【HERMES】エルメスの歴史-デザインに至るまでのものづくりの精神と背景

【HERMES】エルメスの歴史
デザインに至るまでのものづくりの精神と背景

誰もが憧れる著名な高級ブランドのひとつ、独立した精神とクラフトマンシップに溢れ、多岐に渡り数多くの逸品が生み出されるエルメスはどんな企業なのか、その歴史を探ってみましょう。 創業以来、エルメスは2つの軸を最も大切なものとして活動を続けてきました。一つは職人の緻密なものづくり、そしてもう一つは顧客のライフスタイルです。

小さな馬具工房からスタート、19世紀から続く現代のアルチザン

1837年 創業者ティエリ・エルメス

エルメスの道の原点は1837年にパリで始まります。最初は、ティエリ・エルメスがパリのバス・デュ・ランパール通りに開いた小さな馬具工房でした。常に時代の先を行くモダンな街パリで、彼は当初から顧客が望むもの、洗練や軽やかさを求める声を理解し、先回りして思い描くことができたのです。彼が作る馬具は、控えめで洗練されておりかつ、どんな状況でも持ちこたえる頑丈さも持ち合わせていました。その並外れた技術は1867年にパリで開催された万国博覧会での受賞につながります。

1880年 2代目 シャルル=エミール・エルメス

ティエリ・エルメスの息子であるシャルル=エミール・エルメスは、アトリエをフォーブル・サントノーレ通り24番地に移し、工房に併設した店舗を持つようになります。のちにエルメスの象徴となったこの住所で、オーダーメイドの馬具と鞍が作られるようになりました。エルメスはその卓越した製品で頭角を現し、ヨーロッパ全土に名が知られるようになります。

1922年 美を探究する先駆者 エミール・エルメス

エルメスはシャルル=エミールの息子 エミール・エルメスのもとで革新を遂げます。 第一次、第二次世界大戦と時は流れ、人々のライフスタイルは大きく変化しました。エルメスは、鞍や馬具はもとより皮革製品に至るまで、社会変化に柔軟に応じたさまざまな製品を生み出しました。カナダに赴いた際、彼は軍用車のボンネットの開閉に使われていたアメリカ製の「万能閉じ具」に魅了されます。1922年、彼は今日ではジッパーの名で知られているこのシステムのヨーロッパでの独占権を取得します。その後、エルメスのさまざまなバッグに取り付けられました。 また生涯を通じて、膨大な数の美術作品、書籍、オブジェ、珍品・奇品を熱心に収集しました。このコレクションが、彼の後継者により更に充実することになり、エルメスの尽きることのないインスピレーション源となって多くの商品が生まれ世に出ています。 1925年:初のメンズウェア、ゴルフ用ブルゾンが登場 1927年:乗馬の世界からインスピレーションを得たジュエリー“フィレ・ドゥ・セル”が登場 1928年:続いて時計とサンダルを発表 1937年:初のシルク製スカーフ“カレ”のラインを発表 当時のボードゲームを題材とした“オムニバスと白い貴婦人のゲーム”がエルメスのカレの第1号が登場

1951年 建築家 ロベール・デュマ

4人の娘の父であったエミール・エルメスは、娘婿たちに後継を任せます。そのうち義父を継いで1951年にエルメスの代表となったのがロベール・デュマです。エルメスの目覚ましい発展はここから始まりました。最初のシルクのカレ、将来“ケリー”の名で知られるようになったハンドバッグなど。ロベール・デュマ自身がノルマンディー海岸に係留された船を目にしたときに着想し、デザインされたブレスレット“シェーヌ・ダンクル”などが生まれました。

1956年 ケリーバック、プリンセスへのオマージュ

1930年代にロベール・デュマのデザインとされるハンドバッグ。1956年にこのバッグを手にしたグレース・ケリー(モナコ公国の公妃)の写真が報道され世界中に広まりました。グレース妃がこのバックを愛用していたという敬意を表して、エルメスはこのバッグを“ケリー”と名付けました。

1967年 初のレディスウェア、プレタポルテコレクションとアクセサリーが登場

1967年、エルメス初のレディスのワードローブを任されたのが、ハンガリー出身のフランス人ファッションデザイナー、カトリーヌ・ドゥ・カロリ。カロリは1980年までレディスのプレタポルテとアクセサリーのコレクションをデザインしました。 中でもとりわけ名高いのは、ロゴの頭文字のHをかたどったHバックルです。

1978年 探検家 ジャン=ルイ・デュマ、新しいメチエ(製造分野)の誕生

1978年以降、ロベール・デュマの息子であるジャン=ルイ・デュマはメゾンにひそやかなる革命をもたらしました。 先見の明ある彼は、あらゆるもの、文化に興味を持ち、文化を多様化して世界中へと押し広げました。エルメスではユニークなノウハウを基盤として新しいメチエ(製造分野)が登場しています。 1976年:シューズメーカーのジョン・ロブとともに靴製造の技術を開拓 1978年:時計製造のメチエ“ラ・モントル・エルメス“が登場 1993年:ピュイフォルカと金細工の製造を展開 1995年:サンルイ社とクリスタル製造へと事業拡大

1984年 バーキンバックの誕生

ジャン=ルイ・デュマとジェーン・バーキン(イギリスとフランスをまたがる女優、歌手、モデルとして活躍したマルチアーティスト)の機内での偶然な出会いをきっかけに、彼女にとって理想的なバッグをジャン=ルイ・デュマがデザインしました。エレガントでボリュームがあり、夜も昼も使えるバッグ“バーキン”の誕生です。

