションです。曲線の美しさと立体感のあるデザインが特徴で、ゴールドやベージュゴールド、ホワイトゴールドなどの素材で展開。ミニマルでモダンな印象ながらも、存在感のある仕上がりで、ファッション性とエレガンスを兼ね備えています。日常使いにも適しており、年齢やスタイルを問わず人気の高いシリーズです。
コメットは、1932年にココ・シャネルが発表した初のハイジュエリーコレクション「ビジュ ドゥ ディアマン」にて登場した、星や彗星をモチーフにしたジュエリーラインです。夜空を彩る星のように、女性の美しさを輝かせることを意図してデザインされています。ダイヤモンドを贅沢に使用したきらめきと、流れるようなフォルムが印象的で、まるで夜空を身にまとうような幻想的な魅力を放ちます。
ライオンモチーフのジュエリーは、ココ・シャネルの星座「しし座」にちなんだコレクションです。彼女にとってライオンは、力強さ・誇り・守護の象徴でした。その精神性をジュエリーに落とし込み、存在感あるデザインに昇華。彫刻的な造形とゴールドの輝きが調和し、強さとエレガンスを兼ね備えた作品として展開されています。大胆で個性的なスタイルを求める女性に支持されるシリーズです。
四つ葉のクローバーは、幸運のシンボルとして古くから親しまれており、ココ・シャネルにとってもラッキーモチーフのひとつでした。シャネルのジュエリーでは、そのクローバーを繊細なラインで表現し、可愛らしさと上品さを両立。控えめながらも華やかな印象を与え、日常のスタイルにも取り入れやすいのが魅力です。お守りのような存在として、プレゼントにも選ばれることの多い人気デザインです。
ココ・シャネル(本名:ガブリエル・シャネル)は1883年にフランスで生まれ、幼少期を孤児院で過ごしました。貧しい環境にもかかわらず強い自立心と美意識を持ち、のちに帽子デザイナーとして成功を収めます。時代の常識や制約にとらわれず、自由で機能的なスタイルを提案し続けた彼女は、女性の生き方そのものに革新をもたらしました。 野心家でありながら直感的なセンスを持ち、自らの信念を貫いたその姿勢は、ファッションだけでなく女性の社会的自立の象徴としても評価されています。恋愛やスキャンダルに翻弄されることもありましたが、彼女は常に自分の美学と人生哲学に忠実であり続けました。その生き様は、今も多くの女性にインスピレーションを与え続けています。
世界5大ジュエラーのひとつであるカルティエは、ジュエリー史に残る数々の名作を世に送り出してきたパリの宝石商です。パリの小さな工房からスタートしたカルティエは、世界各国の王室御用達ジュエラーとなり、現在も多くのハリウッドセレブや国内芸能人たちが愛用しています。女性の憧れの宝飾ブランド、カルティエの歴史や代表作についてのお話をお伝えしていきます。
ティファニーは、世界5大ジュエラーのひとつとして知られる米国の高級宝飾店です。長い歴史の中で優れたデザイナーを輩出し、数々の名作を誕生させました。こちらでは、ティファニーのジュエリーの歴史からデザインの種類、代表的なバンドリングの詳細などをご紹介していきます。
グッチは、イタリアのフィレンツェで乗馬用革製品の製作工房としてスタートしたブランドです。富裕層向けの馬具や旅行鞄などの革製品を製作していたグッチの巧みな職人技は、ジュエリー製作にも引き継がれてきました。イタリアの有数ブランド、グッチが製作するジュエリーの歴史とデザイン、代表的なバンドリングなどについてお伝えしていきます。
ダミアーニはイタリアで誕生したブランドです。創業以来ファミリービジネスを貫き、石の選定・創作から販売までを一貫して行う独立系ジュエラーとして伝統と技術を守り続けています。 世界中のセレブリティやハリウッドスターとも幅広く良き関係を築き広告モデルに起用するPRキャンペーンを打ち出しています。個性的でイタリアジュエリーらしい華やかさ、ジェンダーレスなデザインで魅力あるダミアーニの歴史と種類についてお伝えしていきます。
パリで設立した宝飾店フレッドは、創業以来王侯貴族やハリウッドスターなどに愛されてきた、ジュエリーブランドです。詩人のジャン・コクトーによるデザインや、ケイト・モスとのコラボレーションなど個性的なジュエリーを誕生させてきたことでも知られます。セーリングを愛した創業者の情熱を引き継いだ「フォース10」ブレスレットをはじめとする、素晴らしい作品を生み出したフレッドの魅力を探ってみましょう。