この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘

「ジュエリーをつけると肌が赤くなる」「ネックレスで首がかゆくなる」
金属アレルギーでジュエリーを諦めている方は少なくありません。しかし、金属アレルギーでも、素材の選び方や着用方法に気をつければ、安心してジュエリー・アクセサリーを楽しむことができます。
日本では約10人に1人が金属アレルギーを発症しているといわれています。特に女性に多く、突然発症することもあるため、「以前は大丈夫だったのに…」と戸惑う方も多いでしょう。
この記事では、鑑定士の資格を持つ、日本宝石協会の理事が、金属アレルギーの原因、症状が出にくい素材、日常の予防方法、そして既存ジュエリーをアレルギー対応にリフォームする方法まで徹底解説します。
金属アレルギーだからといって、ジュエリーを諦める必要はありません。正しい知識を持って、安心してジュエリー・アクセサリーを楽しみましょう。
この記事の監修者
英国宝石学協会 資格会員ディプロマ FGA
日本宝石協会理事
夢仕立工房 ジュエリーデザイナー
依田 宇弘
金属アレルギーとは、特定の金属が原因で起こるアレルギー性接触皮膚炎のことです。まずは、金属アレルギーがどのように発症するのか、その仕組みを理解しましょう。
金属アレルギーは、ジュエリー・アクセサリーに含まれる金属が汗や皮脂などの体液に触れて溶け出し、イオン化することで発症します。この金属イオンが体内のたんぱく質と結合すると、体が「異物」と判断してアレルギー反応を起こしてしまうのです。
金属アレルギーの特徴は、誰でもいつでも発症する可能性があります。今まで問題なく着用していたジュエリー・アクセサリーでも、ある日突然アレルギー反応が出ることがあります。これは、体内に蓄積された金属イオンが一定量を超えた時に発症するためです。
発症するまでの期間には個人差があり、数日で反応が出る方もいれば、数年経ってから発症する方もいます。
金属アレルギーの主な症状は以下の通りです。
これらの症状は、ジュエリー・アクセサリーが触れている部分に現れることが多いですが、まれに全身に症状が広がることもあります。
特に夏場は汗をかきやすくなるため、金属が溶け出しやすく、金属アレルギーを発症しやすい季節です。ピアスやネックレス、指輪、腕時計など、長時間肌に触れるアイテムで症状が出やすい傾向があります。
金属アレルギーの症状が出た場合は、まず原因と思われるジュエリー・アクセサリーの使用を中止しましょう。症状が改善しない場合や、悪化する場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。
皮膚科では、パッチテストを受けることができます。パッチテストは、少量の金属を皮膚に貼り付け、反応の有無を確認する検査です。どの金属にアレルギーがあるかを特定できるため、今後のジュエリー・アクセサリー選びに役立ちます。
一度アレルギー反応が出た金属は、再び着用するとさらに症状が悪化する恐れがあります。原因金属を特定し、その金属を避けることが最も重要な対策です。
金属アレルギーは、金属の種類によって発症しやすさが大きく異なります。症状が出やすい金属と出にくい金属を知っておくことで、安心してジュエリー・アクセサリーを選ぶことができます。
金属アレルギーを起こしやすい代表的な金属は以下の通りです。
ニッケル
最も金属アレルギーの頻度が高い金属です。ニッケルは光沢を出し強度を上げるため、ジュエリー・アクセサリーの合金やメッキに多用されています。硬貨(50円玉、100円玉、500円玉)、腕時計、バックル、歯科金属などにも含まれています。
コバルト
ニッケルと並んで頻度の高い金属です。ニッケルアレルギーのある方は、同時にコバルトに対するアレルギーを持っていることも少なくありません。ニッケルメッキをされた金属にはほとんどコバルトが含まれているため注意が必要です。
クロム
合金やクロムメッキに使用されています。染料の原料や皮革製品にも含まれているため、濃い色の衣服や皮革製品と接触した際に皮膚炎を起こす場合もあります。
真鍮(ブラス)
銅と亜鉛の合金です。安価なアクセサリーによく使用されており、汗で溶け出しやすい金属です。
これらの金属が含まれるジュエリー・アクセサリーは、金属アレルギーのリスクが高いため、避けることをおすすめします。