1987年 エルメス 150周年

エルメスの創業150周年の記念に、パリのポン・ヌフ橋のたもとにて記憶に残るようなお祝いが催されました。 今ではエルメスにとってなくてはならない“年間テーマ”の第一号が掲げられました。この“年間テーマ”という共通のインスピレーション源が、エルメスのさまざまな創造力を育んでいます。

2005年 アーティスティック・ディレクター、ピエール=アレクシィ・デュマ

ジャン=ルイ・デュマの息子で6代目のピエール=アレクシィ・デュマがエルメスのアーティスティック・ディレクターに就任すると更に豊かに、革新とファンタジーが融合して豊かな創造力が躍動しています。

2008年 ピエール=アレクシィ・デュマの主導のもとエルメス財団を創設

“行動こそが人を作る”という信念に基づき、主に創造、ノウハウの伝承、地球環境の保護、連帯の分野での活動を行う。

2010年 さかさまの発想品、petit h(プティ アッシュ)コレクション

ジャン=ルイ・デュマの姪であるパスカル・ミュサールの主導のもと、“さかさま”のプロセスを経て常識にとらわれない作品を生み出している。 2010年 カジュアルなジュエリーに加えて、初のハイジュエリーコレクションを発表 2011年:唯一無二のオーダーメイドのオブジェのデザインを手掛けるなど、初の家具用ファブリックと壁紙を発表 2015年:AppleとのコラボレーションからApple Watch Hermèsが生まれる 以降も更なる新しい店舗、事業展開を続けています。

2020年 ビューティ部門の創設

美しい口元をテーマに、最初のコレクション”ルージュ・エルメス”を発表 創業以来200年近くに渡り、エルメスは常に自由で創造力豊かなエスプリを原動力に、独自の感性で社会変化や人々のニーズの移り変わりを見つめながら、今も尚発展を続けています。

代表的なエルメスのジュエリーデザインのコンセプト

シェーヌ・ダンクル

エルメスのジュエリー“シェーヌ・ダンクル“のテーマは”固く結ばれた絆“で、錨の鎖をモチーフにしています。 エルメスの第4代社長であるロベール・デュマが、1937年にノルマンディの海岸で船の錨の鎖を見て着想を得て、エルメスの頭文字である「H」を鎖の部分にデザインしたものが始まりです。当初はメンズラインとして登場しました。その後ユニセックスなラインが登場して、高級感を持ちながら、シンプルでミニマルかつ幅広いファッションに合い、男女問わず人気のアイテムとなりました。

ケリーモルフォーズ

ブランドのアイコンであるバッグ“ケリー“をモチーフにしたハイジュエリーコレクションです。 バッグの台形の形や南京錠、クロシェット(アクセサリー兼キーケースとして首にかけられるアイテム)、トゥレクラスプ(止め金具)などのディテールが繊細に表現されています。 エルメスのジュエリー“ケリー“は、ジュエリー部門のクリエイティブ・ディレクター ピエール・アルディが2000年代に完成させたコレクションで、バッグ“ケリー”のフォルムや要素を取り入れたデザインです。

乗馬の世界からのインスピレーション

すべての始まりは「馬」にあります。ハーネス(手綱)、ハミ(馬の口に咥えさせる道具)、バックル、といった馬具がメゾンの創造性豊かなノウハウによって、特別なオブジェに生まれ変わります。大胆なフォルム、軽やかな着け心地、卓越の素材。それらが騎士精神のジュエリーを形作っています。絶えることなく刷新される乗馬のヘリテージを受け継ぐエルメスのジュエリーは、身に着ける人の肌に寄り添い、しぐさやスタイルを引き立てます。

かけがえのない瞬間のために

メゾンにまつわるさまざまなエピソードから自由にインスピレーションが羽ばたき、物語に満ちたウェディングジュエリーが生まれます。メゾンに受け継がれる物語から“エヴァー・ケリー”、“シェーヌ・ダンクル”、“エヴァー・セリエ”が生まれました。 そしてさらに“アリアンヌ”、“ヴェルティージュ・クール”、“グラン・ジュテ”が新しい物語を紡ぎ、人生を共にする2人を称えます。エルメス ジュエリー部門クリエイティブ・ディレクターのピエール・アルディのデザインが、メゾンのノウハウ、素材、そして光をジュエリーへと昇華させます。ピンクゴールド、ホワイトゴールド、プラチナ、ダイヤモンドの素材の中に、大胆 かつ高貴に、エルメス独自の感性を表現したジュエリーのフォルムに仕上げています。

エルメスを象徴するジュエリー

数多くあるエルメスの象徴的なジュエリーのほんの一部をご紹介します。

世界で高い人気を誇るエルメスのジュエリーデザイン

ラグジュアリーな輝きを放つプラチナ、ゴールド製のものからカジュアルな雰囲気のシルバーやステンレススチールなど異素材を組み合わせたジュエリーの扱いまで、比較的手に取りやすい価格帯まで取り揃えていることは人気の秘密かもしれません。時を感じさせない美しさを持つエルメスのジュエリーは、一生ものとして長く愛用されています。 参照:以下、サイトより エルメス公式サイト Precious.jpサイト 家庭画報サイト GALLERY RAREサイト ALLUサイト

資格会員ディプロマ FGA 依田 優子

この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 優子

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