一方、金属アレルギーを起こしにくいとされる金属もあります。
プラチナ(Pt950、Pt900)
プラチナは耐食性が高く、汗に溶け出しにくいため、金属アレルギーを起こしにくい素材です。婚約指輪や結婚指輪に多く使用されています。
ただし、プラチナ100%は柔らかすぎるため、ジュエリー・アクセサリーには割り金としてパラジウムやルテニウムなどが混ぜられています。パラジウムは汗にやや弱いためアレルギー反応を起こすことがありますが、含有率が10%程度であることが多く、金属アレルギーを起こす方は比較的少ないとされています。
ゴールド(K18、K24)
ゴールドもプラチナと同様に腐食に強く、金属アレルギーを起こしにくい素材です。
チタン
現存する金属の中で、最も人間の生体に対する耐アレルギー性が高い素材です。軽量で強度も高く、医療器具にも使用されています。ただし、サイズ直しができないという欠点があります。
サージカルステンレス(316L)
医療用メスなどに使用される最上級のステンレスです。傷つきにくく変色に強く、金属アレルギーを起こしにくい素材として人気があります。
シルバー
銀(シルバー)も比較的金属アレルギーを起こしにくい金属とされていますが、スターリングシルバー(銀92.5%)以外のシルバー925は注意が必要です。
プラチナやゴールドは、純度が高いほど金属アレルギーのリスクが低くなります。これは、純度が低いと割り金として混ぜられる他の金属の割合が増えるためです。
割り金として使用される主な金属は、パラジウム、銅、ニッケルなどです。これらの金属にアレルギーがある方は、プラチナやゴールドでも反応が出る可能性があります。
特にホワイトゴールドは、ニッケルやパラジウムが割り金として使用されることが多いため、注意が必要です。イエローゴールドは銀と銅、ピンクゴールドは銅が割り金として使用されています。
金属アレルギーが心配な方は、できるだけ純度の高い素材を選ぶことをおすすめします。
金属アレルギーは、日常の着用方法やお手入れに気をつけることで、発症を予防したり症状を軽減したりすることができます。
金属アレルギーは、汗や体液で金属が溶け出すことが原因で起こります。そのため、汗をかきやすい場面ではジュエリー・アクセサリーを外すことが効果的です。
これらの場面では、できるだけジュエリー・アクセサリーを外すようにしましょう。特に夏場は汗をかきやすいため、金属アレルギーを発症しやすい季節です。
どうしても長時間着用したい場合は、タートルネックの上から着けるなど、肌に直接触れないようにする工夫もおすすめです。
金属が肌に触れている時間が長いほど、金属アレルギーのリスクが高まります。必要な時以外は外しておくことで、発症を予防することができます。
終日ジュエリー・アクセサリーを着けたままにすることは避け、帰宅後はすぐに外すようにしましょう。
着用後のお手入れと保管方法も重要です。
ジュエリー・アクセサリーを外したら、柔らかい布でやさしく拭き取りましょう。汗や皮脂を拭き取ることで、金属の酸化を防ぎ、金属アレルギーのリスクを減らすことができます。
この1分のケアが、長期的な美しさを保つ最大の秘訣です。皮脂や汗が酸化する前に拭き取ることで、変色や劣化を防げます。
保管する際は湿気を避け、個別のケースやポーチに入れておくと酸化や摩擦を防げます。他のジュエリー・アクセサリーと触れ合うとキズがつくこともありますので、仕切りのあるジュエリーボックスや、柔らかい布で包んで保管しましょう。
ジュエリー・アクセサリーを着ける時に肌を清潔に保つことも重要です。汗をかいている状態で身に着けることは避け、肌を清潔にしてから着用すると、アレルギー反応の予防になります。
金属アレルギー防止のコート剤を、お手持ちのジュエリー・アクセサリーに塗布することで、肌に触れた金属が溶け出すのを防ぐことができます。
ピアスのポスト(ピアスホールに通す金属部分)に直接かぶせることのできる樹脂製のピアスカバーをつけるのもおすすめです。
ただし、コーティングは時間とともに剥がれるため、定期的に塗り直す必要があります。
金属アレルギーが発症した場合、多くの方は「ジュエリー・アクセサリーを買い替えるしかない」と考えがちです。しかし、実は既存のジュエリー・アクセサリーをアレルギー対応にリフォームすることも可能です。
思い出の詰まった大切なジュエリー・アクセサリーを諦める前に、リフォームという選択肢を検討してみませんか?
ジュエリーリフォームの専門店である夢仕立では、金属アレルギー対応のリフォームを数多く手がけています。1978年創業以来、年間約10,000件以上のジュエリーリフォーム・オーダーメイドの実績があり、英国宝石学協会特別公認企業として、高い技術力と専門知識を持っています。
金属アレルギーでお悩みの方に対して、以下のようなリフォーム方法をご提案しています。
最も効果的な方法は、ジュエリー・アクセサリーの地金そのものをアレルギー対応素材に変更することです。
このリフォーム方法であれば、大切な宝石はそのまま活かしながら、金属アレルギーの心配なく着用できるジュエリー・アクセサリーに生まれ変わります。
お祖父様から受け継いだ指輪を、金属アレルギーを起こしにくいプラチナに変更してリフォームしたケースがあります。
※すべて材料費を含めた金額です。夢仕立では工賃のみの見積もりではなく、全てを含めた金額をご提示しますので、後で料金が追加されることはありません。
金属アレルギー対応のリフォームでは、以下の地金から選ぶことができます。
プラチナ
ゴールド
※ステンレス、チタン、ジルコニウム、イリジウムはバネ性が強く、サイズ直しができません。
宝石鑑定士が、お客様の体質や予算、デザインの希望に合わせて、最適な素材をご提案します。
新しくジュエリー・アクセサリーを購入する際の選び方についても解説します。
金属アレルギーを予防するには、プラチナやゴールドなど、アレルギーの発症頻度が低い素材を選びましょう。他の金属の含有量が少ない純度の高いものほど、発症リスクを下げることができます。
具体的には、Pt950以上のプラチナ、K18以上のゴールドを選ぶことをおすすめします。
近年、「ニッケルフリー」と表示されたジュエリー・アクセサリーが多く流通しています。しかし、ニッケルフリーとは、ニッケルを全く使っていないという意味ではありません。
日本ではニッケルフリーの明確な規格がなく、製品に含まれるニッケルの量はメーカーによって異なります。ニッケルを限りなくゼロに近いか、最小限に抑えたものがニッケルフリーと呼ばれていますが、微量に含まれている可能性があります。
そのため、ニッケルフリーの製品であっても、ニッケルアレルギーの方は注意が必要です。
金属アレルギーがあっても、婚約指輪や結婚指輪を諦める必要はありません。アレルギー対応素材でのオーダーメイド製作が可能です。
プラチナやゴールドでの製作を承っています。デザインの自由度も高く、お二人だけのオリジナルの指輪を製作することができます。
金属アレルギーでお悩みの方も、ぜひ一度ご相談ください。宝石鑑定士が、お客様に最適な素材とデザインをご提案します。
金属アレルギーでも、正しい知識と対策を持てば、ジュエリー・アクセサリーを安心して楽しむことができます。
金属アレルギーを起こしにくいプラチナやゴールドなどの素材を選ぶこと、汗をかく場面では外すこと、着用後は必ず拭くことなど、日常の予防方法を実践しましょう。
そして、既存のジュエリー・アクセサリーがアレルギーを起こす素材で作られている場合でも、リフォームという選択肢があります。地金を変更してアレルギー対応素材で製作し直しをすることで、大切なジュエリー・アクセサリーを諦めずに済みます。
夢仕立では、年間約10,000件以上のジュエリーリフォーム実績と、FGAディプロマを持つ宝石鑑定士の専門知識を活かし、お客様一人ひとりに最適なアレルギー対策をご提案します。全行程において保険が適用される、夢仕立のみに認められた保険制度もありますので、安心してお任せください。
金属アレルギーでお悩みの方も、ぜひ一度ご相談ください。あなたに合った素材とデザインで、安心してジュエリー・アクセサリーを楽しむお手伝いをいたします。